
家を解体したいけど、何の届出を出せばいいのか分からない……
解体工事の届出は、建物の規模や条件によって必要かどうか異なります。
そして解体工事の際には、さまざまな法律に基づいて事前に役所などへ届出を行う義務があります。もしこれらの届出がしっかりと申請されなかった場合、解体業者だけでなく工事の発注者であるあなたにも罰則や罰金が科される可能性があります。
この記事では解体工事に必要な「届出」について、手続き方法や流れなどをはじめての方にも分かりやすくポイントを絞って解説します。届出の準備に悩まれる方も、ぜひご参考になさってください。
・届出の多くは委任状により解体業者が代理で提出できるが、申請内容の最終的な責任は施主が負う
・建物滅失登記を怠ると、存在しない建物に翌年以降も固定資産税が課税され続けるため、申請が必要
・ほとんどの手続きは工事前に実施するが、建物滅失登記と水道の停止手続きは工事完了後に行う


一般社団法人あんしん解体業者認定協会 理事
中野達也
解体工事業の技術管理者であり、解体工事施工技士を保有。2011年に解体業者紹介センターを鈴木佑一と共に創設。2013年に一般社団法人あんしん解体業者認定協会を設立し、理事に就任。めざまし8(フジテレビ系列)/ひるおび(TBS系列)/ 情報ライブ ミヤネ屋(日本テレビ系列)/バイキングMORE(フジテレビ系列)など各種メディアに出演。…続きを読む


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解体工事で必要な届出の種類


解体工事を進めるにあたって、事前に行うべき大切な手続きがいくつかあります。
主なものとして、法律に基づく届出と、生活に欠かせないライフラインの停止・撤去・解約が挙げられます。
- 建設リサイクル法に基づく届出
- アスベストに関する届出
- 建物滅失登記申請
- ライフライン(電気・ガス・水道・電話・インターネット回線etc)の停止・解約手続き
上記の届出や手続きは、解体工事を安全かつスムーズに進めるために非常に重要です。工事の遅延を防ぎ、トラブルを未然に防げます。
建設リサイクル法に基づく届出
建設リサイクル法は、建設資材の分別解体や廃棄物の再資源化を目的として、2000年に制定されました。施行されたのは2002年で、正式名称は「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律」といいます。
- 資源の有効な利用の確保
- 廃棄物の減量化
- 資材の適正な処理
建設リサイクル法とは、建物を解体したり新しい家を建てたりする際に出る資材(木材やコンクリートなど)をリサイクルして、資源を大切に使ってゴミを減らすための法律です。
建設リサイクル法について
これまでの建設工事では多くの資材がゴミとして捨てられ、最終処分場の容量を圧迫したり、不法投棄などの問題が起きたりしていました。このような状況を改善するため、一定規模以上の工事の場合は事前にどんなゴミがどれくらい出るかを届け出て、分別とリサイクルが義務付けられています。
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簡単に言うと、「この家を壊したら、ゴミをちゃんと分けてリサイクルしますよ!」って計画を事前に知らせる届出のことです。
建設リサイクル法の対象となる工事の条件
建設リサイクル法の対象となる工事の条件は、次の通りです。
- コンクリート
- コンクリートと鉄から成る建設資材
- 木材
- アスファルトやコンクリート
建築物の解体工事 | 床面積の合計80m2以上 |
建築物の新築・増築工事 | 床面積の合計500m2以上 |
建築物の修繕・模様替等工事(リフォーム等) | 請負代金の額1億円以上 |
建築物以外の工作物の工事(土木工事等) | 請負代金の額500万円以上 |
建設リサイクル法に基づく届出が必要な条件は、木材やコンクリートなどのリサイクルできそうな資材が使われた建物で床面積が合計80m2以上の場合となります。
80㎡=約24坪以上の住宅は一般的なのか
床面積の合計が80㎡以上の住宅は一般的でしょうか。2023年に総務省が発表した「住宅・土地統計調査」によると、戸建て住宅の延べ面積の平均は126.32㎡(約38坪)とされ、多くの住宅がこの基準を上回っています。
したがって、延べ床面積が80㎡(24坪)以上の建物を解体する場合には、「建設リサイクル法」に基づく届出が必要です。
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建物が東京都にある場合、場所によっては10,000m2を超えると届出先が東京都になります。念のため、解体の現場となる市区町村のホームページを確認しましょう。





