岡山県の解体業者一覧（120社）と費用相場

岡山県の土地は約70%が山地・丘陵地、約30%が平地です。解体工事の観点では、歴史的背景も踏まえた「備前」「備中」「美作」の3エリアで特徴を捉えることが重要です。

備前エリア（岡山市、玉野市など）県南東部に位置し、岡山市中心部のような都市型密集地と、干拓地由来の軟弱地盤という二つの特徴を併せ持ちます。道幅が狭い現場が多く、振動への配慮も特に求められるエリアです。県内の主要な廃棄物処理施設がここに集中しているため処分場への距離は近いものの、交通渋滞で運搬時間が増え、コストに影響する可能性があります。

備中エリア（倉敷市、総社市、笠岡市など）県西部に位置し、倉敷美観地区のような歴史的景観を守るための厳しい規制がある地域です。その一方で、水島コンビナート周辺には高度なリサイクル施設が集まっています。笠岡市の島嶼部（離島）での工事は、重機や廃棄物の海上輸送費が加わるため、本土に比べて工費が大幅に割高になる傾向にあります。

美作エリア（津山市、真庭市など）県北部の中国山地に位置し、冬の積雪や凍結が工事の大きなリスクです。集落が点在しており、現場までの移動時間が長くなりがちです。加えて、廃棄物処理施設が県南に集中しているため長距離の運搬が必須で、輸送コストが高くなるのが特徴です。

岡山県の解体工事を計画する上では、気候の南北差を理解することが不可欠です。

南部エリア（瀬戸内海式気候）晴天日数が多く、雨による作業中止が少ないため、工事スケジュールを立てやすいのがメリットです。しかし夏場は35度を超える猛暑日が多く、作業員の熱中症対策が欠かせません。乾燥した晴天が続くと解体時の粉塵が飛散しやすくなるので、十分な散水養生が求められます。玉野市などの沿岸部では、潮風による重機や資材の塩害にも注意が必要です。

北部エリア（日本海側気候・内陸性気候）美作エリアを中心とした北部は、冬の季節風の影響で積雪や路面凍結が日常的です。12月から3月にかけては、運搬車両のスタッドレスタイヤ装着やチェーン携行が必須になります。積雪時には屋根の雪下ろし作業が先に行われ、足場の凍結による転落リスクも高まるため、実質的な作業時間は短くなる傾向にあります。

自然災害リスク2018年の西日本豪雨を経験したことから、河川周辺や低地での工事では浸水リスクへの警戒が強まっています。台風の直撃は少ないですが、強風による足場倒壊のリスクには備えが必要です。

岡山県内で解体工事をする際は、県全体に共通する次の点に注意が必要です。

廃材の運搬ルート

県内には山陽自動車道（南部）と中国自動車道（北部）が東西に走り、岡山自動車道などが南北に繋いでいます。この高速道路網が、廃材運搬の大動脈です。特に岡山市周辺では、主要な幹線道路である国道2号線バイパスの朝夕の渋滞が激しく、運搬効率に大きく影響するため、搬出時間を工夫しなくてはなりません。

廃棄物処理の傾向

解体で出る廃棄物の中間処理施設やリサイクル施設は、その多くが岡山市南区や倉敷市水島地区といった県南の臨海工業地帯に集中しています。だからこそ、県北部からの運搬は長距離になりがちです。コンクリートガラや木くずなどは県内で十分に処理できますが、アスベスト（石綿）含有建材などは、状況により広島県や兵庫県など近隣県の施設へ搬出されるケースもあります。

岡山県の独自条例

岡山県では、廃棄物の現場保管に関する指導要綱があり、囲いや指定サイズの掲示板の設置が厳しく求められます。

加えて、延床面積80㎡以上の建物を解体する際に必要な「建設リサイクル法」の届出窓口が、岡山市や倉敷市などの主要7市では「各市役所」、それ以外の市町村では「県の地域事務所」と分かれており、提出先を間違えやすいので注意してください。

倉敷市美観地区や岡山市カルチャーゾーンなどでは、工事の仮囲いの色やデザインに至るまで、景観に配慮した計画が求められることも知っておきましょう。

岡山県では空き家の増加が社会問題になっており、その対策として解体費用の補助制度が充実しています。

岡山県の特徴は、県が個人に直接補助金を出すのではなく、「市町村が実施する補助金事業に、県が費用の一部を補助する」という間接的な支援方式をとっている点です。この仕組みがあるからこそ、奈義町や美作市のような財政規模が比較的小さな自治体でも、高額な補助金制度を設けられるのです。

2025年度の補助金は、倒壊の危険性が高い「特定空家」に認定された建物が優先される傾向にあります。制度の主体はあくまで各市町村なので、申請手続きや補助額、対象条件はそれぞれ異なります。例えば、笠岡市では離島での工事に費用が加算されたり、備前市では市内の業者への発注が条件だったりします。

補助金を利用する際は、ほぼ全ての自治体で「工事の契約前に事前相談と交付決定を受ける」ことが必須です。交付決定前に着工すると補助金が受けられなくなるため、必ず市町村の窓口で手続きを確認してください。