この記事の案内人・編集長
稲垣 瑞稀
- 空き家が窃盗の対象になりやすい理由と、近年増加している被害の実態
- 空き家の所有者が今すぐ実践できる防犯・管理の具体的な対策
- 空き家を放置した場合に生じる税負担の増加や行政指導・強制解体などの法的リスク
この記事では、中高生が肝試し目的で侵入した空き家から多額の現金を盗んだとして書類送検されたニュースを基に、放置された空き家が抱えやすいリスクと、所有者が取れる防犯・管理の対策について解説します。
ニュースの概要
まずはニュースの事実関係を整理します。
- 発生場所:沖縄県那覇市内にある空き家
- 報道日:2026年1月16日
- 事案: 2025年5月から7月にかけ、肝試し目的で空き家に侵入した中高生らが室内にあった現金約1億円を発見し、複数回にわたって持ち出した。
- 検挙内容: 沖縄県警は男子中学生12人、男子高校生4人の計16人を邸宅侵入と窃盗の疑いで書類送検。2025年12月25日に那覇家庭裁判所へ送致済み。
沖縄本島内の空き家で昨年、中高生らが1億円を超える現金を発見し、複数回にわたって持ち出した疑いのある事件で、県警が男子中学生12人、男子高校生4人の計16人を邸宅侵入と窃盗の疑いで書類送検していたことが15日、関係者への取材で分かった。
この事件を受け、被害に遭った空き家はすでに取り壊しが検討されているとのことです。
近年増える空き家の窃盗被害
今回の事件のように被害額が約1億円にのぼるケースは例外的ですが、空き家を狙った窃盗被害そのものは全国的に増えています。
統計から見る空き家の狙われやすさ

茨城県警察のデータによると、空き家を対象とした盗難事件は2020年(令和2年)には119件だったのに対し、4年後の2024年(令和6年)には645件と、約5.4倍に増加しています。
被害の多くは窓ガラスを割って侵入する手口で、現金・貴金属・家電類などを狙ったものが中心です。特に人の出入りがなく、管理が行き届いていない空き家ほど被害に遭いやすい傾向があります。
運営者 稲垣今回の空き家が肝試しの場所に選ばれ、結果的に被害に遭った背景にも、外観から見て「長期間、管理されていない家」と受け取られていたことが影響していた可能性があります。
所有者ができる空き家の防犯対策
埼玉県警察の防犯指針を基に、空き家の所有者が今すぐ取り組める実務的な防犯対策を整理しました。
① 「管理されていること」を外部に示す
前述の通り、泥棒や不法侵入者は「人の気配が感じられない家」を狙う傾向があります。外から見た印象を整えることが、防犯対策の基本です。
- 草抜きや庭木の剪定
草抜きや庭木の剪定を行い、庭をきれいに保つことで、長期間放置されている印象を与えにくくなります。 - 郵便物の整理
ポストに郵便物が溜まっていると、長期不在であることが一目で分かってしまいます。郵便局の転送サービスを利用するか、定期的に回収しましょう。 - 換気
定期的に窓を開けて換気を行うことで、人の出入りがあるように見せる効果があります。
② 防犯グッズで侵入を物理的に防ぐ
侵入に手間がかかる家は犯行の対象から外されやすくなります。
- 補助錠の設置
玄関や窓に補助錠を追加することで侵入までに時間がかかり、諦めさせる可能性が高まります。 - 防犯カメラ・ステッカー
実際に録画できる防犯カメラが理想ですが、「防犯カメラ作動中」といったステッカーだけでも一定の抑止効果が期待できます。 - センサーライト・防犯砂利
不審者が近づくと点灯するライトや、踏むと音が鳴る砂利は暗がりや人目を避けたい侵入者に対して有効です。
③ 人の目を増やす体制をつくる
「人の目」がある環境をつくることは、防犯対策として重要です。
- 近隣との連携
近隣住民と良好な関係を築き、不審な人物を見かけた際に連絡してもらえる体制を整えましょう。 - 専門業者の利用
自分で管理することが難しい場合は、警備会社のホームセキュリティ(ALSOK、SECOMなど)やシルバー人材センターによる巡回サービスを利用し、定期的に人の目が入る体制を整えることも有効です。
空き家放置による税金・行政対応の負担
空き家問題で注意すべきなのは、盗難の被害者になるリスクだけではありません。管理が行き届いていない状態が続くと、今度は「所有者として責任を問われる側」になり、税金の負担増や行政からの是正指導、さらには強制解体といった法的・金銭的なペナルティに発展する可能性があります。特に、2023年12月に施行された改正空家等対策特別措置法以降、「放置されている空き家」に対する自治体の対応は、全国的に一段と厳しさを増しています。
ここでは、空き家を放置した場合に実際に起こり得る税金・行政対応の具体的な負担について整理していきます。
① 管理不全空家への指定
窓ガラスの破損や雑草の放置など、適切な管理が行われていない状態の空き家について、将来的に「特定空家」へ移行するおそれがある物件を「管理不全空家」として指定できる制度が新たに設けられました。この段階から、行政による指導や是正要請の対象となります。
② 固定資産税の住宅用地特例の解除
「管理不全空家」や「特定空家」として自治体から勧告を受けると、土地の固定資産税を6分の1に軽減していた住宅用地特例が解除されます。その結果、固定資産税・都市計画税の負担が、実質的に最大6倍に増える可能性があります。
③ 行政代執行による強制解体
倒壊や周辺への被害などの危険性が高く、改善命令にも従わない場合、自治体が建物を強制的に解体する「行政代執行」が行われます。この場合、解体にかかった費用(数百万~数千万円規模)は全額所有者に請求され、支払わなければ財産の差し押さえなどの強制徴収の対象となります。
実際、2025年10月10日に秋田県秋田市で行われた空き家の強制解体のように、全国で行政による厳しい対応が加速しています。

まとめ:放置し続けることが、いちばんの負担になる
今回の沖縄での1億円窃盗事件は、空き家が適切に管理されていれば防げた可能性もあった事例と言えます。空き家は、放置する期間が長くなるほど、防犯面・維持費・税負担といったリスクが少しずつ積み重なっていきます。
重要なのは、解体・売却・活用など、今後その建物をどうするのかを早めに決めることが結果的に負担を抑えることにつながるという点です。
まずは現地の状況を確認し、侵入されやすい状態になっていないかを把握したうえで必要な管理や対策を講じましょう。それが、ご自身だけでなく、周囲の地域をトラブルから守る第一歩になります。
なお、以下の記事では空き家の解体費用の目安や補助金制度など、解体を検討する際に知っておきたい情報をまとめています。あわせて参考になさってください。