たとえば写真のようなカーポートだけを撤去したいって場合は、建設リサイクル法に基づく届出が必要になるの?
カーポートのような外構※の撤去は、「建設リサイクル法の対象となる工事の条件」には当てはまらないため必要ありません。
※外構
建物の外にある空間すべてを指す。具体的には、門扉、フェンス、アプローチ(玄関までの道)、駐車場、庭、植栽などが含まれる。
建設リサイクル法の届出の不正をした場合
もし届出が嘘の内容や誤りがあったり届出を申請するのを怠ったりした場合は、虚偽や違反とみなされて20万円以下の罰金が科される場合があります。各自治体で罰金・罰則が異なるので、事前にホームページで確認しましょう。
不法投棄をした場合の処罰
解体工事では資材の分別とリサイクルが義務付けられています。しかし解体業者の中には、廃棄物を分別しなかったり不法投棄をしたりする悪徳業者もいます。解体業者が不法投棄をすると知りながら発注した場合は、共犯扱いになってしまう恐れがあるので注意が必要です。
そうならないためにも、「産業廃棄物収集運搬業許可」を持った解体業者に依頼するのが安心です。産業廃棄物収集運搬業許可を持っている解体業者であれば、不法投棄の恐れがなくなります。



産業廃棄物収集運搬業許可などの資格を持っている解体業者は、収集車両などの設備が整っていると言えるので安心して依頼できます!
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アスベストに関する届出
アスベストを含んだ建物の解体工事は、アスベスト除去に関する届出が必要です。
大気汚染防止法(第18条の15)で定められていて、建物の解体工事の際にアスベストの事前調査が義務付けられています。ただし明らかにアスベストが使われていないような資材の建物の解体工事の場合は不要です。
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アスベストとは
アスベストとは、天然の鉱物繊維です。耐熱性や加工性に優れてて、昔は建材に広く使われていました。しかし生物が吸い込むと健康に悪影響が及ぶことが発覚し、現在の日本では使用が全面的に禁止されています。
アスベスト調査の依頼先
「建物にアスベストが含まれているか分からない」と悩まれる方は、建築設計事務所・設備業者・工務店・調査会社・自治体のアスベスト相談窓口に問い合わせてみましょう。
- 建築物の解体調査
「建築物石綿含有建材調査者講習」修了者、2023年9月までに日本アスベスト調査診断協会に登録された者 - 工作物の解体調査
「工作物石綿事前調査者講習」修了者など
アスベスト除去工事で必要となる届出は「特定粉じん排出等作業実施届出書」「建設工事計画届」「建築物解体等作業届」です。
なお、アスベストのレベル※別によって、必要な届出が異なります。
※アスベストのレベル
アスベストの危険性を表していて、飛散性や健康への影響に基づいて「レベル1」「レベル2」「レベル3」の3段階に分類される。レベル1がもっとも危険レベルが高いとされ、解体時には厳重な飛散防止対策が求められる。
特定粉じん排出等作業実施届出書は、「アスベストを含む吹付け材や保温材が使われている建物の解体、改修、補修工事」が対象となります。
次の条件のいずれかに当てはまる場合は、「石綿飛散防止方法等計画届出書」も合わせて提出する必要があります。
- 使用されている石綿含有吹付け材の面積が15m2以上
- 建築物の延べ面積(建築物以外の工作物の場合には築造面積)が500m2以上
アスベストの概要については、こちらの記事で詳しくご紹介しています。
建物滅失登記申請
建物滅失登記とは、法務局の登記簿に登記されている建物を解体して存在しなくなったことを登記官に届け出る手続きです。この登記を行えば、登記簿上の建物の記録が抹消され、土地の登記情報が現状と一致できます。
建物が滅失したときは、その所有者(登記名義人)は、建物の滅失の日※から1か月以内に、建物滅失の登記を申請しなければならないと、不動産登記法(不動産登記法第49条9)で定められています。
なお、この期間内に建物滅失登記申請を怠った場合は10万円以下の罰金が科される可能性があります(不動産登記法第164条)。
※滅失の日
建物が完全に解体され存在しなくなった日を指す。解体工事が完了した日。
滅失登記をしなかった場合、解体後も建物が存在するものとして固定資産税がかかり続けるので必ず申請しましょう。
その他(ライフライン)の手続き
建物の解体工事を行う際には先述した届出以外にも、ライフラインの停止や撤去に関する手続きが必要です。
これらの手続きを怠ると、解体工事の遅延や事故につながる可能性があるため確実に行いましょう。
- 電気
- ガス
- 電話
- インターネット
- CATV(ケーブルテレビ)
- セキュリティサービス
なお水道については解体工事中に使用するため、解体工事完了後に停止手続きをします。



