
この記事の案内人・編集長
稲垣 瑞稀

不要になったプレハブを解体したいけど、何から始めればいいんだろう……。自分でできるのかなぁ……。
プレハブの解体は、多くの方が初めて経験するもので、何から手をつけていいか分からず不安に感じているかもしれません。しかし、その不安な気持ちのまま、知識なく進めてしまうのは危険です。
「高額請求」「悪質業者」「DIYの失敗」などの大きなトラブルを回避するためにも、正しい知識を身につけることが大切です。
この記事では、あなたが後悔しないために必要な知識を、11万件以上の解体相談実績を持つ「一般社団法人あんしん解体業者認定協会」の全面的な監修協力のもとに解説します。
- 損しないためのプレハブ解体費用がわかる。6坪15万円~の相場を解説。
- 悪質業者を回避する6つの鉄則がわかる。「建設業許可」の確認は必須。
- 2023年10月義務化!アスベスト調査の有資格者を見抜く方法がわかる。
- 分離発注で費用を10~30%削減する方法や補助金制度の注意点がわかる。
- 解体後に固定資産税が最大6倍になる罠と「住宅用地の特例」がわかる。




一般社団法人あんしん解体業者認定協会 理事・解体アドバイザー
初田 秀一(はつだ しゅういち)
解体アドバイザー歴15年、相談実績は11万件以上。お客様の不安を笑顔に変える現場のプロフェッショナル。「どんな些細なことでも構いません」をモットーに、一期一会の精神でお客様一人ひとりと向き合い、契約から工事完了まで心から安心できる業者選定をサポート。この記事では現場のリアルな視点から解説を担当。


「スッキリ解体」編集長
稲垣 瑞稀(いながき みずき)
解体業界専門のWebメディアでWebディレクターとして6年以上、企画・執筆・編集から500社以上の解体業者取材まで、メディア運営のあらゆる工程を経験。正しい情報が届かず困っている方を助けたいという想いから、一個人の責任と情熱で「スッキリ解体」を立ち上げ、全記事の編集に責任を持つ。


「スッキリ解体」専属ライター
秋田 栞(あきた しおり)
「どんな専門的な情報も、『なるほど!』に変わる瞬間を大切に、解説します。」
複雑な情報を分かりやすく紐解くことを得意とするライター。毎週の専門勉強会で得た最新知識を元に、読者の「なぜ?」「どうして?」を「わかった!」に変える記事を執筆。現場の職人さんが話す言葉と、お客様が使う言葉の橋渡し役となることを目指している。


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プレハブ解体で後悔しないために知るべき3つのリスク


まずは、絶対に避けるべきリスクについて解説します。
リスク1:相場を知らないと高額な費用を請求される
プレハブ解体で最も多い失敗が、費用に関するトラブルです。なぜなら、解体業界には明確な「定価」が存在せず、業者によって提示する金額が大きく異なるからです。
この情報格差を利用し、相場を知らないお客様に対して、本来より数十万円も高い金額を平気で請求する業者がいるのが現実です。実際に「最初の見積もりより100万円も高い金額を請求された」という、悲痛な声も届いています。
適正な費用相場を知らないことは、不当な請求から身を守る術を持たないのと同じです。
リスク2:悪質業者の典型的な手口に騙される
「とにかく安く済ませたい」という気持ちはよく分かりますが、安さだけで業者を選ぶのは絶対にやめてください。格安の見積もりは、悪質業者があなたを誘い込むための典型的な手口だからです。
彼らはまず安い金額で契約させ、工事が始まってから「追加工事が必要になった」などと理由をつけて、次々と高額な請求を突きつけてきます。
また、解体で出た廃材を山中などに不法投棄したり、ずさんな工事で事故を起こしたりする業者も存在します。「業者の責任だから自分は関係ない」と考えるのは非常に危険です。
(出典:環境省 排出事業者責任の徹底について)
【初田理事に聞いた】施主が巻き込まれたリアルな悲劇
実際に依頼側が責任を取らされてしまうトラブルはあるのでしょうか。
『あんしん解体業者認定協会』に所属し、数多くの解体現場を見てきた初田理事に「プレハブ解体で実際にあった悪徳業者トラブルの事例」をうかがいました。
ケース1 工事終了後にゴミが不法投棄されてしまった……
稲垣:依頼者側が知らずに重大な責任を負ってしまったトラブル事例はありますか?



