10坪の家の解体費用は?実例で見る相場と注意点まとめ

【専門家監修】10坪の家の解体費用は?実例で見る相場と注意点まとめのアイキャッチ
稲垣 瑞稀

この記事の案内人・編集長

稲垣 瑞稀

解体業界で6年間働く中で感じた『正しい情報が届かない』というもどかしさから、全記事の企画・編集に責任を持っています。専門家への直接取材を通じ、業界経験者として分かりやすい情報提供をお約束します。

なやみん

10坪の家の解体費用って、いくらかかるの?

10坪の家を解体する場合、費用相場は40万円〜150万円です。ただし、現場の条件によって金額は大きく変わるため、正確な費用を知るには解体業者に見積もりを取るのが一番です。

この記事では、11万件以上の相談実績を持つ「一般社団法人あんしん解体業者認定協会」の監修のもと、10坪の家の解体費用を徹底解説します。

実際の見積もりデータや、業界の専門家である中野理事への直接取材に基づいた、信頼性の高い情報だけをお届けします。

この記事でわかること
  • あなたの家の構造(木造・鉄骨造)に合わせた、より正確な10坪の費用相場がわかります。
  • 10坪の家ならではの「費用が割高になる理由」とその対策がわかります。
  • 実際の見積書を見て、損をしないためのチェックポイントがわかります。
  • 補助金の活用など、費用を数十万円安くする7つの方法のポイントがわかります。
  • 罰金やトラブルを避け、安心して工事を終えるための6つの注意点がわかります。

この記事の制作チーム

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中野 達也監修者

一般社団法人あんしん解体業者認定協会 理事

中野 達也(なかの たつや)

解体工事業の技術管理者であり、解体工事施工技士を保有。2011年に解体業者紹介センターを鈴木佑一と共に創設。2013年に一般社団法人あんしん解体業者認定協会を設立し、理事に就任。めざまし8(フジテレビ系列)/ひるおび(TBS系列)/ 情報ライブ ミヤネ屋(日本テレビ系列)/バイキングMORE(フジテレビ系列)など各種メディアに出演。

稲垣 瑞稀運営責任者

「スッキリ解体」編集長

稲垣 瑞稀(いながき みずき)

解体業界専門のWebメディアでWebディレクターとして6年以上、企画・執筆・編集から500社以上の解体業者取材まで、メディア運営のあらゆる工程を経験。正しい情報が届かず困っている方を助けたいという想いから、一個人の責任と情熱で「スッキリ解体」を立ち上げ、全記事の編集に責任を持つ。

馬場 美月執筆

「スッキリ解体」専属ライター

馬場 美月(ばば みづき)

「解体工事の準備から完了まで、初めての方でも迷わないよう、一つずつ丁寧に解説します。」

「初心者にもわかりやすく」をモットーに、解体工事の全工程をステップバイステップで解説する記事を得意とするライター。毎週の専門勉強会で得た知識や業者様へのインタビューを元に、手続きの流れや専門用語を図解なども交えながら、読者が迷わずに理解できる記事作りを心がけている。

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目次

10坪の家の解体費用相場【構造・階数・地域別】

10坪の家の解体費用相場は40万円~150万円のアイキャッチ

【中野理事に聞いた】協会のデータで見る解体費用の内訳と変動する理由

稲垣:さっそく、この記事を監修していただいている「あんしん解体業者認定協会」の理事である中野達也氏にお話をうかがいます。中野氏は、解体業界の法律や制度にも精通した、まさに費用のプロです。

中野 達也 監修者

一般社団法人あんしん解体業者認定協会 理事

中野 達也 (なかの たつや)

解体工事業の技術管理者であり、解体工事施工技士を保有。2011年に解体業者紹介センターを鈴木佑一と共に創設。2013年に一般社団法人あんしん解体業者認定協会を設立し、理事に就任。めざまし8(フジテレビ系列)/ひるおび(TBS系列)/ 情報ライブ ミヤネ屋(日本テレビ系列)/バイキングMORE(フジテレビ系列)など各種メディアに出演。

稲垣:協会が保有する11万件以上のデータによると、10坪の家の解体費用は一体いくらくらいが相場なのでしょうか?

