
この記事の案内人・編集長
稲垣 瑞稀
木造家屋の解体費用を調べると、多くの場合「坪単価3〜4万円」という数字を目にするでしょう。
この数字は一般的な目安として広く知られていますが、この情報だけを鵜呑みにするのは非常に危険です。なぜなら、解体費用は建物の状況や立地、そして依頼する業者によって大きく変動するからです。
情報が溢れる中で「何が本当で、誰を信じればいいのか分からない」と不安に感じている方も少なくないのではないでしょうか。
そこでこの記事では皆様が後悔のない判断を下せるよう、多くの木造解体をしたいお客様と向き合ってきた「一般社団法人あんしん解体業者認定協会」監修のもと、木造解体費用の真実を徹底的に解説します。
- 坪単価3〜4万円が目安の木造解体費用を、30坪・40坪など坪数別にシミュレーションし総額がわかる。
- アスベストや地中埋設物など、予期せぬ追加費用が発生する7つのケースと、その回避策がわかる。
- 補助金活用や分離発注で、中間マージン(2〜3割)をカットし数十万円安くする方法がわかる。
- 悪質業者に騙されないための「建設業許可」や保険加入など、優良業者を見抜く5つの鉄則がわかる。
- 不当な請求を見抜くための見積書の重要チェック項目と、費用の3つの内訳(本体・付帯・諸経費)がわかる。


一般社団法人あんしん解体業者認定協会 理事・解体アドバイザー
初田 秀一(はつだ しゅういち)
解体アドバイザー歴15年、相談実績は11万件以上。お客様の不安を笑顔に変える現場のプロフェッショナル。「どんな些細なことでも構いません」をモットーに、一期一会の精神でお客様一人ひとりと向き合い、契約から工事完了まで心から安心できる業者選定をサポート。この記事では現場のリアルな視点から解説を担当。

「スッキリ解体」編集長
稲垣 瑞稀(いながき みずき)
解体業界専門のWebメディアでWebディレクターとして6年以上、企画・執筆・編集から500社以上の解体業者取材まで、メディア運営のあらゆる工程を経験。正しい情報が届かず困っている方を助けたいという想いから、一個人の責任と情熱で「スッキリ解体」を立ち上げ、全記事の編集に責任を持つ。

「スッキリ解体」専属ライター
酒巻 久未子(さかまき くみこ)
「解体工事でお悩みの方に、同じ主婦の立場から実用的な情報をお届けします。」
数多くのお客様や業者様へのインタビューを通じて、お客様が抱えるリアルな悩みに精通。実際の解体工事現場での取材を重ね、特に「お金」や「近隣トラブル」といった、誰もが不安に思うテーマについて、心に寄り添う記事を執筆。子育て中の母親ならではの、きめ細やかな視点も大切にしている。
【坪数別】木造解体費用の総額シミュレーション