「業者が不法投棄したゴミから施主さんの名前が判明し、最終的に施主さん自身がゴミを撤去する羽目になった」という問い合わせが協会に寄せられたことがあります。
工事が終わって安心したかと思いきや、まさかの事態ですよね。もちろん不法投棄は法律上業者の責任となります。施主には法的な責任はありませんが、名前が分かってしまったとなると近隣関係等を考え謝罪に入らなければならない状況にもなるかもしれません。


このような時のために、契約前にしっかりとマニフェスト(産業廃棄物管理票)を発行してくれる業者なのかを確認しましょう。
※クリックで詳細が読めます
マニフェスト伝票(産業廃棄物管理票)とは
解体工事で発生した廃棄物(廃材)が適切に処理されたことを証明する書類です。マニフェストの様式は、廃棄物処理法施行規則第8条にて定められています。
ケース2 工事中の火花が火災事故に発展……



他にも、工事中の火花で建物が火災になったという事例がありましたね。
カーポートの鉄骨を切断していたバーナーの火花が燃え移り、建物が全焼。まさに大炎上です。警察が動き、近隣から猛烈な非難を浴び、ニュースにもなりました」という、建て替え計画そのものが頓挫してしまった悲惨な事例も現実に起きています。
これは悪徳業者に限らず、どの現場でも気をつけなければ起きる可能性はあると思います。法的な責任は業者にあっても、施主が精神的・物理的に大きな負担を強いられる可能性があります。
このように、業者選びの失敗は、あなた自身の問題として降りかかってくるリスクがあることを忘れないでください。
リスク3:安易なDIY解体で重大なトラブルに発展する
「小さなプレハブだから自分で壊せるのでは?」と考える方もいるでしょう。しかし、DIYでの解体は、費用を抑えるどころか、かえって重大なトラブルに発展するリスクをはらんでいます。
専門知識なく解体作業を行えば、大きな怪我につながる危険が常に伴います。さらに、古いプレハブには発がん性物質であるアスベストが使われている可能性があり、知らずに壊すと周囲に飛散させてしまう大惨事になりかねません。
解体で出た木材やコンクリートは「産業廃棄物」として法律に則って正しく処分する必要があり、これも個人では非常に困難です。安易なDIYは、あなたとあなたの家族、そしてご近所まで危険に晒す行為だと認識してください。


