
この記事の案内人・編集長
稲垣 瑞稀
「庭を更地にしたいけど、費用は一体いくらかかるんだろう?」
「庭石や池の撤去って、どこに頼めばいいの?」
大切な庭の解体を前に、費用や業者選びで悩んでいませんか。
庭の解体は、広さや撤去するものによって費用が大きく変わるため、明確な定価がありません。だからこそ、信頼できる専門家のアドバイスが不可欠です。
そこでこの記事では、解体の専門家である「一般社団法人あんしん解体業者認定協会」の全面的な監修のもと、初めて庭の解体をするあなたが、安心して一歩を踏み出すための知識をまとめました。
- 初めての庭の解体で損しないための、庭石や池など撤去物別の費用相場がわかる。
- 失敗しない業者選びの鉄則がわかる。「3社相見積もり」や「建設業許可」の確認は必須。
- 不法投棄で罰金1,000万円も?悪質業者を回避し、法的リスクから身を守る方法。
- 繁忙期を避け、補助金活用で数十万円安くする4つの方法。知らないと損するコツ。
- 解体後の土地活用法がわかる。駐車場や更地にする場合の費用目安と注意点を解説。


一般社団法人あんしん解体業者認定協会 理事・解体アドバイザー
初田 秀一(はつだ しゅういち)
解体アドバイザー歴15年、相談実績は11万件以上。お客様の不安を笑顔に変える現場のプロフェッショナル。「どんな些細なことでも構いません」をモットーに、一期一会の精神でお客様一人ひとりと向き合い、契約から工事完了まで心から安心できる業者選定をサポート。この記事では現場のリアルな視点から解説を担当。

「スッキリ解体」編集長
稲垣 瑞稀(いながき みずき)
解体業界専門のWebメディアでWebディレクターとして6年以上、企画・執筆・編集から500社以上の解体業者取材まで、メディア運営のあらゆる工程を経験。正しい情報が届かず困っている方を助けたいという想いから、一個人の責任と情熱で「スッキリ解体」を立ち上げ、全記事の編集に責任を持つ。

「スッキリ解体」専属ライター
丸山 夏実(まるやま なつみ)
「”わからない”という不安を、”わかった!”の安心に変えるお手伝いをします。」
はじめて解体工事に直面する方の不安な気持ちに、誰よりも共感することを大切にするライター。数多くの業者インタビューや専門勉強会を通じて、プロの専門用語を一般の方にもわかりやすく伝える。読者と同じ目線に立ち、一緒に不安を解決していくパートナーのような記事作りを信条としている。

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庭石・庭木・池など撤去物別の費用目安

庭の解体費用は、撤去する対象物によって大きく変動します。ここでは、一般的な撤去物ごとの費用目安を一覧にまとめました。
あくまで参考価格であり、実際の費用は現場の状況や業者によって変わることを念頭に置いてください。
撤去対象物 | 費用目安 | 備考 |
---|---|---|
庭石(1個あたり) | 1万円~5万円 | 大きさ、重さ、クレーン車の要否で変動 |
庭木(1本あたり) | 5,000円~3万円 | 高さ、太さ、根の深さ(抜根)で変動 |
池・泉の撤去 | 5万円~20万円 | 大きさ、深さ、埋め戻し方法で変動 |
物置の解体・撤去(1坪あたり) | 1万円~10万円 | サイズ、材質(スチール、木製など)で変動 |
ブロック塀(1㎡あたり) | 3,000~4,000円 | 高さ、厚み、鉄筋の有無で変動 |
ウッドデッキの解体(1㎡あたり) | 3,000円~8,000円 | 面積、基礎の種類(束石、コンクリート)で変動 |
砂場・花壇の撤去 | 1万円~5万円 | 規模、土の処分量で変動 |
整地(1㎡あたり) | 500円~2,000円 | 土地の状態、仕上げ(粗仕上げ、真砂土など)で変動 |
※費用目安は「あんしん解体業者認定協会」が保有する解体工事データから費用幅を算出したものです。
※これらの費用は、あくまで個別の撤去にかかる目安です。実際には、複数の作業を組み合わせることで割安になるケースもあります。