届出以外にもこんなに手続きが必要なんだねっ
電気・ガスの停止手続きが必要な理由
電気やガスなどは、それぞれ解体工事前に停止手続きが必要です。これらの手続きを怠ると、作業員が怪我をしてしまう重大な事故につながり、工事が遅れて費用がさらに必要になる可能性があります。
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電気を停止しなかった場合
電気が通っている電線やケーブルが解体工事中に誤って切れてしまうと、作業員が感電してしまう危険性があります。 また電線などがショートして火花が散り、火事につながる可能性もゼロではありません。
ガスを停止しなかった場合
ガス管が工事中に破損してしまうと、ガスが漏れ出してしまいます。 ガスは非常に燃えやすい性質があるため、漏れたガスに火花が散ったり静電気が発生したりすると、火事や爆発という大変危険な事故につながる可能性があります。
引き込み線の撤去
電気・電話・インターネット・CATV(ケーブルテレビ)に関しては、停止手続き(契約解除)の他に「引き込み線」の撤去が必要です。
引き込み線とは
引き込み線は、電柱などから建物内に電気や通信回線を引き込むための電線です。解体工事を行う際にこの引き込み線が建物に繋がったままだと、重機などが感電などの事故につながる可能性があるため、必ず撤去する必要があります。


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電話・インターネットの回線の種類
- NTTのアナログ電話回線
連絡先はNTT東西(NTT東日本またはNTT西日本)で、固定電話の契約がある場合は、回線そのものの撤去が必要です。 - 光ファイバー回線(ひかり電話含む)
連絡先は光回線事業者(NTTフレッツ光、auひかり、NURO光など)で、ひかり電話も光回線の一部として提供されているため、光回線と同時に手続きを行います。 - ケーブルテレビ回線
連絡先はケーブルテレビ会社で、テレビだけでなくインターネットや固定電話もケーブルテレビ経由で利用している場合は、そちらも解約・撤去の対象となります。



つい忘れてしまいがちなのが回線の解約手続きです。まず、ご自身が契約している回線の種類を確認しましょう!
セキュリティサービス
セキュリティサービスとは、住まいの安全と安心を守るための防犯・防災対策を総合的に提供する仕組みです。
中でも、住宅を物理的に守るサービスは「ホームセキュリティ」と呼ばれます。
ホームセキュリティとは
ホームセキュリティは、泥棒や火災、ガス漏れなどのリスクから住宅を24時間365日体制で見守り、異常があれば迅速に対応してくれるサービスです。サービスの主な内容は、防犯カメラや各種センサー、警備員の駆けつけ対応などがあります。「セコム」や「アルソック」など、主に日本の大手警備会社が運営しています。
またホームセキュリティは店舗やビルのテナントで多く導入されていますが、近年では一般家庭への導入も増えています。
※クリックで詳細が読めます
警備会社が一般家庭に設置工事を行う「設置工事型」の場合は、警備会社に連絡して解除・撤去手続きが必要です。
解体工事の届出の流れと必要書類