プレハブ解体の費用はいくら?構造・坪数別の相場を全解説


ここからは、皆さんが最も気になるプレハブ解体の費用について、業界のリアルな相場をもとに、具体的に解説していきます。
【構造別】木造・軽量鉄骨プレハブの解体費用単価
プレハブ解体の費用を算出する基本となるのが、1坪あたりの解体単価(坪単価)です。この単価は、プレハブの構造によって変わるのが一般的です。
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軽量鉄骨造の方が頑丈な構造で解体に手間がかかること、また鉄骨という廃材の処分費用がかかるため、木造よりも単価が高くなる傾向にあります。あなたのプレハブがどちらの構造かを確認することが、費用を知る第一歩です。
坪数ごとの費用シミュレーション
それでは、構造別の坪単価をもとに、プレハブの大きさごとの費用総額をシミュレーションしてみましょう。あくまで目安ですが、ご自身のプレハブの大きさと照らし合わせて、大まかな費用感を掴んでください。
プレハブの坪数 | 木造の費用目安 | 軽量鉄骨造の費用目安 |
---|---|---|
3坪(約10㎡) | 7.5万円~12万円 | 9万円~13.5万円 |
6坪(約20㎡) | 15万円~24万円 | 18万円~27万円 |
10坪(約33㎡) | 25万円~40万円 | 30万円~45万円 |
20坪(約66㎡) | 50万円~80万円 | 60万円~90万円 |
※上記の坪単価データは、監修の「あんしん解体業者認定協会」が保有する2023年~2024年の全国約1,200社の見積もりデータを基に算出した独自のものです。
※この表はあくまで本体の解体費用の目安です。実際の総額は、後述する「付帯工事費」によって変動することを覚えておいてください。
見積もり前に確認!総額を左右する付帯工事費とは
「解体費用は坪単価×坪数で決まる」と考えているなら、それは大きな誤解です。実は、解体費用の総額を大きく左右するのが、本体工事とは別に発生する「付帯工事費」の存在。これを知らないと、「見積もりが安いと思ったら、後からどんどん追加費用を請求された」という事態に陥ります。
具体的には、以下のような工事が付帯工事にあたります。
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基礎コンクリートの撤去費 | 残置物(不用品)の処分費 | 樹木の伐採・抜根費 | ブロック塀などの撤去費 | 重機回送費 |
---|---|---|---|---|
地面にコンクリートの基礎がある場合、その撤去費用がかかります。 | プレハブ内に残された家具や荷物などの処分費用です。 | 工事の邪魔になる庭木などの撤去費用。 | プレハブ周りの外構の撤去費用。 | 重機を現場まで運ぶための費用。 |
これらの費用が見積もりに含まれているか、必ず確認することが重要です。
アスベスト調査・除去で追加費用が発生するケース
もう一つ、費用が大きく変動する要因として「アスベスト」があります。アスベストは健康被害を引き起こすため、法律で厳しく規制されています。特に重要なのが、近年の法改正です。
解体工事では、規模にかかわらず原則すべての工事で事前の調査が義務付けられています。さらに重要な点として、2023年10月1日からは、その調査を「建築物石綿含有建材調査者」などの専門資格を持つ者が行わなければならなくなりました。
「うちの小さなプレハブは対象外だろう」という自己判断は禁物です。この法律が意味するのは、つまり「資格のない業者は調査すらできない」ということです。このルールを知らない業者や、意図的に調査を省こうとする業者に依頼すると、法律違反になるだけでなく、あなたやご近所の健康を危険に晒すことになります。
(出典:厚生労働省 石綿総合情報ポータルサイト)
【プロが伝授】失敗しない優良解体業者の見極め方 6つの鉄則


適正な費用相場を理解したら、次はいよいよ「信頼できる業者」を選ぶステップです。どんなに費用相場を把握していても、依頼する業者を間違えてしまっては元も子もありません。後悔しないための「優良業者の見極め方」を6つの鉄則としてお伝えします。
鉄則1:許可証・登録の有無は最低限のチェック項目
これは大前提ですが、解体工事を行うには、都道府県知事からの許可や登録が法律で義務付けられています。具体的には、以下のいずれかが必要です。
※画像クリックで拡大できます
建設業許可(解体工事業)
500万円以上の解体工事を請け負う場合に必要。