理事 中野達也

協会が保有する11万件以上のデータによると、10坪の家の解体費用の総額は、およそ40万円~150万円が相場です。

稲垣:では、構造別に詳しく見ると、相場はそれぞれどうなりますか?

理事 中野達也

10坪の家の解体費用を構造別に見ると、木造40万円~150万円、軽量鉄骨造70万円~120万円、鉄骨造70万円~120万円が目安です。

ただし、この金額はあくまで「総額」の相場です。実際の費用の中身をより正確に把握するためには、「建物本体の解体費用(=本体工事費)」「ブロック塀や庭木などの付帯物の解体費用(=付帯工事費)」「諸経費」に分けて考えることが大切です。

本体工事費の相場

まずは、10坪の本体工事費の相場から見ていきましょう。10坪の解体費用全体の約59%を占める、最も大きな部分です。

理事 中野達也

本体工事費は、建物の構造によって坪単価が異なります。下の表でご自身の家の構造と見比べながら確認してください。

木造住宅

平均坪単価
4万1,012円/坪

10坪の木造住宅なら、本体工事費の相場は「1坪あたり4万1,012円」です。これを坪数に当てはめると、次の通りです。

費用相場【坪数別】
坪数費用相場
10坪41万120円
11坪45万1,132円
12坪49万2,144円
13坪53万3,156円
14坪57万4,168円
15坪61万5,180円
16坪65万6,192円
17坪69万7,204円
18坪73万8,216円
19坪77万9,228円

ただし、本体工事費は建物の階数地域などの条件によっても金額が変わるので、その点に注意が必要です。

階数別

10坪の木造住宅の場合、本体工事費は「1階建て(平屋)< 2階建て < 3階建て」の順番で高くなる傾向があります。

平均坪単価【階数別】
階数平均坪単価
1階(平屋)建て3万9,110円
2階建て4万2,488円
3階建て5万9,645円

地域別

10坪の木造住宅の場合、本体工事費は都心部(関東・関西・中部)でやや高くなる傾向があります。

平均坪単価【地域別】
地域平均坪単価
北海道・東北3万7,417円
関東4万571円
中部3万8,538円
関西4万7,178円
中国・四国4万723円
九州・沖縄3万8,718円

軽量鉄骨造住宅

平均坪単価
4万2,382円/坪

10坪の軽量鉄骨造住宅なら、本体工事費の相場は「1坪あたり4万2,382円」です。これを坪数に当てはめると、次の通りです。

費用相場【坪数別】
坪数費用相場
10坪42万3,820円
11坪46万6,202円
12坪50万8,584円
13坪55万966円
14坪59万3,348円
15坪63万5,730円
16坪67万8,112円
17坪72万494円
18坪76万2,876円
19坪80万5,258円

ただし、本体工事費は建物の階数地域などの条件によっても金額が変わるので、その点に注意が必要です。

階数別

10坪の軽量鉄骨造住宅の場合、本体工事費は「1階建て(平屋)< 2階建て < 3階建て」の順番で高くなる傾向があります。

平均坪単価【階数別】
階数平均坪単価
1階(平屋)建て3万8,764円
2階建て4万2,296円
3階建て5万8,687円

地域別

10坪の軽量鉄骨造住宅の場合、本体工事費は「関西」で高くなる傾向があります。

平均坪単価【地域別】
地域平均坪単価
北海道・東北
関東4万480円
中部3万8,623円
関西5万4,293円
中国・四国
九州・沖縄

鉄骨造住宅

平均坪単価
4万9,077円/坪

10坪の鉄骨造住宅なら、本体工事費の相場は「1坪あたり4万9,077円」です。これを坪数に当てはめると、次の通りです。

費用相場【坪数別】
坪数費用相場
10坪49万770円
11坪53万9,847円
12坪58万8,924円
13坪63万8,001円
14坪68万7,078円
15坪73万6,155円
16坪78万5,232円
17坪83万4,309円
18坪88万3,386円
19坪93万2,463円

