この記事では、埼玉県坂戸市の解体業者で解体工事を行った進藤さん(仮名)の事例を紹介します。
・解体工事の見積書が複雑すぎて、読み方が分からない
・分離発注をするメリットとデメリットってなにがあるの?
坂戸市にお住まいの進藤さんは、実家の建て替えにあたり解体工事を検討していました。
実際に解体業者から送られてきた見積書で、最も驚いたのが項目数の多さでした。記載されている項目が何の費用なのか、全く分からなかったそうです。
解体業者によって、見積書の項目数って違うの???
そうだね。見積書の書き方には厳密なルールが決まっていないから、業者によって全然異なるよ。
決まってないんだ!?じゃあ、複数の業者に見積りをお願いしたら、同じ現場でも業者ごとに見積書の書き方が違うの?
その通り!解体業者の中には、項目をまとめて「一式」とだけ表記する場合もあるんだ。そう書かれると、何の費用なのか分からないよね。
見積書の項目が詳細に記載されている解体業者に工事を依頼しましょう。見積書に「一式」と大まかに表記されている場合は、どの工事が含まれているのか分かりにくいですよね。そのまま契約してしまった結果、一部の悪徳業者が「追加工事が必要になった」として、高額な追加費用を請求する場合があるので注意が必要です。
高額な追加費用!?それは困るよね!!
そういった悪徳業者も中にはいるんだよ。それが原因で、依頼主と解体業者の間でトラブルに発展してしまう場合があるんだ。
それはトラブルになるのも仕方ないと思っちゃう。見積書の金額で納得したから、解体工事を依頼したのに……。
そうだよね。だから解体工事を依頼する際には、見積書をしっかりと見極めることが大切なんだ。
それでは、家の建て替えにあたり分離発注を検討していた坂戸市の進藤さんが、見積書の項目をどのように理解して解体工事を依頼するに至ったのか、その流れを以下で紹介します。
中野達也。一般社団法人あんしん解体業者認定協会理事。解体工事業の技術管理者であり、解体工事施工技士を保有。2011年に解体業者紹介センターを鈴木佑一と共に創設。2013年に一般社団法人あんしん解体業者認定協会を設立し、理事に就任。めざまし8(フジテレビ系列)/ひるおび(TBS系列)/ 情報ライブ ミヤネ屋(日本テレビ系列)/バイキングMORE(フジテレビ系列)など各種メディアに出演。
解体工事の概要と背景
今回進藤さんが取り壊した建物 | |
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構造/種類 | 木造2階建て |
坪数 | 48坪 |
所在地 | 埼玉県坂戸市 |
進藤さんが依頼した物件は48坪の木造2階建て住宅で、一般的には広い規模の物件です。
あらかじめ、建て替えを依頼する建設会社は決めていたとのことです。
新築を建てる際は分離発注をしたほうが解体費用を抑えられることを知っていたため、解体業者は建設会社とは別で探されていました。
分離発注って、家を建て替えるときに建設会社と解体業者を別々に依頼することなの?
簡単に言えばそうだけど、それだけじゃないんだ。設計や施工なども、それぞれ得意な専門業者に分けて依頼することができるよ。
なるほど!分離発注のメリットって、コスト削減だけなの??