解体工事業登録
500万円未満の解体工事を請け負う場合に必要。


これらの許可や登録がない場合は違法業者です。見積もりを取る際に必ず許可証や登録証の提示を求めてください。



これを見せられない、あるいは渋るような業者は、その時点で絶対に選ばないでね!
鉄則2:アスベスト調査の有資格者が在籍しているか
前述の通り、2023年10月からアスベストの事前調査は有資格者が行うことが義務化されました。これは業者選びにおける、今や最も重要なチェック項目の一つです。
見積もり依頼時に「アスベストの有資格者の方はいらっしゃいますか?資格者証の写しを拝見できますか?」と必ず確認しましょう。この質問をはぐらかしたり、対応を渋ったりする業者は、法令遵守の意識が低い業者である可能性が極めて高いです。
アスベスト除去作業の資格
アスベスト除去作業に携わる人は、次の資格を持っている必要があります。
石綿取扱作業従事者 | 石綿作業主任者 | 特別管理産業廃棄物管理責任者 |
---|---|---|
アスベスト除去の基本資格で、作業に携わる全員が必須です。 | 現場の安全管理を担当する責任者に必要な資格で、現場に必ず1人以上必要です。 | 作業員にアスベストの処理を正しく行わせるため、事業所ごとに設置が義務付けられています。 |
鉄則3:「一式」ではない詳細な見積書を提出できるか
優良な業者かどうかは、提出される見積書を見れば一目瞭然です。悪質業者の見積書は、「解体工事一式 〇〇円」といったように、内訳が不明瞭なケースが多いです。これは、後から「〇〇は一式には含まれていません」と言って、追加料金を請求するための常套手段です。
一方、優良な業者は必ず「建物本体解体」「基礎撤去」「廃材運搬処分」「諸経費」など、項目ごとに数量や単価を明記した詳細な見積書を提出します。何にいくらかかるのかが明確か、これが業者選びの重要な判断基準となります。
丁寧な業者さんでも「一式」という単位自体はよく使われるものなので、書いてあるからと言って過剰に心配しなくても大丈夫です。
一式の項目がやたら多い、詳細を聞いても答えられないなどの場合は注意が必要です。
鉄則4:万が一に備える損害賠償保険への加入状況
解体工事は、どれだけ慎重に行っても、事故のリスクがゼロではありません。こうした万が一の事態に備え、優良な業者は必ず「損害賠償保険」に加入しています。
もし保険未加入の業者に依頼して事故が起きた場合、その損害賠償責任が依頼主であるあなたに及ぶ可能性も否定できません。「保険には入っていますか?」と口頭で確認するだけでなく、「保険証券のコピーを見せてください」と必ず書面で確認するようにしてください。
鉄則5:公式サイトで施工実績や専門性を確認する
業者の公式サイトは、その会社の信頼性を測るための重要な情報源です。ただ存在するだけでなく、その中身をしっかりと確認しましょう。
施工実績は豊富か | 会社概要は明確か | 情報発信をしているか |
---|---|---|
特にプレハブの解体実績が掲載されているか確認します。 | 会社の所在地、代表者名、連絡先がきちんと明記されているか。 | 解体に関する専門的な情報をブログなどで発信している業者は、知識が豊富で信頼できる可能性が高いです。 |
鉄則6:相見積もりで価格と担当者の対応力を見抜く
最終的に最も重要なのが、複数の業者から見積もりを取る「相見積もり」です。最低でも3社から見積もりを取ることを強く推奨します。
相見積もりを行うことで、あなたのプレハブ解体の適正な価格帯が見えてきますし、業者間の価格競争によって費用を抑える効果も期待できます。しかし、比べるのは金額だけではありません。
見積もりを依頼した際の担当者の対応も、重要なチェックポイントです。あなたの質問に専門用語を使わず丁寧に答えてくれるか、レスポンスは迅速か、親身に相談に乗ってくれるか。多くの現場を見てきた実感として、最終的に満足度の高い工事になったケースでは、必ずと言っていいほど担当者との相性が決め手になっています。



「ただ安いだけ」の業者さんじゃなく、価格と対応力の両方を見極めて、心から信頼できるパートナーを選んでね!
【初田理事に聞いた】プロが見抜く「危ない業者」の危険信号
ここまでは優良業者を見抜く「鉄則」をお伝えしましたが、逆に「こういう業者は危ない」という危険信号も知っておくと、より確実な業者選びができます。広告やウェブサイトだけでは分からない「裏側の見分け方」を、多くの解体業者と連携されている初田理事にうかがいました。
危険信号1:会社の「実態」が不透明
稲垣:初田さんの目線からみて、「これは危ない」と思える業者の特徴はありますか?



公式サイトに載っている固定電話にいつかけても誰も出ない、というのは注意信号です。事務所が実在せず、レンタルスペースを住所にしている業者も稀にいますが、これも危険な兆候と言えるでしょう。
危険信号2:営業マンばかりで自社職人が少ない



スタッフの割合として営業マンが異常に多く、自社の作業員が少ない会社は、受注した工事を下請けに丸投げしている可能性が高いです。そうなると現場管理がずさんになり、トラブルの元になります。
危険信号3:担当者の安易な断言や言葉遣い



見積もりの際に『追加費用は絶対にかかりません』と言い切る担当者は、逆に怪しいかもしれません。解体工事は予期せぬ事態もありうるので、誠実な業者ならリスクも正直に説明するはずです。
また、基本的な敬語が使えないなど、社会人としての対応に不安を感じる場合も避けた方が賢明でしょう。
プレハブ解体工事の流れを6ステップで完全ガイド
「一体何から始めればいいのか…」という不安を解消するために、ここからはプレハブ解体を依頼してから工事が完了するまでの全工程を、6つのステップに分けて分かりやすく解説します。
※画像クリックで拡大できます