どの対象物も、大きさ・材質・重さ・土地の状態とか、色んな条件で金額が変動するんだね。
費用の内訳は?人件費・重機代・処分費を理解する
見積書に記載される総額は、主に以下の4つの費用から構成されています。この内訳を理解することで、見積もりの妥当性を判断しやすくなるでしょう。
- 人件費:現場で作業する職人さんの費用です。作業員の人数と作業日数によって決まります。
- 重機費用:ユンボ(※)やクレーン車など、重機を使用する場合のレンタル料や燃料代です。重機が入れない狭い場所では、手作業が増えるため人件費が割高になる傾向があります。
- 運搬費用:撤去した庭石やコンクリートガラなどを、処分場まで運ぶためのトラックの費用です。
- 廃棄物処分費用:撤去した廃棄物を、法律に則って適正に処分するための費用です。これは絶対に削れない、非常に重要なコストになります。
これらの要素が組み合わさって、最終的な解体費用が算出されます。
人件費や重機のレンタル費用などは、見積書には明記せず「解体費」や「工事費」として他の費用に含める業者が多いです。提示された費用が相場から大きく外れている場合は、業者に内訳を確認してみましょう。「増員の必要がある工事だから人件費が多い分費用が上がっている」など納得できる理由を説明してくれるかもしれません。
(※)ユンボ画像↓


「一式」見積もりに潜む追加費用のリスクとは
見積書に「庭解体工事一式 〇〇円」としか書かれていない場合は、非常に危険です。これは、悪質な業者が使う典型的な手口の一つかもしれません。
内訳が不透明なため、工事が始まってから「これは見積もりに含まれていませんでした」と言って、次々と追加費用を請求されるリスクが潜んでいます。たとえば、「大きな庭石の撤去は別料金です」「木の根の処分は聞いていません」といった具合です。


もらった見積書に「工事一式」という記載しかない場合は、業者に詳細項目を確認しましょう。あとから追加費用を請求されないよう「詳細を書き出してください」とお願いし、何の費用を支払うのか見積書に記載してもらうと安心です。
なぜ庭の解体は業者選びで9割決まるのか?業界のプロが語る実態


「庭の解体なんて、どこに頼んでも大して変わらないだろう」。
もしあなたがそう考えているなら、それは大きな間違いです。庭の解体は「どの業者に依頼するか」で成功の9割が決まると言っても過言ではありません。解体費用、工事の品質、ご近所との関係まで、すべては業者選びにかかっています。
「どこに頼んでも同じ」は危険な誤解
庭の解体費用には、家や車のような「定価」が存在しません。それぞれの庭の状況がまったく違うため、一つひとつの工事がオーダーメイドになるからです。
だからこそ、業者によって提示する金額に数十万円単位の差が生まれることも珍しくありません。
さらに、技術力や経験、近隣への配慮といった「工事の質」にも天と地ほどの差があります。「安ければいい」と安易に選んでしまうと、ずさんな工事で後悔する典型的なパターンに陥ってしまうでしょう。


悪質業者の典型的な手口
残念ながら、解体業界にはお客様の知識不足につけ込む悪質な業者が存在します。とくに悪質な手口をいくつかご紹介しましょう。
- 不当な追加請求:「見積もりには含まれていなかった地中埋設物が出てきた」などと理由をつけ、工事後にとんでもない追加費用を請求するケース。
- 不法投棄:撤去した庭石やコンクリートガラを正規の処分場に運ばず、山中などに不法投棄する手口です。処分費用を浮かせるためですが、これには重大なリスクが伴います。
- 近隣トラブルの放置:工事前の挨拶を怠ったり、騒音や粉塵対策をまったく行わなかったりして、ご近所からクレームが殺到。しかし、業者は「あとはお客様で対応してください」と知らんぷり。
畳1500枚不法投棄、栃木市の林道など 市の撤去費用1300万円
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栃木県栃木市は5日、市内の林道などに畳計約1500枚や建設廃材が不法投棄され、監視カメラ4台が盗難や損壊の被害にあったと発表した。撤去費用として市が約1300万円を負担するという。市は栃木署に通報し、監視カメラについて被害届を出した。
市によると、1月末~7月末に同市岩舟町三谷などを通る林道広戸三谷線を中心に11件の不法投棄を確認した。投棄は6~7月に8件と集中し、同線から山を挟んだ東側の同市大平町西山田の林道西山田線では、7月末に1カ所で約600枚の畳の投棄を確認した。
建設廃材はコンクリートの破片などで、2トントラック6台分になるという。市は建物解体で出た産業廃棄物とみている。
過去にも不法投棄が確認されている林道広戸三谷線に設置していた監視カメラは2台が盗まれ、2台が壊されたという。
市は今月から夜間パトロールを始めており、監視カメラの増設も検討している。投棄者が特定できた場合は撤去を促すか撤去費用を請求する方針だ。大川秀子市長は「警察や県と連携しながら対応していく」と話した。
発覚すれば、法律(廃棄物処理法)に基づき、工事を依頼したあなた自身が「排出事業者」として法的責任を問われます。具体的には、「5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金(法人の場合は3億円以下)」という重い罰則の対象となり、「知らなかった」では絶対に済まされません。
▼悪徳業者の実態や、優良業者の選び方完全版はコチラ!▼