ただし、本体工事費は建物の階数地域などの条件によっても金額が変わるので、その点に注意が必要です。

階数別

10坪の鉄骨造住宅の場合、本体工事費は「2階建て < 1階建て(平屋)< 3階建て」の順番で高くなる傾向があります。

平均坪単価【階数別】
階数平均坪単価
1階(平屋)建て4万6,814円
2階建て4万2,078円
3階建て6万5,277円

地域別

10坪の鉄骨造住宅の場合、本体工事費は「中部」で高くなる傾向があります。

平均坪単価【地域別】
地域平均坪単価
北海道・東北
関東6万5,277円
中部4万9,162円
関西4万2,989円
中国・四国
九州・沖縄

稲垣:なるほど、建物の構造だけでこんなに違うのですね。建物本体以外にも費用はかかるのでしょうか?

理事 中野達也

はい、その通りです。建物以外にあるブロック塀や庭木などを撤去する費用が「付帯工事費」として別途かかります。解体費用全体の約3割を占めることもあり、見落とせない項目です。

付帯工事費の相場

建物本体の解体に加え、庭や敷地内にあるブロック塀や庭木などの「付帯物」を撤去する場合は、別途費用がかかります。この「付帯工事費」は、10坪の解体費用全体の約32%を占めるのが一般的です。

付帯工事内容単価/単位
残置物の撤去費1万2,000円~/m3
庭木の撤去費1万2,000円~/m3
庭石の撤去費1万2,000円~/m3
土間の撤去費2,500円~/m2
ブロック塀の撤去費2,500円~/m2
物置の撤去費2万円~/ケ
カーポートの撤去費2万円~/式
太陽熱パネルの撤去費3万円~/式
ウッドデッキの撤去費4万円~/式
井戸の埋め戻し5万円~/式
コンクリート製の浄化槽の撤去費5万円~/基
FRP製(繊維強化プラスチック)浄化槽の撤去費2万円~5万円/基
付帯工事内容単価/単位
残置物の撤去費1万2,000円~/m3
庭木の撤去費1万2,000円~/m3
庭石の撤去費1万2,000円~/m3
土間の撤去費2,500円~/m2
ブロック塀の撤去費2,500円~/m2
物置の撤去費2万円~/ケ
カーポートの撤去費2万円~/式
太陽熱パネルの撤去費3万円~/式
ウッドデッキの撤去費4万円~/式
井戸の埋め戻し5万円~/式
コンクリート製の浄化槽の撤去費5万円~/基
FRP製(繊維強化プラスチック)浄化槽の撤去費2万円~5万円/基

稲垣:本体工事費と付帯工事費の他に、諸経費もあるんですよね?

理事 中野達也

書類作成の費用や現場の管理費といった「諸経費」がかかります。さらに、これまでお話しした費用は、現場の「壊しやすさ」によって大きく変動します。

諸経費の相場

解体費用には、「本体工事費」や「付帯工事費」のほかに、「諸経費」と呼ばれる雑費も含まれます。この諸経費は、10坪の解体費用全体の約9%を占めるのが一般的です。

ただし、解体費用は現場ごとに大きく異なります。というのも、「壊しやすさ」がそれぞれの現場でまったく異なるためです。

◎費用が安くなりやすい場合

  • 木造や軽量鉄骨造など、建物の構造がシンプル
  • 家の前の道路が広く作業しやすい
  • 現場周辺の人通りが少ない
  • 解体するのが建物本体だけ など

費用が高くなりやすい場合

  • 鉄骨造やRC(鉄筋コンクリート)造など、建物の構造が頑丈
  • 前面道路が狭く、重機やトラックが入りにくい
  • 学校(通学路)や商店街、病院などが近い
  • ブロック塀・庭木・倉庫など、付帯物の撤去も含まれる など
理事 中野達也