おっ、いい質問だね。もちろんそれだけじゃなくて、専門業者に直接依頼することで意思疎通がしやすくなるっていう利点もあるんだよ。
分離発注には、依頼者にとって多くのメリットがあります。ただし、トラブルが発生した際には自分で対応しなければならない点に注意が必要です。また解体業者を選ぶ際には、業者の良し悪しをしっかりと見極める必要があります。さらに建設会社が分離発注に難色を示す場合、工事の引き継ぎの際に残土処理などで連携ミスが生じることもあります。
埼玉県坂戸市で解体業者を探す場合の参考情報 | |
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坂戸市の登録解体業者数 | 9社 |
工事に対応して貰える解体業者の所在地 | 坂戸市、鶴ヶ島市、北本市、川越市、入間郡など |
坂戸市の解体工事坪単価(木造) | 32,898円 |
坂戸市の解体工事坪単価(鉄骨造) | 36,115円 |
坂戸市の解体工事坪単価(RC造) | 70,986円 |
坂戸市特有の規制や条例 | 景観計画区域内では、一定規模を超える建築物・工作物の新築や修繕、資材置き場の整備などは届出が必要となります。 |
坂戸市の都市計画や再開発エリアの影響 | 坂戸市北坂戸地区では、都市公園を小学校跡地への移転や、地域交流センター等の複合施設である多世代交流拠点を立地することにより都市機能の集約を計画されています。 |
坂戸市内のゴミ処理場の距離・運搬コスト | 坂戸市内の解体業者が利用する廃棄物処理場までの距離や、解体物を処理するための運搬コストも工事費用に影響します。埼玉県内の他地域と比較しても、処理場までの距離や運搬費が異なる場合があるため、それも加味して業者を選ぶと良いでしょう。 |
見積書の7つある項目の内訳とは?
進藤さんの希望で、解体業者に見積書の内訳を7つの項目に絞って詳しく説明してもらいました。
進藤さんが実際にもらった見積書は、全部で3枚ありました。
それでは、見積書の項目ごとに詳しく紹介します。
1.解体作業費と廃材の処分費
解体工事で費用の割合が大きい項目は、「解体作業費」と「廃材の処分費」です。
しかし上記の見積書の画像を見ると、それらの項目が見当たりません。解体業者の説明によると、画像の赤枠で囲われた「建物解体工事」と「延床面積」の項目にこれらがまとめて含まれているとのことでした。
そして「建物解体工事・面積」の項目(約164万円)のうち、大体半分くらいが廃材の処分費に充てられました。
う~~ん、確かに「建物解体工事」「延床面積」だけの表記だと
何の費用だろうって正直思っちゃうかも……。
そうだよね。今まで解体工事の見積書を見たことがない人にとっては、あまりピンとこない書き方かもしれないね。
あれ?「建物解体工事・面積」の半分の割合が廃材の処分費なんだ。そんなに費用がかかるものなの??
そう、意外と思われるかもしれないけどね。ちなみに解体工事を発注する時期や利用する処分場によって、処分費が変動することもあるよ。
建物土台部分の構造
解体作業費と廃材の処分費について、もう一つ重要なポイントがあります。それは、建物の土台部分にあたる基礎の構造です。
基礎には「布基礎」と「ベタ基礎」の2種類があり、場合によっては特殊な構造をしていることもあります。
- 布基礎・・・・一般的な基礎(上の写真は布基礎)
- ベタ基礎・・・コンクリートの使用量が多く、撤去に手間と費用がかかる
見積書を見ると、延床面積の備考欄に「布基礎」の記載がありました。
もしベタ基礎だった場合は、追加作業費と追加処分費が発生します。さらに基礎の構造は、実際に解体工事を進めてみないと分からないケースもあります。
可能であれば、床下換気口からの確認や床板の一部を剥がすなどをして測量時にしっかり確認してもらいましょう。
2.建物養生費
解体工事では大量のホコリと騒音が発生するため、解体現場の近隣に建物がある場合には必ず養生シートを張って作業します。
その費用は、「建物養生費」の項目に記載されています。
ちなみに、解体工事で最も多い苦情はホコリに関するものだそうです。未然にトラブルを防ぐためにも、解体工事の際は養生シートをしっかり張ってもらうようにしましょう。
3.付帯工事
「付帯工事」とは、建物以外の撤去にかかる費用を指します。つまり、建物そのものを壊す以外の作業がほとんど含まれることになります。
この見積書では、樹木の伐根や土間コンクリートの処分費用が含まれていました。
他にも、ブロック塀やカーポートの撤去も付帯工事の対象となります。
んん??でもさ、付帯工事に分けないで「解体作業費」に全部まとめちゃえば良くない?なんでダメなの?
