岩手県の解体業者一覧（70社）と費用相場

岩手県での解体工事は、エリアごとの地形を理解することが大切です。県内は主に4つのエリアに分けられ、それぞれに特徴があります。

盛岡広域エリア（盛岡市、滝沢市など）

県庁所在地の盛岡市を中心とする都市部です。住宅密集地が多く、工事の際は騒音や振動、粉塵への近隣対策が最優先の課題になります。廃棄物の中間処理施設へのアクセスは比較的良いものの、冬期は市内の渋滞で運搬コストが増える傾向にあります。

県南・北上川流域エリア（北上市、奥州市、一関市など）

北上川沿いの平坦地が広がり、大型重機を使いやすい現場が多いエリアです。国道4号や東北自動車道で宮城県へアクセスしやすく、廃石膏ボードなどを県外の安価な処分場へ運ぶルートが確立されているため、コスト競争力が高いのが特徴です。

三陸沿岸エリア（釜石市、宮古市、大船渡市など）

リアス式海岸特有の急傾斜地が多く、平地が少ないエリアです。基礎の下に硬い花崗岩の岩盤があることも多く、基礎解体費用が高額になりがちです。加えて、内陸の処分場へは峠越えが必要で運搬距離も長くなるため、コストは割高になる傾向があります。

県北・二戸エリア（二戸市、久慈市など）

人口密度が低く、老朽化した空き家が目立つエリアです。処分場までの距離が非常に長く、運搬費が工事費全体を圧迫しがちです。廃棄物の種類によっては、経済的な結びつきが強い秋田県側へ搬出する方が合理的なケースもあります。

岩手県の気候は、内陸部と沿岸部で大きく異なります。内陸部は寒暖差が激しく、特に西和賀町や八幡平市などの山間部は豪雪地帯として知られています。冬期（12月～3月）に工事をする場合、毎日の除雪作業や路面凍結（ブラックアイスバーン）による運搬リスク、地盤が凍って持ち上がる「凍上」への対策など、追加のコストと時間を見込む必要があります。

一方、三陸沿岸部は冬の雪は少ないものの、夏場は「やませ」と呼ばれる冷たく湿った風の影響で濃霧が発生しやすく、クレーン作業などが中断する可能性があります。だからこそ、潮風による重機や資材の「塩害」対策も欠かせません。

廃材の運搬ルート

県内の物流は、中央部を南北に貫く国道4号と東北自動車道が主軸です。内陸と沿岸を結ぶ釜石自動車道や三陸沿岸道路の整備で、東西間のアクセスは大幅に改善されました。ただし、冬期は峠道を中心に厳しい通行規制が敷かれます。特に国道107号（北上～西和賀）は積雪による通行止めが頻発するため、迂回ルートの確認が欠かせません。

廃棄物処理の傾向

県内にも最終処分場はありますが、品目によっては県外の専門施設へ搬出する「広域処理」が一般的です。例えば、県南エリアから出る廃石膏ボードは宮城県の施設へ、アスベスト（石綿）含有廃棄物は秋田県の施設へ運ばれることが多く、運搬計画がコストを大きく左右します。

岩手県の独自条例

建設リサイクル法の届出窓口が、工事場所によって市役所と県の土木センターに分かれている点に注意してください。盛岡市や北上市など7市は各市役所が窓口ですが、滝沢市や大船渡市などは管轄の土木センターへ届け出る必要があります。

加えて、世界遺産のある平泉町では「平泉町景観条例」により、解体工事の足場設置や整地にも厳しい規制があるため、事前の確認が必須です。

岩手県は全国平均を上回る空き家率に直面しており、各自治体は対策を強化しています。釜石市では2022年に所有者不明の危険空き家を行政が代わりに解体する「略式代執行」が実施されました。盛岡市でも同様の事例があり、危険な空き家に対しては厳しい姿勢で臨んでいることが分かります。

こうした背景から、解体工事に関する補助金制度は、県ではなく各市区町村が主体となって設けています。その多くは、単に古い家というだけでは対象にならず、自治体の事前調査で「危険」と判定されることが条件です。例えば、大船渡市の補助金は事前調査申請が必須です。北上市や奥州市の制度も危険な空き家の除却を目的としており、予算には限りがあるため、補助金の活用を検討するなら早めに各市町村の窓口へ相談することが大切です。