正確な金額を知るには、解体業者による現地調査と見積もりが欠かせません。

【ご注意】
・本記事で掲載している費用相場は、監修の「一般社団法人あんしん解体業者認定協会」が保有する2025年7月時点の解体工事データから独自に算出したものです。
・「ー」は、情報が少なく相場を算出できなかった地域・坪数を示しています。データが集まり次第、随時更新します。
・実際の費用は個々の条件で変動するため、あくまで目安としてご活用ください。

【10坪の家】解体費用が「小さいのに高い」と感じる4つの理由

【10坪の家】解体費用が相場より高くなる4つの理由のアイキャッチ

「小さい家だから解体費用も安いはず」と考えていると、見積もり金額に驚くかもしれません。10坪という小規模な家だからこそ、費用が割高になりやすい4つのケースをご紹介します。

【中野理事に聞いた】なぜ10坪の家は割高になるのか?

稲垣:10坪のような小さい家は、解体費用も安くなるイメージがあります。しかし、実際には「思ったより高かった」という声も聞きますが、これはなぜなのでしょうか?

理事 中野達也

はい、それは非常に重要なポイントです。「小さい家=安い」と単純に考えてしまうと、見積もりを見て驚くことになります。10坪という小規模な家だからこそ、費用が割高になりやすい、4つの典型的なケースがあります。

理由1:「坪単価」が高くなる

平均坪単価【坪数別】
坪数平均坪単価
10坪4万1,219円
30坪3万5,652円

解体工事は、30坪の家より10坪の家の方が「坪単価」でみると高くなる傾向があります。これは、重機の運搬費や足場の設置費、書類作成費といった「固定費」が、建物の大きさに関わらず一定額かかるためです。総額としては安くても、坪数で割ると割高になることを覚えておきましょう。

理由2:重機が入れず「手壊し解体」になる

10坪の住宅は、住宅密集地や狭い路地に建てられていることが少なくありません。前面道路や敷地が狭く、解体用の重機が進入できない場合は、人の手で解体する「手壊し解体」となります。手壊しは重機を使った解体に比べて工期が長くなり人件費も増えるため、費用が割高になります。

理由3:隣家が近いほど、業者の丁寧さが重要になる

隣家との距離が数十cmしかない狭小住宅では、騒音や粉塵を抑えるための丁寧な養生や、隣家を傷つけない慎重な作業が不可欠です。こうした安全対策や近隣への配慮は、解体工事の品質そのものであり、業者によって対応に差が出やすい部分でもあります。

▼隣家との距離が近い解体現場

隣家との距離が近い解体現場

見積もりの安さだけで選ぶと、必要な安全対策が不十分で近隣トラブルに発展しかねません。多少割高に感じても、丁寧で確実な仕事をしてくれる業者を適正価格で選ぶことが、最終的に安心でスムーズな工事につながります。

理由4:家の規模に関係なく「アスベスト含有」のリスクがある

現在の解体工事では、法律にもとづき、まずアスベストの有無を調査することが義務付けられています。この事前調査は家の大きさに関係なく必須のため、調査費が発生します。

とくに、アスベスト規制が本格化する2006年以前に建てられた家は、屋根や内装材にアスベストを含んだ建材が使われている可能性があり注意が必要です。もし調査によってアスベストが見つかれば専門の業者による除去作業が追加で必要となり、数十万円以上の費用がかかることもあります。

【中野理事に聞いた】10坪の見積書で見るべき3つの内訳とチェックポイント

10坪の家の解体費用内訳のアイキャッチ

稲垣:ここまでで費用の相場や、10坪の家ならではの注意点がよくわかりました。次に、実際に業者さんから見積もりをもらった時に、正しく読み解くための知識を教えてください。見積書にはどんな項目が書かれているのでしょうか?