確かに!でもね、別々に項目を設けるのは必要なことなんだ。今回の樹木やコンクリートもそうだけど、廃材はリサイクル法に基づいてきちんと分別する必要があるんだよ。
そっか!「解体作業費」に全部まとめちゃうと、分別して処分したかも分からなくなっちゃうね。
そうなんだよ。だから項目を分けて記載してくれる解体業者は、適正な処分をしてくれる業者だと判断できるよね。
4.手壊し
「手壊し」とは、職人が手作業で建物を壊す際に発生する追加費用のことです。
例えば、解体現場付近の道幅が狭くて重機が使えない場合などに、手作業が必要となります。重機による解体と比べると、手間がかかり人件費も増えるため、費用は高額になります。
今回は隣の家との距離が近かったため、建物など全てを重機で壊すと瓦礫(がれき)が飛んで近隣トラブルになる恐れがありました。そのためデリケートな部分は手作業で対応したので、手壊しの費用が発生しています。
5.その他処分費
庭に2台の物置があり、その撤去に追加費用がかかりました。下の画像のように、「物置2台」と記載されています。
物置自体はそれほど大きなものではありませんでしたが、自分で処分するのは手間だったため、解体業者に廃材と一緒に処分してもらったそうです。
また解体業者から、「家電や家財などの不用品がある場合、自分で処分したほうが費用を抑えられますよ」とアドバイスをもらったそうです。引っ越しの際に不用品はすべて自分で処分していたため、処分費が高額にならずに済みました。
6.近隣の清掃費
建物を重機で壊すときには大量のホコリが発生するため、作業中は常に水を撒いてホコリを抑えなければなりません。このため、水道代を含む「近隣清掃費」が必要になるのです。
なお、この清掃費の主な内訳は水道代です。現場周辺を清掃する際にも水道を使用しますが、それ以上に重要なのが散水です。
他にも、解体工事の際に瓦礫を積んだトラックが何度も出入りすると、道路が汚れてしまうことがあります。そのまま放置すると、近隣からの苦情やトラブルの原因になりかねません。
「近隣清掃費」を設けることで、解体業者が道路を定期的に清掃し、きれいな状態を保てるようにしています。
7.重機回送費
最後に、「重機回送費」の項目についてです。解体工事で使用するクレーンなどの重機は、トラックで現場まで運搬されます。
重機の運搬にかかる費用は、主に運転手の人件費やガソリン代が含まれます。また解体業者によっては重機がリース品の場合もあり、その際はレンタル料が別途かかることがあります。今回依頼した解体業者は自社で重機を保有していたため、リース料は発生しませんでした。
「重機回送費」って、色んな費用が含まれてるんだね!
そうなんだよ。ちなみに現場から解体業者まで距離があるとその分料金がかかるから、合見積りをする際の判断材料にしても良いかもね。
見積書の各項目を解体業者が一つ一つ丁寧に説明してくれたおかげで、進藤さんは費用の内訳をしっかり理解することができました。見積り金額にも十分納得できたため、この解体業者に工事を依頼することにしました。
実際の解体工事過程
解体工事が始まると、頑丈な足場を組んで養生シート張ります。
数種類に分別された廃材は、トラックに積み込んで処分場に運ばれます。
解体工事で使用する重機は、クレーンの先端が特殊な形をした特別仕様です。このため普通の重機と比べて、家屋をより効率的に撤去することができます。
家屋の撤去後は整地され、きれいな更地になりました。
【まとめ】今回の解体工事のポイント
今回の解体工事のポイントは、「分離発注をすることで費用を安く抑えられたこと」「見積書の項目をしっかりと把握して、安心して解体工事を依頼できたこと」でした。
見積書の項目が理解できると、解体工事がどういうものなのかもわかってくるね!
その通り!こうやって項目ごとに確認していくと理解できるけど、見積書の内容に不安を感じる依頼者さんはとても多いんだよ。
項目の内訳を理解することが、解体工事を依頼するうえでどれほど重要かよくわかったよ!
そうだね。見積書に記載された費用が何に使われるのかを自分で把握することは、良い業者を選ぶ上でもきっと役立つからぜひ覚えておいてほしいな!
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