【解体ニュース解説】竜巻で被災した建物の公費解体受付開始 静岡県牧之原市

竜巻で被災した建物の公費解体、ようやく受付開始のサムネイル
稲垣 瑞稀

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稲垣 瑞稀

解体業界で6年間働く中で感じた『正しい情報が届かない』というもどかしさから、全記事の企画・編集に責任を持っています。専門家への直接取材を通じ、業界経験者として分かりやすい情報提供をお約束します。

この記事でわかること
  • 2025年9月に静岡県牧之原市で発生した竜巻災害の概要
  • 公費解体の受付開始まで時間がかかった理由
  • 公費解体と自費解体のメリットとデメリット

本記事では、2025年9月に静岡県牧之原市で発生した竜巻災害をもとに、公費解体の対応に時間がかかった理由や公費と自費それぞれのメリットデメリットについて専門家の目線から解説します。

目次

ニュースの概要

  • 報道日: 2026年1月7日

2025年9月、静岡県牧之原市や吉田町を襲った国内最大級の竜巻から4か月が経ちました。いまも被災地を悩ませているのが、「公費解体の壁」です。

新年を迎えた牧之原市。あの日から4か月が経った今も、爪痕が残り続けています。 2025年9月、牧之原市から吉田町にかけて風速75メートルの国内最大級の竜巻が発生し、牧之原市では住宅など1300棟以上に被害が及びました。

年の瀬が迫った12月下旬、牧之原市ではようやく公費解体の相談会が始まりました。

引用:「かなり時間はかかった」解体は早くても2月中旬…国内最大級の竜巻から4か月 被災者を悩ませる“公費解体の壁” リスク伴う「自費」と板挟み|静岡放送

2025年9月に静岡県牧之原市などを襲った大規模な竜巻から4か月が経過した2026年1月時点でも、多くの被災した建物が手つかずのまま残されています。その大きな原因が「公費解体の壁」です。

被災した建物を税金で解体・撤去する「公費解体」制度は、被災者の金銭的負担をなくす支援策です。しかし、申請手続きが煩雑で、行政による業者の選定や入札に時間がかかるため、解体着工まで数か月から1年以上かかるケースも少なくありません。今回の事例でも、解体は早くても2月中旬以降と報じられています。

解体が遅れると、被災者の生活再建の計画も後ろ倒しになってしまいます。そのため、一刻も早く土地を更地にして次のステップに進みたい被災者は、補助金が受けられないリスクを承知の上で、全額自己負担となる「自費解体」を選ぶかどうかの苦しい選択を迫られている、という問題が起きています。

2025年9月に静岡県牧之原市で発生した竜巻災害

運営者 稲垣

今回発生した事象は、観測史上最大級の竜巻災害でした。

令和7年(2025年)9月3日頃から、台風第15号に伴い各地で非常に激しい雨や突風が発生しました。このうち、気象庁では、9月5日に静岡県や茨城県などで発生した突風を竜巻と推定しました。

消防庁によると、死者2名、行方不明者9名、負傷者92名、全壊36棟、半壊169棟など甚大な被害をもたらしています(令和7年9月3日からの大雨による被害及び消防機関等の対応状況(第12報)9月22日14時00分現在)。

引用:令和7年(2025年)9月5日に発生した竜巻災害における静岡県牧之原市・吉田町の被害 写真報告|一般財団法人消防防災科学センター

今回確認された竜巻について、気象庁の発表によると突風の強さは推定で風速およそ75メートルだったとのこと。その強さは、新幹線が高速で走る速度に匹敵します。

風速15~20メートルで歩行者の転倒や車の運転に支障が出始め、風速40メートルを超えると電柱が倒れたりする場合がある事から、今回の竜巻がいかに強かったかが分かります。

公費解体の受付開始まで時間がかかった理由

災害が発生したのが2025年9月5日、ようやく公費解体について合同相談会が設けられたのが2025年12月23日でした。その間約4か月。被災地域の建物は全壊もしくは半壊のまま、手が付けられていない状態で残っています。