理事 中野達也

はい。見積書を理解する上で最も大切なのは、費用が大きく「①本体工事費」「②付帯工事費」「③諸経費」の3つに分かれていると知ることです。それぞれの内容を詳しく見ていきましょう。

①本体工事費:建物そのものを壊す費用

本体工事費は、建物自体を解体するためにかかる費用です。

見積書(10坪)にある本体工事費

具体的には、次のような費用が含まれます。

  • 解体作業費
    建物を取り壊すためにかかる人件費で、本体工事費の約30%を占めます。
  • 廃材の運搬処理費
    解体で発生した廃材の処理にかかる費用で、本体工事費の約25%を占めます。
  • 仮設養生費
    騒音や粉塵対策として建物を覆うシートの設置費用で、本体工事費の約10%を占めます。
  • 機械器具および燃料費
    重機のリース・燃料費・回送費などで、本体工事費の約10%を占めます。ただし、重機は業者が自社保有していないこともあるため、コストがかさむ場合もあります。
  • 解体業者の利益
    会社の運営に必要な利益で、各費用に少しずつ上乗せされる形で含まれます。本体工事費の約20~30%を占めます。
理事 中野達也

とくに「解体作業費」「廃材の運搬処分費」は、坪数・構造・工期・立地によって大きく変動します。見積もりで不明な点があれば、業者に「なぜこの金額なのですか?」と質問することが大切です。

②付帯工事費:建物以外の撤去費用

付帯工事費とは、建物の解体以外で必要な作業にかかる費用です。

見積書(10坪)にある付帯工事費

具体的には、次のような費用が含まれます。

  • 残置物の撤去費
    建物内に残っている家具・家電・生活用品などを処分する費用です。
  • ブロック塀・門扉・フェンスの撤去費
    敷地内のブロック塀や門扉を取り壊し、撤去する費用です。
  • 庭木・庭石・植栽の撤去費
    庭に植えられている草木や、大きな庭石を処分するための費用です。
  • 地中埋設物の撤去費
    土地に埋まっている浄化槽・井戸・古い基礎などの撤去費用です。
  • アスベスト除去費
    建物に含まれる有害物質である「アスベスト」を、安全な方法で撤去するための費用です。アスベストの除去には、専門的な対応が必要となります。
  • 地下室・地下車庫の撤去費
    地下構造を解体し、埋め戻しを行うための費用です。
  • 倉庫・物置・納屋の撤去費
    敷地内にある倉庫や物置、納屋を解体・撤去する費用です。
  • 駐車場・ガレージ・カーポートの撤去費
    敷地内にある駐車場やガレージ、カーポートを解体・撤去する費用です。
理事 中野達也

敷地内の状況は一軒一軒まったく違うため、「何が撤去対象になっているか」を見積書でしっかり確認しましょう。ここが曖昧だと、後から追加費用を請求される原因になります。

③諸経費:工事を円滑に進めるための費用

諸経費とは、本体工事費・付帯工事費に含まれない雑多な費用です。

見積書(10坪)にある諸経費

具体的には、次のような費用が含まれます。

  • マニフェストの発行費・管理費
    マニフェストは、解体工事で出た廃材がきちんと処分されたことを証明するための大事な書類です。法律で発行と管理が義務づけられているため、その手続きにかかる費用が、見積もりに含まれることがあります。
  • 現場管理費
    解体工事全体の進行管理や安全管理、作業員の手配などにかかる費用です。
  • 保険費
    解体工事中に隣家の壁やフェンスを傷つけてしまった場合などに備えて、業者が加入している保険の費用です。
  • 近隣対応費
    近隣住民への事前挨拶やトラブル防止のための費用(粗品や説明資料の準備などを含む)です。
  • 各種申請費
    契約書の作成や許可申請、各種書類の管理にかかる費用です。
理事 中野達也

雑費のように見えますが、安全でスムーズな工事に欠かせない大切な費用です。

【実例解説】10坪台の見積書、2つのケース

稲垣:内訳の項目がよくわかりました!この知識をもとに、実際の見積書を見ながら、チェックするポイントを教えていただけますか?