Step1:業者探しと現地調査・見積もり依頼
まずは、解体を依頼する業者を探すところからスタートです。インターネット検索などを利用して、候補となる業者を3社ほどリストアップしましょう。業者に連絡すると、正確な見積もりを出すために「現地調査」の日程調整を行います。担当者が実際に現場を訪れ、プレハブの大きさ、構造、立地条件などを確認します。
Step2:契約内容の確認と書面の取り交わし
複数の業者から見積もりを取り、依頼する1社が決まったら、工事請負契約を結びます。ここで絶対に焦ってはいけません。契約書に書かれている内容を隅々まで確認し、特に重要である「工事内容の範囲」「金額」「工期」「支払い条件」「追加工事が発生した場合の取り決め」は必ず目を通しましょう。
Step3:建設リサイクル法などの法的な事前届出
床面積の合計が80㎡(約24坪)以上の建物を解体する場合、「建設リサイクル法」に基づき、工事開始の7日前までに都道府県知事への届出が義務付けられています。優良な業者であれば、この届出は基本的に業者が代行してくれます。
Step4:近隣への挨拶と養生・足場の設置
解体工事は、どうしても騒音や振動、ホコリの発生が避けられません。近隣トラブルを防ぐために、工事開始前の「近隣挨拶」が極めて重要になります。これも優良業者であれば、工事の数日前に粗品を持って、近隣のお宅へ挨拶回りをしてくれます。並行して、現場では建物の周りに足場を組み、養生シートで全体を覆います。
挨拶回りは基本的に解体業者のみで行われますが、業者と一緒に回ることで誠実さが伝わり良好な近隣関係に繋がります。
Step5:建物本体の解体と廃材の分別・搬出
いよいよ、建物本体の解体作業が始まります。一般的には、まず内装材や屋根材を手作業で撤去し、その後、重機を使って構造体を解体していきます。この際、木材、コンクリート、鉄骨といった廃材を、法律に従って正しく「分別」しながら作業を進めることが重要です。



この工程は業者さんがやってくれるよ~。
Step6:整地作業と工事完了の最終確認
建物の解体と廃材の搬出が終わったら、最後に土地を平らにならす「整地」作業を行います。すべての作業が完了したら、あなたが現地に立ち会い、契約書通りの状態になっているかなどを最終確認します。問題がなければ、工事は完了です。
プレハブ解体費用を賢く抑える3つの方法


適正価格で信頼できる業者に依頼するのが大前提ですが、さらに費用を賢く抑えるための方法も存在します。ここでは、実践的で効果の高い3つの節約術をお伝えします。
方法1:不用品(残置物)は自分で処分しておく
プレハブ内に不用品(残置物)がたくさん残っている場合、解体業者に処分を依頼すると「産業廃棄物」扱いとなり、高額になることがあります。もし可能なら、工事前に自治体の粗大ごみ回収などを利用して自分で処分しておきましょう。これだけで数万円単位の費用を節約できる可能性があります。
方法2:自治体の補助金・助成金制度を調べる
あまり知られていませんが、自治体によっては、老朽化した建物の解体に補助金を出している場合があります。「老朽危険家屋解体撤去補助金」といった名称で制度が設けられていることが多いので、「お住まいの市区町村名+解体 補助金」で検索してみてください。
ただし、利用には重要な注意点があります。夢のような制度ですが、落とし穴もあるので必ず覚えておきましょう。


補助金の詳細や対象となるかは、一般社団法人住宅リフォーム推進協議会の検索サイトで調べたり、市区町村の担当窓口に直接問い合わせたりするのが確実です。
【初田理事に聞いた】補助金が「もらえなかった」本当の理由
補助金申請の失敗例についても初田理事にうかがいました。
稲垣:補助金申請において最も多い失敗パターンは何ですか?



