この記事の案内人・編集長
稲垣 瑞稀
- 広島競輪場のリニューアル工事完了の概要
- リニューアル工事が単なる老朽化対策でない理由
- 解体工事が土地や施設の価値を高める仕組み
この記事では、広島競輪場が約3年ぶりにリニューアルされ、「アーバンサイクルパークス広島」として生まれ変わった背景や今後の展望を専門家の視点で解説します。
ニュースの概要
- 場所:広島競輪場(広島市)
- 報道日:2025年11月28日
- 事案:広島市の広島競輪場が約3年ぶりにレースを再開。運営の民間委託で黒字化を達成し、ホテルなどを併設したリニューアルで競輪ファンだけでなく幅広い来場者を見込む複合施設として生まれ変わった。
広島市が建て替えを進めてきた広島競輪場(南区)で28日、バンクやホテルの完成式典があった。30日のレース再開を前に、選手が真新しい競走路をデモ走行。一時は経営難で廃止の危機にあった競輪場に、銀輪が連なる光景が戻ってきた。
なぜ広島競輪場のリニューアル工事が実施されたのか?
民間企業による運営改善
かつて広島競輪場はバブル崩壊後の売り上げ低迷により経営が悪化し、1998年度から2017年度までの約20年間(2008年度を除き)、市の一般会計への繰入金がゼロとなっていました。廃止が検討されるほど厳しい状況で、施設の存続自体が課題となっていました。
状況が変わったのは、2015年度から運営が民間に委託されたことです。最初に受託した「株式会社JPF(旧日本写真判定株式会社)」がインターネット車券販売を強化したことで業績が回復し、2018年度には市への繰入金が再開しました。さらに、2022年度から運営を引き継いだ「株式会社チャリ・ロト」は、今回の約92.5億円にのぼる整備費用を全額負担する方針を示し、市は財政負担を抑えながら大規模なリニューアルを進められました。
▼リニューアル工事中の広島競輪場(2024年3月時点)

▼広島競輪場の最新画像(2025年9月時点)

運営者 稲垣今回のリニューアルにより、既存施設の課題解消だけでなく、さらなる利用促進や収益向上につながることが期待されています。
広島市全体で進む再開発との連動
今回の再整備は、広島市が進めている都市開発の流れとも深く関わっています。広島駅周辺や西飛行場跡地などでは再開発が進んでおり、競輪場がある宇品エリアでも広島港を中心に観光やレクリエーション機能の強化が図られています。
従来の競輪場は閉鎖的な施設でしたが、リニューアル後は「アーバンサイクルパークス広島」としてエリアの開放が進み、宿泊やサイクリングの拠点としての活用が計画されています。これは、市が掲げる「水辺の賑わいづくり」や瀬戸内エリアの観光促進の方針とも一致しています。
複合開発で広がる可能性
運営者 稲垣リニューアル後の広島競輪場は、従来の「ギャンブルの場」から「誰もが楽しめる複合型レジャー施設」へと役割を広げていく見通しです。
「アーバンサイクルパークス広島」としての観光拠点化
新名称に合わせて、敷地内にはBMXやスケートボードを楽しめるエリアや遊具のある芝生広場が整備されます。さらに新設された選手宿舎兼ホテル(全123室)は来春から一般客の宿泊も可能です。広島港に近い立地を生かして瀬戸内の島々や四国方面へのサイクリングルートの拠点としても活用でき、観光客の誘致が期待されています。
アーバンサイクルパークス広島 7つの特徴
- 誰もが安心して競輪を楽しめます
- 自転車等を通して様々なスポーツやレジャーが楽しめます
- 競輔場をオープンな施設にします
- 緑あふれる施設とします
- 地域の安全・安心なまちづくりに貢献します
- サイクリストを中心にスポーツ愛好者の交流の場にします
- 宇品地域のランドマークとなります
岡山・玉野競輪場との連携
同じ瀬戸内エリアにある岡山県玉野市の「玉野競輪場」は、2022年3月に日本初のスタジアム一体型ホテル「KEIRIN HOTEL 10(ケイリンホテル・テン)」を併設してグランドオープンしました。運営は広島競輪場と同じ株式会社チャリ・ロト」が担当しており、客室から瀬戸内海やレースを眺めたり、実際に選手が使う部屋に宿泊できる点が話題になっています。
広島競輪場のリニューアルにより、瀬戸内エリアには「泊まれる競輪場」が2施設そろいます。今後は広島と岡山を結んだ「瀬戸内サイクルツーリズム」の周遊ルートなど、地域全体での観光効果も期待されます。
▼玉野競輪場の空撮画像

▼選手宿舎兼ホテル「KEIRIN HOTEL 10」

持続可能な収益モデルと地域貢献
広島市は今年度の売り上げを約252億5千万円と見込み、収益の一部(約3億円)を市の一般会計に繰り入れる計画です。これにより道路や集会所の整備など、市民生活に還元される見込みです。全国的に公営ギャンブル施設のリニューアルが進む中、広島競輪場の取り組みは地域経済を支えつつ、市民や観光客に開かれた施設として共存させるモデルケースになるでしょう。
まとめ:広島競輪場のリニューアル工事完了について
今回は広島競輪場のリニューアル工事完了について解説しました。このニュースは、古くなった賃貸アパート・工場・店舗などの所有者にとって、建物をどう扱うべきか考えるうえで参考になる点があります。
- 使っていない建物の現状維持は老朽化につながり、収益悪化や資産価値の低下を招く。
- 解体は出費ではあるものの、建て替えることで土地の活用度が上がり、将来的な収益アップにつながる可能性がある。
もし今、古い建物をどうするべきか迷っているなら、広島競輪場のように「新しい価値を生むかたち」に変える選択肢も検討してみてはいかがでしょうか。その第一歩が、先を見据えた解体計画です。
なお、スッキリ解体では「古家の解体」について徹底解説した記事もございます。あわせてご確認ください。