理事 中野達也

はい。それでは、当協会に実際に提出された2つの見積書を例に、どこに注目すべきか解説します。

ケース1:アスベスト除去と付帯工事が多く、総額78万円になった見積書

【奈良県橿原市・10.5坪・木造平屋建て住宅

見積書A【奈良県橿原市にある10.5坪の木造平屋建て住宅】

本体工事費:57万1,500円
付帯工事費:21万4,000円
総額は税込78万5,500円です

理事 中野達也

このケース1の見積書は、アスベスト除去(約20万円)と、ビルトインガレージ、門柱など付帯工事が多いです。アスベストの有無付帯工事の多さが、費用を大きく左右する典型的な例です。

ケース2:付帯工事が少なく、総額63万円に抑えられた見積書

【兵庫県西宮市・15坪・木造平屋建て住宅】

見積書B【兵庫県西宮市にある15坪の木造平屋建て住宅】

本体工事費:53万5,200円
付帯工事費:6万7,000円
諸経費:1万5,000円
値引き:2万7,200円
消費税:4万7,200円
→総額は税込63万7,200円です。

理事 中野達也

ケース2の見積書は。15坪と少し大きいですが、付帯工事がカーポートと門柱・塀の撤去のみと比較的少ないのが特徴です。その結果、アスベスト除去などがあったケース1よりも総額を抑えることができています。付帯工事の量が、いかに総額に影響するかを示す良い例ですね。

理事 中野達也

今回の2つの例からも、「坪数」だけで費用が決まるわけではない、ということがよく分かりますね。ケース1のようにアスベスト除去や建物の付帯工事の多さが費用を大きく左右することもあれば、ケース2のように付帯工事が少ないことで総額を抑えられることもあります。

ご自身の見積もりを確認する際は、総額だけでなく、「何に一番費用がかかっているのか」という内訳のバランスをしっかり見極めることが、適正価格を判断する上で非常に重要です。特に「付帯工事費」に何が含まれているかを重点的にチェックし、不要な項目がないか、逆に必要な項目が抜けていないかを確認してください。

解体工事の見積書には、人件費や整地費といった必要な項目が記載されていない場合があります。なぜなら、見積書の記載方法は解体業者ごとに異なり、また解体業者側のミスで必要な項目が漏れていることもあるからです。事前に確認することで、不要な追加費用の発生を防ぎ、正確な費用を把握できます。

10坪の家の解体工事で損をしないための6つの注意点【ポイント解説】

解体工事で思わぬトラブルや追加費用を避けるためには、事前の準備と知識が不可欠です。ここでは特に重要な6つの注意点のポイントをご紹介します。

注意点1:アスベストの事前調査を法律通りに行う

2022年4月から法律で義務化された必須の手続きです。調査を怠ると100万円以下の罰金が科される可能性があり、工事開始後にアスベストが見つかると数十万円の追加費用と工期の遅れにつながります。→アスベスト調査の詳細はこちら

注意点2:近隣への配慮と事前挨拶を徹底する

特に10坪のような狭小地では隣家との距離が近いため、工事前の挨拶や騒音・粉塵対策は通常以上に重要です。業者の対応力をしっかり確認しましょう。

注意点3:現地調査に立ち会い「工事内容の認識」を合わせる

「現地調査」には必ず立ち会いましょう。「どこまで壊すか」「重機は入れるか」「工期はいつまでか」など、物理的な工事内容を業者と直接確認することが、後々のトラブルを防ぐ最も確実な方法です。10坪の家の工期の目安は、構造にかかわらず1週間前後とされています。