あなたの家の大きさに合わせて、解体費用の総額がどのくらいになるのか、まずは目安を把握することが重要です。ここでは、一般的な木造住宅でよくある坪数ごとに費用総額をシミュレーションしました。
【20坪・30坪・40坪】住宅の大きさごとの費用一覧
建物の坪数(延床面積) | 坪単価3万円の場合 | 坪単価4万円の場合 |
---|---|---|
20坪 | 60万円 | 80万円 |
30坪 | 90万円 | 120万円 |
40坪 | 120万円 | 160万円 |
上記の表で、「うちの家なら大体このくらいか」とイメージできたかもしれませんね。しかし、これはあくまで本体の解体工事費の概算です。実際には、これに加えて後述する付帯工事費や諸経費がかかります。
坪数・地域別の平均坪単価
一般的な木造住宅の本体工事費は、1坪あたり3万4,090円が相場です。以下は、地域別の坪単価相場です。
▼平均坪単価【坪数・地域別】 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
坪数/地域 | 関東 | 中部 | 関西 | 北海道・東北 | 中国・四国 | 九州・沖縄 |
10坪 | 4万571円 | 3万8,538円 | 4万7,178円 | 3万7,417円 | 4万723円 | 3万8,718円 |
20坪 | 3万6,676円 | 3万3,271円 | 3万8,284円 | 3万7,147円 | 3万6,491円 | 3万1,836円 |
30坪 | 3万5,270円 | 3万2,042円 | 3万6,185円 | 3万3,460円 | 2万9,038円 | 3万99円 |
40坪 | 3万4,268円 | 3万232円 | 3万5,695円 | 3万2,433円 | 3万3,443円 | 2万8,442円 |
50坪 | 3万4,670円 | 3万639円 | 3万4,777円 | 3万3,337円 | 3万2,240円 | 2万8,406円 |
60坪 | 3万5,055円 | 3万1,305円 | 3万5,265円 | 3万2,588円 | 3万2,484円 | 3万753円 |
70坪 | 3万3,340円 | 3万2,503円 | 3万3,563円 | 3万3,839円 | 3万460円 | 2万7,410円 |
80坪 | 3万3,744円 | 2万8,339円 | 3万7,070円 | 2万7,732円 | 3万3,361円 | 2万4,641円 |
90坪 | 3万2,643円 | 2万8,147円 | 3万5,662円 | ー | 3万4,095円 | 2万4,575円 |
100坪~ | 3万456円 | 2万9,036円 | 3万452円 | 3万297円 | 2万8,790円 | 2万3,866円 |
※解体費用相場は「あんしん解体業者認定協会」が保有する、2020年~2024年の解体工事データ30,000件以上を基に算出しています。
※解体費用相場は平均値です。実際の解体費用は現場の状況や建物の状態によって変動します。

実際の木造住宅の解体見積書
以下は、東京都東村山市にある2階建て木造住宅の解体見積書です。


この建物の坪数は30.17坪で、坪単価は49,581です。
東村山市の坪単価の相場は35,169円ですが、費用の変動幅は25,287~54,748円なので範囲内といえます。
【比較】平屋と2階建ての解体費用
建物の階数によって、解体費用は変わる可能性があります。
一般的に、同じ延床面積であれば平屋よりも2階建て(あるいは3階建て)の方が費用は高くなる傾向にあります。2階建て以上になると高所での作業が必要になるため、足場の設置が大掛かりになるからです。
また、廃材を上から下へ降ろす手間や、作業の安全性確保にもコストがかかるため、坪単価が割高になるケースが多いのです。
アパートなど住宅以外の木造建物の費用目安
木造アパートや店舗といった、一般的な住宅以外の建物の解体も基本的な考え方は同じです。
ただし、アパートの場合は部屋数が多く、内部の間仕切りや設備が複雑なため、住宅よりも解体に手間がかかり、廃材の量も増える傾向があります。その結果、坪単価が割高になったり、総額が高くなったりする場合があります。
「うちのアパートはいくらだろう?」と気になる方は、必ず複数の専門業者に現地調査を依頼し、正確な見積もりを取ることが不可欠です。
【明細公開】木造解体費用の内訳は3種類!見積書の重要チェック項目

解体費用の見積書を見て、「一体何にいくらかかっているのか分からない……」という状態が、後々のトラブルを招く最大の原因です。費用の内訳をしっかり理解することが、不当な請求や手抜き工事に繋がる危険な見積もりを見抜く第一歩となります。
解体費用は、大きく分けて「本体工事費」「付帯工事費」「諸経費」の3種類で構成されています。
1. 建物の取り壊しにかかる「本体工事費」