なぜ、公費解体の案内がここまで時間がかかってしまったのか。それは、災害の規模が大きかったこともありますが、廃材置き場の確保や業者の手配など、すぐに決定・解決できない要素が多く、被災者の財産を扱うための枠組み作りに多く時間がかかってしまったと市の職員の方が回答しています。また、費用は国からの補助金で賄われるため、税金の適正な執行が厳しく求められます。これが、手続きが複雑化し時間がかかる最も大きな理由です。

この問題は、東日本大震災や熊本地震など、過去の大規模災害でも繰り返し指摘されてきました。災害が起こるたびに制度の迅速化が叫ばれますが、公平性や透明性を担保するプロセスを簡略化することは難しく、根本的な解決には至っていないのが現状です。

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個人で解体業者に依頼する際は、施主と業者でやりとりするので進捗もスピーディーです。しかし、公的機関が制度を設けるためには、多くの被災者をカバーできるように整えなければならないので、様々な要因で進捗は遅くなってしまいます。

空き家を放置するリスクについては、下記記事もあわせてご確認ください。

公費解体と自費解体のメリット・デメリット

現在は公費解体の申し込み受付が始まっていますので、被災者は公費解体か自費解体どちらにするかを選択できるようになりました。しかし、どちらの選択でもメリット、デメリットは存在します。

スクロールできます
メリットデメリット
公費解体・自治体が業者に委託し解体するため、自身で解体業者を手配する手間がない。
・基本的に費用負担は自治体。
・申請しても、工事が完了するまで長いと年単位で時間がかかる可能性が高い。
・自身で信頼できる解体業者を選ぶことができない。
自費解体・直接業者とやり取りするので、解体完了までが早い。
・自分で解体業者を選べる。
・自費解体でも、制度の有無によっては補助金申請ができる。
・解体業者を手配する手間がある。
・解体費用は自己負担。
・必要書類不足など、要件を満たしていない場合、補助金がもらえないリスクがある。

※費用負担については、地域や制度の内容によって異なる場合があります。

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経済的な余裕がなく、時間を待てる人は「公費解体」、多少のリスクを負ってでも早く再建を進めたい人は「自費解体」という、被災者にとってどちらもリスクがある選択をしなければなりません。

今後の予測

全壊・半壊した建物の解体が進まない事で起きるのが、被災空き家問題です。被災した家がもともと空き家だった場合、所有者の特定や相続人全員の同意を得ることがより困難になります。その結果、公費解体の申請すらできず、倒壊の危険がある建物が何年も放置されるケースが全国で問題化しています。これは地域の景観や治安を悪化させ、復興の足かせとなります。

今後の予測として、災害の頻発化に伴い、この「公費解体の壁」問題はますます深刻化するでしょう。対策として、国や自治体はマイナンバーカードを活用したオンライン申請の導入など、手続きのデジタル化・迅速化を急ぐ必要があります。また、普段から自治体と地元の解体業者が有事の際に迅速に業者を動員できる体制を構築することも不可欠です。個人レベルでは、後述するような「自助」の意識、つまり自分自身で備えることの重要性が、これまで以上に高まっていくと考えられます。

まとめ

今回は静岡県牧之原市で起きた自然災害を元に公費解体について解説しました。自然災害は予測が困難かつ発生してしまったら人間は避ける事ができない場合が多くあります。ご自身がり災した場合、決定を焦らずに内容を検討しましょう。そして、平常時に「こんな場合どうする?」と少し意識を向けてみるのも、今後の備えになるでしょう。

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この記事を書いた人

「一個人の責任と情熱で、本当に役立つ情報を発信したい。」

『スッキリ解体』運営責任者。解体業界で6年間働く中で感じた『正しい情報が届かない』という現状を変えるため、全記事の企画・編集に携わり、責任を持って情報発信を行う。

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