注意点4:契約内容と「不測の事態」への備えを確認する

特に、高額な着手金の要求や、地中埋設物などが見つかった場合の追加費用の取り決めが曖昧な契約には注意が必要です。

注意点5:解体後に「建物滅失登記」を必ず行う

解体後1ヶ月以内の申請が義務です。忘れると過料や税金の問題につながるため、必ず行いましょう。

注意点6:固定資産税が上がるタイミングに注意する

解体のタイミングを間違えると、翌年の固定資産税が最大6倍になる可能性があります。特に土地の売却を考えている場合は注意が必要です。

これら6つの注意点の詳しい対策や法的な背景については、以下の総合ガイドで網羅的に解説しています。安心して工事を終えるためにも、必ずご確認ください。

10坪の家の解体費用を安くする7つの方法【ポイント解説】

解体費用は、事前の準備や交渉次第で大きく抑えることが可能です。ここでは、特に効果的な7つの方法のポイントを簡単にご紹介します。

方法1:業者の閑散期(4月~9月)を狙う

工事の依頼が少ない時期は、価格交渉に応じてもらいやすくなります。

方法2:自治体の補助金制度を調べる

空き家の解体やアスベスト除去などで、数十万円の補助が受けられる場合があります。

方法3:必ず2~3社から相見積もりを取る

費用相場を知り、不当な請求を見抜くための最も重要なステップです。

方法4:家の中の不用品は自分で処分する

業者に頼むと高額になりがちな残置物処分費を節約できます。

方法5:庭木や雑草を自分で撤去する

ご自身でできる範囲の作業を行うことで、その分の費用を削減できます。

方法6:必要な届け出を自分で行う

数万円の代行手数料を節約できる可能性があります。

方法7:依頼先を決めた上で値引き交渉する

契約したい1社に対し、誠実な姿勢で交渉しましょう。

それぞれの方法の具体的な手順や、どれくらい安くなるかの目安については、以下の総合ガイドで詳しく解説しています。損をしないためにも、ぜひ一度ご確認ください。

10坪の家の解体費用に関するよくある質問

10坪程度の小屋の解体費用はいくら?

10坪程度の小屋を解体する場合、費用の目安は一般的に20万円〜40万円ほどです。

ただし、実際の費用は小屋の構造や立地条件などによって大きく変動します。正確な金額を知るためには、必ず解体業者に現地調査と見積もりを依頼しましょう。

10坪程度の物置の解体費用はいくら?

5~10坪程度の物置を解体する場合、費用の目安は一般的に8万円~15万円ほどです。

ただし、実際の費用は物置の構造や立地条件などによって大きく変動します。正確な金額を知るためには、必ず解体業者に現地調査と見積もりを依頼しましょう。

【まとめ】10坪家の解体を依頼する前の最終チェックリスト

【まとめ】家解体費用10坪を依頼する前の最終チェックリストのアイキャッチ

この記事の要点を踏まえ、解体工事を成功させるための最終チェック項目をまとめました。これらを確実に実行し、適正費用での円滑な工事を実現しましょう。

10坪特有の割高要因を理解する

「坪単価が高くなる」「手壊し解体になりやすい」など、小さい家ならではの注意点を把握し、見積もり内容を吟味しましょう。

複数業者からの見積もり取得

2〜3社以上から見積もりを取り、費用を比較検討します。これにより、適正な相場を把握し、信頼できる業者を選びやすくなります。

アスベストの事前調査

法律で義務付けられているアスベストの事前調査を、専門の資格を持つ調査員に依頼します。これにより、罰金や工事中断、予期せぬ追加費用といったリスクを回避できます。

解体後の建物滅失登記

工事完了後1ヶ月以内に、法務局へ「建物滅失登記」を申請します。この手続きを怠ると、過剰な税金の請求や10万円以下の罰金が科される可能性があります。

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