これは解体工事のメインとなる費用で、総額の大部分を占める項目です。具体的には、以下のような作業費用が含まれます。
- 足場と養生の設置:工事中の騒音や粉塵が近隣に飛散するのを防ぐための足場やシートの設置費用です。安全な工事に不可欠なものです。
- 建物本体の解体:重機や手作業で建物の構造体(柱、梁、壁、屋根など)を解体していく作業費用を指します。
- 廃材の分別・搬出:解体で出た木材、コンクリート、金属などを種類ごとに分別し、トラックで処分場まで運ぶ費用です。
- 基礎の撤去:建物を支えていた地面のコンクリート基礎を掘り起こし、撤去する費用となります。
これらの作業が、見積書の中で「木造建物取壊し工事」などと記載されている部分にあたります。

2. 外構や庭石の撤去など「付帯工事費」

付帯工事費とは、建物本体以外にある構造物の撤去にかかる費用です。この項目が見積もりから漏れていると、後から「これは別途費用です」と追加請求される原因になりやすいので、とくに注意が必要です。
現場でよくある付帯工事には以下のようなものがあります。
- ブロック塀、フェンス、門扉の撤去
- 駐車場(カーポート)の撤去
- 庭木や庭石の撤去・処分
- 物置や倉庫の解体
- 浄化槽や井戸の撤去
これらの付帯工事は、見積もりを依頼する際に「どこまで解体してほしいか」を業者に明確に伝えることで、後々のトラブルを回避できます。




3. 書類手続きや人件費などの「諸経費」

諸経費は、工事を円滑に進めるために必要な、現場作業以外のさまざまな費用です。見積書では「雑費」や「管理費」などとまとめられていることもありますが、優良な業者はどこの内訳もきちんと説明してくれます。
主な諸経費には、以下のようなものが含まれます。
- 各種申請手続き費用:建設リサイクル法の届出や、道路使用許可の申請など、役所への手続きにかかる費用です。
- 重機の回送費:解体に使用する重機を現場まで運び、工事後に引き上げるための費用を指します。
- 近隣への挨拶費用:工事前の近隣挨拶で配布する粗品代などが含まれる場合があります。
- 現場管理費・人件費:現場監督の人件費や、工事全体の管理にかかる費用です。
これらの費用が適正に計上されているかを確認することも、信頼できる業者選びの重要なポイントです。
要注意!あなたの解体費用が高くなる7つのケース【現場のリアルな声】

ここでは、現場のリアルな声をもとに、あなたの解体費用が高くなる可能性のある典型的な7つのケースをご紹介します。
「相場より、うちの見積もりがずいぶん高いんだけど……」と驚かれる方は少なくありません。解体費用は画一的なものではなく、現場の状況によって大きく変動することが要因です。
1. 重機が入れない・道が狭いなどの「立地条件」
これは費用を左右するもっとも大きな要因の一つです。現場の前の道が狭くて解体用の重機や廃材を運ぶトラックが入れない場合、作業の大部分を手作業で行う「手壊し」解体となります。
重機を使えば1日で終わる作業が、手壊しだと数日かかることも珍しくありません。その分、人件費が大幅にかさみ、結果として総額が数十万円単位で高くなります。

2. アスベスト含有建材が使われている場合
法律が変わり、業者選びの基準が厳格化
2006年以前の建物にアスベスト(石綿)が使われている可能性があり、もっとも注意すべきは2023年10月1日から法改正された「石綿障害予防規則」です。
この改正により、解体工事前のアスベスト事前調査は、工事の規模にかかわらず「建築物石綿含有建材調査者」などの専門資格を持つ者が行うことが法律で義務付けられました。
これは、皆様と近隣住民、作業員の健康を守るための極めて重要なルールです。業者を選ぶ際は、必ず有資格者が在籍し、適正な調査を行えるかを最初に確認してください。資格のない業者による調査は違法行為です。
調査の結果、アスベスト含有建材が見つかった場合は、法律に則った厳重な除去・処分費用が別途発生し、費用を大きく押し上げる要因となります。
【初田理事に聞いた】石綿障害予防規則の改正後の工期や業者のリアルな声とは
石綿障害予防規則の改正により、まじめな解体業者が抱える悩みや、逆にそのルールを悪用される可能性はあるのでしょうか。『あんしん解体業者認定協会』に所属する、現場と顧客対応のプロである初田理事に業界のリアルな空気感を伺いました。