建設リサイクル法に基づく届出の手続き
建設リサイクル法に基づく届出手続きの流れは次の通りです。


1.届出書類の準備
建設リサイクル法に基づく届出は、届出義務者が解体工事を依頼する人(施主)です。そのため基本的には施主が自治体へ届出を提出します。委任状を用意すれば、解体業者に建設リサイクル法に基づく届出の代行をお願いできます。
ただし、代行したとはいえ責任は施主(発注者)にあるため、届出がきちんと自治体に提出されたか最終チェックを忘れないようにしましょう。
建設リサイクル法に基づく届出には、次の書類を準備しましょう。
- 届出書
- 分別解体計画表
- 付近見取り図
- 建築物の写真
- 工程表
- 委任状(代理人が手続きを代行する場合)
なお、地域によって必要な書類が異なる場合があるため、自治体のホームページで確認しましょう。
もし記入漏れなどの不備があった時にも対応ができるように、余裕をもって準備しておくのがオススメです。
2.届出書の作成
準備した書類に基づき、届出書を作成します。次の点に注意して、正確に記載しましょう。
- 工事の名称、場所、期間:どの場所でどんな工事をするのか等を記載します。
- 特定建設資材の種類と量:使用されている特定建設資材(コンクリート、アスファルト、木材など)の種類と見込み量を記載します。
- 分別解体等の計画:どのように分別して解体するかの計画を具体的に記載します。
- 再資源化計画:分別した特定建設資材をどのように再資源化するかの計画を記載します。再資源化施設への搬出方法や搬出先なども記載が必要となる場合があります。
- 建設業者の情報:解体業者の名称、所在地、代表者名などを記載します。解体業者のホームページがある場合は、そこから情報を確認できます。
建設リサイクル法に基づく届出を書くうえで不明な点がある場合は、事前に自治体の建設リサイクル法の担当部署への問い合わせが可能です。
【江戸川区の建設リサイクル法に基づく届出の記入例】※画像左下の矢印をクリックすると、次のページにいきます。(全22ページ)
kaitaikoji-todokede-11(画像引用:建設リサイクル法関係書類記載及び作成例など|江戸川区役所)



記入例があるのはありがたい!参考になるねぇ~!
3.届出書の提出
作成した届出書と添付書類を、工事に着手する原則として7日前までの提出が義務となります。提出先は、現地場所の自治体によって異なります。
建設リサイクル法に基づく届出の申請方法は、次の通りです。
- 窓口申請
- 郵送申請
- オンライン申請
建設リサイクル法に基づく届出の申請方法は、各自治体によって届出先が異なります。
下記の「建設リサイクル法 届出先・問い合わせ先」より、全国の届出先が記載されています。是非ご自身の地域を確認し、参考になさってください。
4.届出の受理と控えの受領
提出した建設リサイクル法に基づく届出が受理されると、受付印が押された控えが交付されます。この控えは、工事期間中も大切に保管しておきましょう。
とくに保存期間などの規定はありませんが、工事現場に備え付けることが義務付けられている場合もあります。