最も多い失敗パターン、それは 「タイミングを逃すこと」 です。言葉は悪いですが、利用するなら申請期間が始まったらすぐに動いて、申請の『枠』を押さえておく、という意識が重要になります。
「書類を間違えたらどうしよう…」と心配される方がいますが、実は書類の不備が原因で補助金がもらえなくなるケースは稀です。役所が不備を指摘し、再提出を促してくれるからです。
「工事が終わってから補助金の存在を知った、というのでは手遅れです。また、申請しようとしたら、すでにその年度の受付が終了していたり、自治体の予算が上限に達していたりするケースが後を絶ちません。
つまり、補助金は早い者勝ちの側面が非常に強いと言えます。
方法3:【上級者向け】分離発注で中間マージンを削減
もしあなたが、新築や建て替えのためにプレハブを解体する場合、これは絶対に知っておいてほしい節約術です。
多くの方は、家を建てるハウスメーカーや工務店に解体工事もまとめて依頼しがちですが、その際に10%~30%もの「中間マージン」が上乗せされるのが業界の常識です。
建築を依頼する会社とは別に、解体工事は自分で直接、専門業者に依頼する。これを「分離発注」と言います。手間は少し増えますが、数十万円単位で費用を削減できる、最も効果的な方法と言えるでしょう。
【FAQ】プレハブ解体に関するよくある質問


最後に、これまでのご相談で特によく寄せられた質問とその回答をまとめました。
見積もり以上の高額な追加請求をされることはありますか?
契約書に記載のない不当な追加請求に応じる必要は一切ありません。ただし、例外として、工事を始めてから判明した「地中埋設物」の撤去など、予測できなかった作業には、正当な追加費用が発生する場合があります。
こうした事態を避けるためにも、契約時に「万が一、追加工事が必要になった場合の費用や対応」について、必ず業者と書面で取り決めを交わしておくことが重要です。
プレハブを解体すると固定資産税は高くなりますか?
ケース1:解体して「更地」にする場合 → 税金が高くなる可能性大!
多くの方が「建物を壊せば固定資産税は安くなる」と誤解していますが、逆のケースがほとんどです。土地の上に住宅が建っている場合、「住宅用地の特例」によって土地の固定資産税が最大で6分の1に減額されています。建物を解体して更地にすると、この特例が適用されなくなり、翌年から土地の税金が跳ね上がってしまいます。
ケース2:解体して「建て替える」場合 → 税金を維持できる可能性があります!
一方、解体後に新たに住宅を建てる場合は、「住宅用地に対する課税標準の特例の継続適用(通称:建て替え特例)」という制度を利用できる可能性があります。一定の要件を満たせば、工事中で更地になっている期間も、税の軽減措置が継続されます。
【要注意】この特例は自動適用されません!
適用には「解体後1年以内に新しい家の建築に着手する」などの要件があり、自治体への申告が必要です。必ず解体前に、土地所在地の市区町村の税務課にご相談ください。
(参考:総務省 地方税制度)
解体工事にかかる期間や日数の目安は?
プレハブ本体の解体工事にかかる期間は、その規模や構造、立地条件によって異なりますが、一般的なものであれば3日~1週間程度で完了することが多いです。
ただし、これはあくまで工事期間の話です。実際には、業者探しから契約、法的手続き、近隣挨拶といった準備期間が必要になります。そのため、解体を考え始めてから工事が完了するまでには、全体で1ヶ月~2ヶ月程度の余裕を見て計画を立てることをおすすめします。
まとめ:プレハブ 解体費用を依頼する前の最終チェックリスト
この記事の要点を踏まえ、最後に確認すべき重要事項をまとめました。一つずつチェックし、万全の準備で次の一歩に進みましょう。
- 費用の全体像を把握する
坪単価だけでなく、基礎の撤去や残置物処分などの付帯工事費も確認しましょう。特に2023年10月から義務化された有資格者によるアスベスト調査の費用が含まれているか、見積もりで明確にすることが重要です。 - 業者の資格と法令遵守を確認する
「建設業許可」または「解体工事業登録」の有無は必須です。加えて、アスベスト調査に対応できる「建築物石綿含有建材調査者」が在籍しているか、必ず書面で確認してください。 - 複数の業者から詳細な見積もりを取得する
最低3社から相見積もりを取り、価格だけでなく担当者の対応力も比較します。「工事一式」ではなく、作業項目ごとに内訳が明記された詳細な見積書を提出する業者を選びましょう。
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