一般社団法人あんしん解体業者認定協会 理事・解体アドバイザー
初田 秀一 (はつだ しゅういち)
解体アドバイザー歴15年、相談実績は11万件以上。お客様の不安を笑顔に変える現場のプロフェッショナル。「どんな些細なことでも構いません」をモットーに、一期一会の精神でお客様一人ひとりと向き合い、契約から工事完了まで心から安心できる業者選定をサポート。この記事では現場のリアルな視点から解説を担当。
稲垣:石綿障害予防規則の改正によって、現場ではどのようなことが変わりましたか?

石綿障害予防規則の改正により、実際に工事に入るまでの期間が長くなりました。
従来は1週間ほどで契約まで進めましたが、現在はアスベストの検体採取・分析を経て金額が確定するため、契約までに1〜2週間余分にかかるようになっています。



たとえば7月中旬に「8月中に家を解体したい」とご相談をいただくと、見積もりや比較検討に加え、お盆の影響もあるため、間に合うかどうかギリギリのタイミングになります。


稲垣:では正直な話、解体業者のアスベストに対しての考え方はどうなりましたか。



現場では「正直、めんどくさい」という声が多いです。まじめに対応しようとすると、役所から「最低5~8検体を、場所を変えて数カ所から採取してください」と指定され、検査費用だけでかなりの金額になります。
たとえば1検体2万円なら5検体で10万円。以前は必要なかった費用なので、負担が大きくなりました。
このように、石綿障害予防規則の改正により、契約までの期間がこれまでより1〜2週間長くなり、スケジュール調整がよりシビアになっています。とくにお盆前などは、解体時期に間に合うかギリギリのケースもあります。
また業者側からは「手間が増えた」との声も多く、検体採取や分析にかかる費用負担も増大しているとのことです。
【初田理事に聞いた】「みなし工事」の悪用と形骸化する監督体制
建材にアスベストが含まれているかどうかを分析調査をしなくても、法律に基づき含まれているものとして扱って安全なアスベスト対策を行えます。(=みなし工事)
稲垣:抜け穴として、分析不要の「みなし工事」が悪用されるケースは実際にあるのでしょうか。



たとえば検体を取らずに「みなし」で済ませ、「うちはみなしで大丈夫です」と言いながら、実際にはアスベスト対策をしていないこともあります。
つまり、アスベストを含んでいる前提で高めの見積もりを出しながら、実際は非含有と同様の扱いで工事を行う、というケースもあるのが実情です。
このように、割高な「みなし工事」として受注しながら、実際には適切なアスベスト対策を行わない悪質な業者が存在するのです。
また法改正直後に比べ、行政による現場の監視も緩やかになっているのが現状です。業者側が見られる箇所だけを取り繕うことで不正がまかり通るという、規制の実効性における課題も浮き彫りになっています。
なおアスベストについての詳細は、次の記事にてご紹介しています。


3. 浄化槽や井戸など「地中埋設物」の発見
これは、解体工事でもっとも怖い「予期せぬ追加費用」の代表例です。建物を解体して更地にした後、地中から以前の建物の基礎やコンクリートガラ、浄化槽、井戸などが出てくることがあります。
これらは見積もり段階では予測できないため、発見された場合は撤去・処分費用が追加で請求されるのが一般的です。契約前に「地中埋設物が見つかった場合の対応」を業者と明確に決めておくことが、トラブル回避の鍵となります。


4. 残置物(不用品)の処分量が多い
家の中に家具や家電、衣類などの不用品(残置物)が多く残っていると、その処分費用が上乗せされます。解体業者がこれらを処分する場合、「産業廃棄物」扱いとなり、ご自身で一般ごみとして処分するよりも費用が高額になりがちです。
以下は実際の見積書にある「残置物」の項目です。費用は720,000円で、残置物は4トントラック8台分ありました。