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アスベストに関する届出の手続き
アスベストに関する届出手続きの流れは次の通りです。
1.届出の必要性の確認と書類の準備
事前調査の結果に基づき、ご自身の工事がどの届出の対象となるのかを確認します。アスベストに関する届出は、施主自身が届出義務者となる場合もありますが、基本的には解体業者が代行することが可能です。
各届出に必要な書類は、提出先のウェブサイト等で確認し、入手・準備しましょう。アスベストに関する届出に必要な書類は次の通りです。
- 届出書本体
- 事前調査の結果の記録(写し)
- 工事の概要を示す書類(工程表、配置図、平面図など)
- アスベスト除去等の作業の方法を示す書類
- 飛散防止対策を示す書類
- 届出書本体
- 分別解体等の計画
- 工程表
- 設計図またはその写し
- 委任状(代理人が届出を行う場合)
- 届出書本体
- 工事計画書
- 付近見取図
- 配置図
- 工程表
- 構造概要書(構造図等)
なお、上記以外にも自治体が求める書類が異なる可能性があります。念のため提出先のウェブサイトで必要な書類を確認しましょう。
2.届出書の作成
準備した書類に基づき、各届出書を作成します。正確かつ丁寧な記載を心掛けましょう。
アスベストに関する届出の記載内容は次の通りです。
- 特定粉じん排出等作業実施届出書:アスベストの種類、量、除去方法、飛散防止対策など
- 建設工事計画届:解体する建築物の概要、分別解体計画、再資源化計画、アスベストの有無、処理方法
- 建築物解体等作業届:解体する建築物の概要、工事の工程、安全対策、アスベストの有無と処理方法
不明な点は、事前に各提出先の担当部署に問い合わせることをオススメします。
3.届出書の提出
作成した届出書と添付書類を、それぞれの提出先に提出します。
【アスベストの届出別】レベルと届出先 | ||
---|---|---|
届出の種類 | レベル | 届出先 |
特定粉じん排出等作業実施届出書 | レベル1・2 | 各自治体(市区町村) |
建設工事計画届 | レベル1・2 | 労働基準監督署 |
建築物解体等作業届 | レベル2 | 労働基準監督署 |
提出方法や窓口の場所、受付時間などは各自治体で異なります。事前に各提出先のウェブサイトで確認するか、電話で問い合わせるようにしましょう。
また提出期限は作業または工事開始の14日前までが基本です。なお自治体によって異なる場合があるため、念のため確認しましょう。



アスベストのレベル3だと、届出はいらないの?
レベル3は、アスベスト除去に関する届出は不要ですが「届出書」「事前調査結果報告書」は必要です。ただし、これはレベル1・2にも当てはまり、解体業者が行います。
4.届出の受理と控えの受領
提出した届出書が受理されると、受付印が押された控えが交付されます。これらの控えは、工事期間中も大切に保管し、必要に応じて工事現場に備え付けておきます。
そして特定粉じん排出等作業実施届出を行った場合は、届出内容に基づき、アスベストの除去、封じ込め、囲い込みなどの作業を適切に実施します。作業基準を遵守し、飛散防止対策の徹底が重要です。
建物滅失登記申請の手続き
建物滅失登記申請の手続きの流れは次の通りです。
1.建物取り壊しと証明書の取得
建物の解体後、解体業者から「建物取毀証明書」を受け取ります。これは、建物が存在しなくなった事実を証明する重要な書類です。
2.必要書類の準備
建物滅失登記申請をする際には、次の書類を準備しましょう。
手続きを代行する場合は、委任状が必要です。
- 建物滅失登記申請書
- 解体証明書
- 解体業者の印鑑証明書
- 申請人の本人確認書類
- 申請人の印鑑証明書
- 固定資産評価証明書または固定資産税・都市計画税納税通知書
- 委任状
3.管轄法務局への申請
建物滅失登記申請の提出先は、申請不動産を管轄する法務局です。建物の住所によって、申請先の法務局が異なるので、法務局のホームページで管轄区域を確認できます。
- 窓口申請
- 郵送申請
- オンライン申請
不動産登記の手続きは、全国の法務局で統一されています。法務省が定める法令や通達に基づいて運用されており、基本的な流れはどこでも共通です。
4.登記完了
法務局で書類が審査され、不備がなければ滅失登記が完了します。登記完了までの期間は法務局の混雑状況によりますが、通常1週間から2週間程度です。
登記完了後、「登記完了証」が交付されます(窓口受領または郵送)。
その他(ライフライン)の手続きの流れ


