【解体ニュース解説】廃材置き場で火災発生 鹿児島県鹿児島市

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稲垣 瑞稀

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稲垣 瑞稀

解体業界で6年間働く中で感じた『正しい情報が届かない』というもどかしさから、全記事の企画・編集に責任を持っています。専門家への直接取材を通じ、業界経験者として分かりやすい情報提供をお約束します。

この記事でわかること
  • 鹿児島市で発生した解体業者火災の概要と背景
  • 解体現場で火災が起きる主な原因
  • 解体業者が講じている火災対策

この記事では、鹿児島市で起きた廃材置き場での火災のニュースをもとに「解体現場で火災が発生する主な原因」、「解体業者が講じる火災対策」を、専門家の視点から解説します。

目次

ニュースの概要

公開日: 2025年11月22日

22日午前10時15分ごろ、鹿児島市小野町の解体工事会社「うめはな産業」=同市武岡4丁目、会社役員男性(46)管理=の敷地内のごみ置き場から出火、廃材の窓のサッシや木の棚など約150平方メートルを焼いた。

 鹿児島西署によると、けが人はいない。従業員が「ごみ置き場のごみが燃えている」と119番した。

引用:解体工事会社敷地内のごみ置き場から出火、150平方メートル焼く けが人なし 鹿児島市|南日本新聞

2025年11月22日、鹿児島市にある解体工事会社の敷地内で火災が発生しました。火元は屋外に置かれていた廃棄物(ごみ)置き場で、消防により鎮火されましたが、約150平方メートルが焼損しました。幸いにも、この火災によるけが人はいなかったと報じられています。警察と消防が詳しい出火原因を調査中です。

今回の火災原因の予想

廃材置き場近くの焼却炉が原因?

今回の火災の原因として考えられているのが、「廃材の仮置き場近くの焼却炉から火の粉が飛んで燃え移った可能性」です。

空気が乾燥していると、小さな火種でも燃え広がりやすくなります。また、火災当日の鹿児島市の湿度は、平均湿度67%(最低湿度40%)で、当月で3番目に湿度が低い日でした。

最小湿度が約25%、実効湿度が約60%より低くなると、乾燥して火事が発生しやすくなったり、発生した火事が広がりやすくなると言われています。

引用:「最小湿度(さいしょうしつど)」と「実効湿度(じっこうしつど)」って何?|質問コーナーはれるんライブラリー|国土交通省気象庁

運営者 稲垣

該当業者は解体工事の許可取得あり、過去違反歴もなく、公共事業にも携わっているような優良業者です。
きちんと現場管理をしていても、気象条件などが要因で不慮の事故に繋がってしまう事もあります。

解体現場で火災が起きる主な原因

今回の火災は不慮の事故の可能性が高いですが、解体現場を含む「工事現場」での火災は度々発生しています。その主な原因をみてみましょう。

運営者 稲垣

解体現場で起きる火災の主な原因は、「溶接溶断作業による火花」「たばこ」「放火」「電気配線関係」が考えられます。

溶接・たばこ・放火・電気配線 の火災要因イメージ画像

溶接・溶断作業による火花(最も多い作業的要因)

鉄骨の切断や解体に使用するガスバーナー等の火花が、周囲の可燃物に引火して発生します。

  • 具体的なメカニズム:
    • 火花が、壁の内側に残っていた**ウレタンフォーム(断熱材)**や、床下のほこり、養生シートなどに飛び火する。
    • 作業直後は無事に見えても、火花が断熱材の内部でくすぶり続け、数時間後(作業員が帰宅した後)に出火する「無炎燃焼」が多いのが特徴。

たばこの不始末(人的要因)

これは作業員の喫煙ルール違反や、吸い殻のポイ捨てが原因です。

  • 具体的なメカニズム:
    • 指定場所以外での喫煙。
    • 解体ガラ(廃材)やプラスチックごみの中に吸い殻を捨て、乾燥した廃材が一気に燃え広がる。
運営者 稲垣