残置物の処分費ってこんなにかかるんだね……
「まだ使えるかもしれない」と残しておいたものが、結果的に数万円から数十万円の追加費用につながるケースは少なくありません。洋服はご自身で一般家庭ごみとして出す、家具家電は回収業者に依頼するかリサイクルショップに引き取ってもらうなどの方法があります。
5. 近隣への特別な配慮が必要な環境
住宅が密集している地域や、隣の家との距離が極端に近い現場では、通常以上の配慮が求められます。たとえば、防音性能の高い養生シートを使ったり、作業時間を短縮したり、散水量を増やして粉塵を徹底的に抑えたりといった対策です。
これらの追加対策は、当然ながら費用に反映されます。近隣トラブルを避けるための必要経費と考えるべきでしょう。


6. 解体を急ぐなど「工事の時期」
「とにかく早く解体してほしい」という急な依頼の場合、費用が高くなる可能性があります。業者は他の現場とのスケジュールを調整する必要があり、人員や重機を急遽手配するための追加コストがかかるためです。
また、解体業界の繁忙期は12月~3月、閑散期は4月~9月です。依頼が集中するため、通常期よりも価格設定が高めになる傾向があります。


7. 業者による価格設定の違い
どの解体業者に依頼するかによって、解体費用は大きく異なります。自社で重機を保有しているか、下請け業者をどれだけ使っているか、会社の規模や利益率の設定など、さまざまな要因が価格に影響します。
だからこそ、1社の見積もりだけを信じるのは非常に危険です。適正な価格を知るためには、複数の業者を比較することが重要です。
知らないと数十万円損!解体費用を賢く安く抑える5つの方法


解体費用は高額ですが、正しい知識を持って行動すれば、数十万円単位で費用を抑えられます。情報格差によって損をしないためにも、ここではあなたの資産を守るために知っておくべき5つの節約術を解説します。
1. 【最重要】複数の専門業者から相見積もりを取る
これがもっとも重要かつ効果的な方法です。なぜなら、解体費用には定価がなく、業者によって見積もり額が大きく異なるからです。
同じ条件の工事でも、業者によって20万円、場合によっては50万円以上の差が出ることも珍しくありません。最低でも3社から見積もり(相見積もり)を取ることで、あなたの家の解体費用の適正な相場が分かります。
また、業者間で価格競争が働くため、結果的に費用を安く抑えられます。「面倒くさい」と感じるかもしれませんが、この一手間が数十万円の節約に繋がるので必ず相見積もりを取りましょう!
2. 自治体の補助金・助成金制度を必ず確認・活用する
老朽化した空き家の解体には、自治体の補助金制度が利用できる場合があります。しかし、誰でも簡単に利用できるわけではありません。以下の注意点を必ず理解しておきましょう。
- 対象が限定的: 倒壊の危険がある「特定空家等」に指定された建物など、条件が厳しいことが多い。
- 事前申請が必須: 工事の契約・着工後の申請は絶対に認められない。
- 予算と期限: 年度ごとに予算枠があり、先着順で締め切られる可能性がある。
- 精算払い: 工事完了後に支払われるため、一時的に費用全額を自分で立て替える必要がある。
上記の注意点以外にも、補助金制度によっては「築年数は○○年以上」「家の建て替えが前提」など細かい条件がある場合も。工事契約前に自治体の担当窓口(建築指導課など)に相談してみましょう。
解体で使える補助金の実例
地域別に空き家の解体で使える補助金制度の実例です。
※記載の情報は、2025年7月時点のものです。
- 東京都台東区|「台東区老朽建築物等除却工事費用助成金」(最大支給額50万円)
- 福島県郡山市|「郡山市老朽空家除却費補助金」(最大支給額50万円)
- 大阪府岸和田市|「岸和田市不良空家除却事業補助金」(最大支給額80万円)
- 鹿児島県鹿児島市|「鹿児島市危険空家解体工事補助金」(最大支給額30万円)
また、以下より全国の空き家対策の実施施策や事例を検索できますので、ぜひご参考になさってください。
【初田理事に聞いた】補助金申請のサポートを積極的に手伝ってくれる業者の特徴
稲垣:補助金申請のサポートを積極的に手伝ってくれる業者と、手伝わない業者の違いはどこにあるのでしょうか?