ライフラインの手続きは、原則施主(依頼主)が行います。電話での問い合わせが中心となるため、特別な書類はほとんどありませんがライフラインの停止手続きを進めるうえで、次の注意点に気をつけましょう。
- 早めの手続き:解体工事の日程が決まり次第、速やかに各手続きを開始しましょう。とくに、繁忙期などは手続きに時間がかかる場合があります。
- 契約番号(お客様番号)の確認:問い合わせる前に、契約番号の有無を確認しましょう。
- 連絡先の確認:各手続き先の電話番号やウェブサイトを事前に確認しましょう。
- 立ち会いの確認:工事の際に立ち会いが必要か確認しましょう。
- 解体業者との連携:解体業者と密に連絡を取り合うことで、手違いがないようにしましょう。
電気の停止・撤去手続き
ご契約の電力会社にて、電気の供給を停止する手続きを行います。手続きのタイミングは、解体工事が開始する2週間~1ヶ月前です。なるべく解体工事が始まる前に余裕を持たせて手続きを済ませましょう。
電力会社のウェブサイトや電話から停止手続きが可能です。電気の停止手続きをするうえで、電力会社には次の内容を伝える必要があります。
- 契約者(連絡者)の名前
- 解体する住所
- 連絡先
- 解体日
- 契約番号
建物の解体の際に、電気を停止するだけでなく電柱から建物への引き込み線、メーター、分電盤などの電気設備を撤去してもらう必要があります。電気の停止手続きと同時に撤去についても相談が可能です。



電気設備の撤去費用は基本的に無料なんだって!
電気の停止・撤去手続きの流れ
電気の停止・撤去手続きの流れは次の通りです。
- 電力会社のウェブサイトで解約・撤去の手続き方法を確認
- 電話またはウェブサイトの専用フォームから申し込み
- 担当者からの連絡に従い、必要な情報を提供し、日程を調整
解体工事中には仮設電気を使用する
解体工事では、重機や機材を動かすために電気が必要となります。安全確保の観点から、既存建物の電気設備は原則として事前に撤去されるため、工事中は仮設電気を使用します。仮設電源は、解体業者が発電機などの機材を用意して確保します。
解体工事中に電気を使うケース
例えば、コンクリートブレーカー(破砕機)やフォークリフト、油圧ショベルなどの重機は、通常は燃料で動きますが、取り付けるアタッチメントによっては電力が必要な場合もあります。
また、重機の整備や現場の照明にも電気が使われます。他にもドリル、電動ノコギリ、溶接機などの電動工具も、解体作業や資材の加工・分別作業に広く使われています。
※クリックで詳細が読めます
解体工事中の電気費用の負担は誰?
解体工事中の仮設電気の費用(電気代)については、施主(依頼主)が負担するケースが多いとされています。ただし、明確な決まりがあるわけではなく、見積もりの中に「仮設電気代」として含まれている場合や、別途請求される場合など、業者によって対応が異なります。後々のトラブルを避けるためにも、事前に解体業者と費用負担について確認しておくことが重要です。
ガスの停止・撤去手続き
ご契約のガス会社に、ガスの供給を停止する手続きを行います。解体工事の2週間前を目安に、契約しているガス会社に電話またはウェブサイトから連絡します。
- 都市ガス(東京ガスや大阪ガス、東邦ガスなど)
- プロパンガス(LPガス)