この点に関しては、解体業者を選ぶ際にマナー等がしっかりしている業者を選ぶ事でリスクの軽減ができるでしょう。

なお、スッキリ解体では優良な解体業者の選び方について徹底解説した記事もございます。あわせてご確認ください。

放火(管理上の要因)

解体現場は夜間に無人になりやすく、燃えやすい廃材が積まれているため、放火犯の標的になりやすい傾向があります。

  • 具体的なメカニズム:
    • 敷地内への侵入防止措置(仮囲いの施錠など)が不十分。
    • 廃材や可燃物が整理されず、道路から手の届く場所に放置されている。

電気関係(配線トラブル)

解体中に誤って活線(電気が通っている電線)を傷つけたり、仮設電気のショートなどが原因となります。

  • 具体的なメカニズム:
    • 電気の供給停止(解約)確認不足のまま作業を行い、配線を切断してショートさせる。
    • 粗雑な仮設電気配線からの漏電。

解体業者が講じる火災対策

溶接・溶断時の対策

  • 事前の可燃物撤去: 火花が飛ぶ範囲にある内装材、断熱材、畳、ゴミなどを事前に手作業で撤去します。
  • 十分な散水(水まき): 作業前・作業中・作業後に現場を十分に湿らせ、火花が引火しないようにします。
  • 監視員の配置: 作業者とは別に、火の粉が危険な場所に飛んでいないかを見張る人員を配置します。

散水による対策

埃を抑えるだけでなく、乾燥による出火を防ぐために、常に水をまきながら重機を動かします。特に乾燥注意報が出ている日や風が強い日は念入りに行います。

タバコの管理(喫煙ルールの徹底)

現場での「くわえタバコ」は厳禁です。

  • 指定場所での喫煙: 灰皿と水バケツを用意した指定場所以外での喫煙を禁止します。
  • 完全禁煙: 現場によっては敷地内完全禁煙とする業者も増えています。

放火対策(防犯対策)

解体中の空き家は放火の標的になりやすいため、夜間の管理を徹底します。

  • 養生シートと仮囲い: 外部から簡単に侵入できないよう、ゲートやフェンス(仮囲い)を施錠します。
  • 整理整頓: 燃えやすい廃材を放置せず、その日のうちにコンテナに積むか搬出します。

廃棄物の分別管理

運営者 稲垣

優良業者では今回のような廃材置き場での火災への対策も講じられています。

  • 徹底した分別: リチウムイオン電池(モバイルバッテリー等)、スプレー缶、ライターなどが廃材に混ざると、重機で踏みつぶした際に爆発・発火します。現場から持ち帰る前に、電池類やライター、スプレー缶などの危険物を除去・分別します。
  • 保管期間の短縮: 廃材を長期間自社に溜め込まず、速やかに最終処分場へ搬出します。
  • 積み上げ管理: 自然発火を防ぐため、廃材を高く積み上げすぎない、定期的に山を崩して熱を逃がすなどの管理を行います。
運営者 稲垣

もしこれから解体業者を選ぶなら、見積もり時に廃材の処分方法を聞いてみたりGoogleマップの航空写真で廃材の管理状況を見てみるのもおすすめです。
解体業者との契約は、不安要素を減らして、納得できる状態で行うことがマストです。

まとめ:解体業者による火災発生ニュースについて

普段から気を付けて作業していても、時に不慮の事故が起きてしまう事はあります。これから空気が乾燥する冬場を迎えるにあたり、こんな事も起きるという可能性を持って過ごしましょう。

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この記事を書いた人

「一個人の責任と情熱で、本当に役立つ情報を発信したい。」

『スッキリ解体』運営責任者。解体業界で6年間働く中で感じた『正しい情報が届かない』という現状を変えるため、全記事の企画・編集に携わり、責任を持って情報発信を行う。

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