どの業者も「申請はご自身でお願いします」というスタンスが基本です。申請は建物所有者が行うものとされ、代行する業者は少数です。
ただし、耐震診断などが必須の申請を扱う業者や、そうした診断業者と連携している業者は、「申請も対応します」と積極的にサポートしてますね。
稲垣:補助金申請をサポートしてくれる業者の特徴はありますか?



申請を手伝ってくれる業者は、ある程度事務体制が整っていて余裕のある会社が多いです。社長一人で回しているような業者よりも、外部の専門機関と連携できるような体制があるかどうかがポイントです。
また、「ここまで対応しよう」という姿勢や親切さ、施工エリアも関係します。たとえば東京のように現場から役所が近いエリアでは、申請対応がしやすい傾向にあります。
稲垣:地域(自治体)によって、手続きの回数は異なりますか?



補助金申請は、提出後に結果を待つだけの自治体もあれば、福岡県久留米市のように最低でも3回は役所に行く必要があるケースもあります。手間や時間がかかるため、無料での対応は難しくなってしまいます。
このように、解体業者の負担としては書類作成・提出に加え、役所からの指摘に応じて施主に確認・再提出を繰り返す必要があります。事務作業と拘束時間がかかるため、手間が多い自治体であるほど申請代行が有料になる傾向があります。
3. 家の中の不用品は自分で処分しておく
先ほども触れましたが、家の中に残された家具や家電などの不用品は、解体業者に処分を依頼すると「産業廃棄物」として扱われ、高額な費用がかかります。
まだ使えるものはリサイクルショップに売ったり、粗大ごみや一般ごみとして自分で処分したりするだけで、数万円から数十万円の節約に繋がります。解体工事の見積もりを取る前に、できる限り家の中を空っぽにしておくのが賢いやり方です。
4. 建物滅失登記を自分で行う
建物を解体した後には、1ヶ月以内に「建物滅失登記」を法務局に申請する義務があります。この手続きは土地家屋調査士に依頼するのが一般的ですが、その場合4〜5万円程度の費用がかかります。
実はこの滅失登記、必要書類を揃えればご自身で行うことも可能です。平日に法務局へ行く時間がある方は、自分で挑戦してみることで費用を節約できます。手続きの方法は法務局の窓口で丁寧に教えてもらえますよ。
5. ハウスメーカーへの一括依頼ではなく「分離発注」を検討する
建て替えを計画している方に、とくに知っておいてほしい重要なポイントです。ハウスメーカーや工務店に建て替えを依頼すると、解体工事もセットで請け負ってくれることがほとんどです。
これは手間がかからず楽ですが、多くの場合、ハウスメーカーは自社で解体を行わず、下請けの解体業者に工事を発注します。その際に「中間マージン」と呼ばれる紹介料が上乗せされ、あなたが支払う解体費用が本来の金額より2〜3割も高くなってしまうのです。
これを避けるためには、施主であるあなたが直接、解体専門業者に工事を依頼する「分離発注」という方法があります。少し手間はかかりますが、中間マージンをカットできるため、数十万円単位でコストを削減できる可能性が高い、非常に有効な手段です。