プロパンガス(LPガス)の場合、家の外に設置されているガスボンベに契約しているガス会社の名前が書いてあることが多いですよ。
なお、プロパンガスはボンベやメーターが販売会社からの「借り物(リース契約)」であるケースが多いため、解約に伴いそれらの設備を撤去してもらう必要があります。
ガスの停止手続きをするうえで、ガス会社には次の内容を伝える必要があります。
- 契約者(連絡者)の名前
- ガス管を撤去する住所
- 連絡先
- 解体日
- 契約番号
連絡の際は、「建物の解体工事に伴うガスの使用停止とガス設備の撤去」であることを明確に伝えましょう。単なる引っ越しによる停止では、ガス管の完全な撤去が行われない可能性があります。
とくに都市ガスの場合、「地境撤去(じざかいてっきょ)」※を依頼する旨を伝えるとスムーズです。
※地境撤去(じざかいてっきょ)
道路と敷地の境界でガス管を切り離すこと。
地境撤去の場合は費用がかかる
地境撤去は、費用が発生するケースが多いです。相場としては、2万円~3万円程度が目安とされています。 ガス管が敷地内の地下深くに埋設されている場合や、特殊な工事が必要な場合は、追加費用が発生する可能性があります。
※クリックで詳細が読めます
プロパンガスボンベやメーターの撤去費用は、基本的には無料です。ただし、契約内容によっては費用が発生する場合があるので、契約書を確認するか直接ガス会社に問い合わせるのが確実です。
都市ガスの場合、解体前にメーターの撤去が必要になるため現場で立ち会うが多いです。
ガスの停止・撤去手続きの流れ
ガスの停止・撤去手続きの流れは次の通りです。
- ガス会社のウェブサイトで閉栓・撤去の手続き方法を確認
- 電話またはウェブサイトの専用フォームから申し込み
- 担当者からの連絡に従い、必要な情報を提供し、日程を調整
- 必要に応じて停止工事、撤去工事に立ち会う



契約解除済のガスメーターの撤去に関しては、解体業者側で手配してくれるところもありますので、チラッと聞いてみるのも得策です!
水道の停止手続き
水道の停止手続きは解体工事「後」に行うため、電気やガスとは異なります。解体工事が完了し、敷地が更地になった後に行うのが一般的です。解体工事完了後、または完了が近づいたタイミングで水道局に連絡し、水道の使用中止とメーターの一時休止(または撤去)の旨を伝えます。
施主(建物の所有者)が、管轄の水道局に連絡します。連絡方法は電話やインターネットでの申し込みが可能です。
連絡の際に、検針票などに記載されている「お客様番号」を控えておくとスムーズです。
水道の停止手続きをするうえで、水道局には次の内容を伝える必要があります。
- 契約者(連絡者)の名前
- 水道メーターを休止する住所
- 連絡先
- 解体日
- お客様番号
将来的に新築や再建築の予定がある場合は、「休止」という形でメーターを残しておけます。再開時の手続きが必要となりますが、また水道を再利用する場合に適します。ただし休止中も基本料金が発生するかどうかは地域や水道局によって異なるため、確認が必要です。
水道管を撤去する場合
完全に水道管を切り離す場合は、「本管閉栓」や「引き込み管撤去」といった方法があります。これは道路に埋設された水道本管から敷地への引き込み管を切り離す作業で、多くの場合は水道局の指定工事業者が行います。
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水道の停止手続きの流れ
- 管轄の水道局または市町村の水道課のウェブサイトで手続き方法を確認
- 電話またはインターネットで停止の申し込み
- 水道局の職員が水道メーターを停止
解体工事中の水道代の負担は誰?
解体工事中の水道代は、基本的には施主が負担します。
一般的な規模の建物解体は、5,000円~10,000円くらいが相場です。見積書には「近隣清掃費」や「諸経費」の項目に含まれることが多いです。


電話・インターネット回線の解約手続き
解体工事を行う際、電気・ガス・水道のライフライン撤去はよく認識されていますが、電話回線やインターネット回線の解約手続きも非常に重要です。これらの回線が残ったまま解体作業を進めると回線が損傷し、自分だけでなく隣接する家や地域全体の通信に影響を与える可能性があります。



契約を解約しないままにしておくと、回線を使っていないのに月額利用料が請求され続けることになります。
電話・インターネット回線の解約手続きの流れ
- 契約している通信事業者への連絡
解体工事の約1ヶ月前~2週間前までには連絡し、解約と回線撤去の旨を伝えます。契約者情報、お客様番号、電話番号などを手元に準備しておくとスムーズです。引っ越しではなく、解体工事のため「回線の廃止」であることを明確に伝えましょう。 - 撤去工事日の調整と立ち会い
通信事業者の担当者が現地に訪問し、回線の切り離し作業を行います。立ち会いは基本的に不要ですが、屋外での作業となるため立地や状況によっては立ち会いを求められることがあります。 - レンタル機器の返却
レンタルしている機器がある場合は、指定の方法で返却する必要があります。返却しないと、違約金が発生したり機器損害金が請求されたりすることがあります。 - 最終料金の確認
解約月の日割り計算や、撤去工事費、違約金(契約期間中の解約の場合)などが発生しないか確認しておきましょう。