なお、家の解体費用が払えない場合についての詳細は、次の記事にてご紹介しています。


専門家が教える!後悔しない優良解体業者の選び方と契約の注意点


解体費用を安く抑えることは重要ですが、安さだけで業者を選ぶのは避けましょう。見積もりが安すぎる業者は、不法投棄をしたり、必要な安全対策を怠って近隣トラブルを起こしたり、後から法外な追加請求をしてきたりするリスクが非常に高いです。
「信頼できる優良業者を選ぶこと」は、最終的にあなたの資産と心を守る最善の策。ここでは、後悔しないために必ずチェックすべき5つのポイントを解説します。
1. 許可証・登録の有無は最低限の確認事項
これは、悪質業者を見抜くための最初のチェックポイントです。
解体工事を行う業者は、工事の請負金額に応じて、法律で定められた資格(「登録」または「許可」)が必須です。見積書の金額を確認し、業者が適切な資格を持っているか必ずチェックしてください。


- ① 請負金額500万円未満(税抜)の工事 → 「解体工事業登録」が必須
「建設リサイクル法」に基づきます。比較的小規模な工事を請け負うための資格です。 - ② 請負金額500万円以上(税抜)の工事 → 「建設業許可(解体工事業)」が必須
「建設業法」に基づきます。大規模な工事を請け負うための、より要件の厳しい資格です。
なお、500万円以上の工事を「登録」のみの業者に依頼することは違法行為です。契約前に必ず確認しましょう。
2. 見積書の内訳が詳細で分かりやすいか
信頼できる業者の見積書は、「誰が見ても分かりやすい」という特徴があります。「解体工事一式 〇〇円」といった大雑把な見積もりしか出してこない業者は、非常に危険です。
何にいくらかかるのかを意図的に曖昧にし、後から追加請求する口実を作っている可能性があります。「本体工事費」「付帯工事費」「諸経費」がきちんと項目分けされ、それぞれの内容が具体的に記載されているか、必ず確認してください。
3. 損害賠償保険に加入しているか
どれだけ優良な業者でも、工事中に万が一の事故が起こる可能性はゼロではありません。たとえば、作業中に隣家の壁を傷つけてしまったり、通行人にケガをさせてしまったりといったケースです。
このような事態に備え、きちんとした業者は必ず損害賠償保険に加入しています。保険に加入しているかを確認することは、あなた自身と近隣住民を守るための重要なリスク管理です。
4. 担当者の対応は丁寧で質問に的確に答えてくれるか
業者選びは、最終的には「人」で決まるといっても過言ではありません。あなたの不安や疑問に対して、専門用語を並べるのではなく、素人にもわかるように丁寧に説明してくれるでしょうか。
質問に対して、曖昧な返事をしたり、面倒くさそうな態度を取ったりするような解体業者は信頼できません。工事が始まってからでは遅いのです。見積もり段階でのコミュニケーションを通じて、安心して任せられる相手かどうかをしっかり見極めましょう。
5. 契約前に工事範囲と追加費用の条件を明確にする
契約書にサインする前に、必ず以下の2点を書面で確認してください。
- 工事範囲の明確化: どこからどこまでが解体工事に含まれるのか。「ブロック塀は含むのか」「庭石は撤去してくれるのか」など、図面を指し示しながら相互に確認することが重要です。
- 追加費用が発生する条件: 「地中埋設物が発見された場合、どのような手順で、いくらの費用がかかるのか」など、予期せぬ事態が起きた際のルールを事前に明確にしておきます。
これらの確認を怠ると「言った言わない」の水掛け論になり、最悪の場合、裁判にまで発展するケースもあります。


また、優良な解体業者についての詳細は、次の記事にてご紹介しています。


【FAQ】木造住宅の解体費用に関するよくある質問


ここまで木造住宅の解体費用について詳しく解説してきましたが、それでも個別の疑問は尽きないことでしょう。最後に、お客様からとくによくいただく質問とその回答をまとめました。
解体工事の前に近隣への挨拶は必要なの?
はい、絶対に必要です。解体工事は、どうしても騒音や振動、粉塵が発生し、近隣の方々にご迷惑をおかけしてしまいます。
工事を円滑に進め、無用なトラブルを避けるためにも、事前の挨拶は不可欠なマナーと言えるでしょう。一般的には、工事を担当する解体業者が粗品を持って挨拶回りを行いますが、施主であるあなたも一緒に回ることで、より誠意が伝わり近隣の方の理解を得やすくなるでしょう。
解体後の土地の固定資産税は本当に高くなるの?
はい、高くなる可能性が高いですが、「6倍になる」という表現は正確ではありません。仕組みを正しく理解しましょう。
- なぜ税額が変わるのか?
居住用の建物が建つ土地には「住宅用地の特例」が適用され、土地の課税標準額が最大で1/6に軽減されています。建物を解体するとこの特例が解除され、土地本来の税額に戻るため、「土地部分の税額」が最大6倍になるのです。一方で、「建物部分の税額」はゼロになります。そのため、土地と建物の評価額によりますが、年間の納税総額としては3~4倍程度に増加するのが一般的です。 - 【重要】放置していても税金が上がるリスク
もっとも注意すべきは、管理されていない空き家を放置し続けるリスクです。倒壊の危険などがある「特定空家等」として自治体から「勧告」を受けると、建物が建っていても「住宅用地の特例」が解除され、税金が更地同様に上がってしまいます。
解体するか否かは、解体後の税負担増だけでなく、この「放置リスク」も踏まえて総合的に判断することが重要です。
【初田理事に聞いた】なぜ空き家の解体を先延ばしにすると、費用が高くなるの?
稲垣:空き家を放置して解体を先延ばしにしていた場合、解体費用が高額になってしまうケースはあるのでしょうか。



結果として、民事対応も含め費用が高額になった例があります。実際に川崎市で対応したケースでは、老朽化が進み、雨漏りや害獣(ハクビシン)の侵入で室内に入れず、残置物の撤去も困難な状態でした。
稲垣:他にも、空き家を放置しすぎて起きたトラブルについて教えてください!



以前のケースで、誰かが無断で住んでいた形跡があった空き家もありました。また、老朽化で建物が崩壊し重機が入れず、すべて手作業でゴミを仕分けることになり、費用が大幅に増えた例もあります。
このように空き家を長期間放置すると、老朽化や害獣の侵入、不法占拠といったトラブルが発生しやすくなります。その結果、室内に入れず残置物の撤去が困難になったり、建物の崩壊により重機が使えず手作業での解体が必要になるなど、作業の手間が増して解体費用が大幅に高くなるケースがあります。
見積もりの依頼は無料?しつこい営業をされない?
ほとんどの解体業者は、見積もりと現地調査を無料で行っています。ですから費用の心配をせずに、まずは気軽に複数の業者に相談してみてください。
「見積もりを頼んだら、しつこく営業されるんじゃないか……」と不安に思う方もいるかもしれません。しかし優良な業者は、お客様が比較検討していることを理解しているため、無理な営業はしてきません。もし契約を急かしたり、断っても何度も電話してきたりするような業者であれば、その時点で候補から外すべきでしょう。
まとめ:木造解体を依頼する前の最終チェックリスト


この記事の要点を踏まえ、最後に確認すべき重要事項をまとめました。一つずつチェックし、万全の準備で次の一歩に進みましょう。
- 1.相見積もりによる適正価格の把握
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解体費用には定価がなく、業者によって価格が大きく異なります。最低3社から見積もりを取り、ご自身の建物の適正な費用相場を把握しましょう。
- 2.追加費用の発生条件の事前確認
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アスベストの有無や地中埋設物の発見は、高額な追加費用につながる可能性があります。契約前に、こうした事態が発生した場合の対応と費用について、業者と書面で明確に取り決めておくことが重要です。
- 3.業者の公的資格と保険加入の検証
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請負金額に応じた「建設業許可」または「解体工事業登録」の有無と、万一の事故に備える損害賠償保険への加入は、信頼できる業者かを見極めるための必須確認項目です。
これらのポイントを着実に実行することが、適正な費用で後悔のない解体工事を実現することへのもっとも確実な道筋です。


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