レンタルする回線の機器には、ルーター、ONU(光回線終端装置)、モデム、IP電話アダプタなどがあるよ!
セキュリティサービスの解約手続き
解体工事に伴うセキュリティサービスの解約は、契約内容の確認と警備会社への早めの連絡、そして機器撤去工事の適切な手配が重要です。とくに、解約予告期間と違約金、機器撤去の要否と費用については、ご自身の契約内容をしっかりと確認しましょう。
なおセキュリティサービスの解約時には、次の費用が発生する可能性があります。
解約金(違約金)は、契約期間の途中で解約の場合に発生することがあります。
一般的には、残りの契約期間に応じた月額料金の一部(たとえば、残りの月額料金の2/3など)が請求されるケースが多いです。契約内容やプランによって金額は異なりますので、契約時に確認が必要です。
セキュリティサービスの多くは、2年や5年といった最低契約期間が設定されています。この期間内に解約すると、解約金が発生することがあります。
また、機器の「レンタル契約」か「買取契約」かの契約形態によって、解約時の費用負担が変わることがあります。
買取契約の場合は初期費用が高いですが、月額料金は抑えられて解約時の機器撤去費用のみで済むことが多いです。
セキュリティサービスの解約手続きの流れ
- 契約内容の確認:契約期間、解約予告期間、違約金(途中解約金)の有無と金額、撤去工事の要否と費用などを確認
- 警備会社への連絡:電話にて、解約の意思を伝える
- 撤去工事の手配(必要な場合):警備機器の撤去が必要な場合、工事日程を調整
- 精算・支払い:未払い料金や撤去工事費用などを精算
【まとめ】解体工事の届出、その他の停止・撤去手続き


解体工事に必要な届出は難しく複雑に感じるかもしれませんが、一つひとつの手続きには重要な意味があります。次の5つのポイントをおさえて、家を解体する際に必要な届出と手続きを理解しましょう。
- 1.解体工事の届出は必ず提出しよう
-
解体工事では「建設リサイクル法」「アスベスト関連」「建物滅失登記」の届出が義務付けられています。これらを怠ると施主(発注者)に罰金が科される場合があるため、実施する必要があります。
- 2.工事中の電気・水道代の費用は契約前に確認しよう
-
解体工事で使用する仮設電気や散水用の水道の費用は、施主負担となる場合が多いです。見積書に明記されているか、後で別途請求となるのか、認識違いによるトラブルを防ぐために契約前に必ず確認しましょう。
- 3.ライフラインの停止手続きには「お客様番号」の準備を
-
電気やガス、水道などの解約手続きでは、契約書に記載の「お客様番号」が必要です。電話をかける前に手元に用意しておくことで本人確認がスムーズに進み、手続きの時間を短縮できます。
- 4.電話・ネット回線の解約は忘れずに
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解体後も電話やインターネットの契約を放置すると、利用していなくても月額料金が請求され続けます。ムダな支出を避けるため、建物解体に伴う「回線の廃止」手続きを必ず行いましょう。
- 5.届出・手続きは余裕を持った計画を
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とくにライフラインの手続きは繁忙期に混み合うことも。解体業者が決まったらすぐに全体の手続きスケジュールを確認し、早めに準備しましょう。



届出の手続きを進めるうえでもっとも確実な方法は、「信頼できる解体業者に依頼する」ことです。 経験豊富な解体業者は届出の手続きには慣れているので、あなたをしっかりとサポートしてくれますよ!


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