【初田理事に聞いた】不法投棄から身を守る「マニフェスト」確認術
法律で厳しく罰せられる不法投棄。そのリスクからご自身の身を守るために、施主としてできるもっとも確実な方法が、業者から渡される「マニフェスト(産業廃棄物管理票)」を正しくチェックすることです。 「うちはマニフェストを発行するから大丈夫」という言葉を鵜呑みにせず、自分の目で確認することが不可欠です。
では、具体的にどこを見れば良いのでしょうか?ここでは、解体現場で数多くの事例を見てきた『あんしん解体業者認定協会』の初田理事に、最低限確認すべきポイントを聞きました。


一般社団法人あんしん解体業者認定協会 理事・解体アドバイザー
初田 秀一 (はつだ しゅういち)
解体アドバイザー歴15年、相談実績は11万件以上。お客様の不安を笑顔に変える現場のプロフェッショナル。「どんな些細なことでも構いません」をモットーに、一期一会の精神でお客様一人ひとりと向き合い、契約から工事完了まで心から安心できる業者選定をサポート。この記事では現場のリアルな視点から解説を担当。
稲垣:マニフェストの具体的なチェックポイントを教えてください。



まず、「①排出事業者」「②運搬先の処分場」「③廃棄物の種類と量」の3点です。排出事業者の欄にご自身の現場の住所・氏名が正しく書かれているか。そして、どこに運ばれ、何のゴミがどれくらいの量出たのか。この3つで、自分の家の廃棄物が正しく処理されているかを確認できます。




「マニフェストが1枚だけ」は危険信号!枚数と種類も要チェック
解体工事からは、木くず、コンクリート塊、金属くず、廃プラスチック類、石膏ボード、アスファルト塊、ガラスくず、陶磁器くずなど、非常に多くの種類の産業廃棄物が排出されます。廃棄物処理法では、これらの種類ごとのマニフェスト交付が原則です。初田理事は、マニフェストの「枚数」と「種類」にも注意すべきだと指摘します。



一般的な木造30坪くらいの家なら、マニフェストは全部で少なくとも15枚~30枚くらいは出ます。もし1枚や2枚しか渡されなかったら、怪しいと考えた方がいいですね。
とくに「木くず」「コンクリートガラ」「混合廃棄物(コンパイ)」は解体工事で必ず出るはずです。これらのマニフェストがないのは不自然ですから、この3種類が出ているかは必ず見てください。
不法投棄という最悪の事態を避けるためにも、ご自身でチェックを行い、信頼できる業者を見極めましょう。


後悔しないために「相場」と「信頼性」の両輪が不可欠
庭の解体で後悔しないためには、「適正な費用相場」と「業者の信頼性」という2つの両輪が揃っている必要があります。
費用相場を知ることは、法外な金額を請求する業者を見抜くために重要です。しかし、安さだけを追い求めて信頼性の低い業者を選んでしまえば、前述のようなトラブルに巻き込まれるリスクが高まります。
価格と品質のバランスが取れた、本当に信頼できるパートナーを見つけること。これこそが、安心・安全な庭の解体を実現する唯一の道です。
現場の状況によっては、工事費用が相場からかけ離れる場合もあります。そんなときは、「なぜその金額になるのか」業者に金額の根拠を聞いてみましょう。あなたが納得できる説明が返ってくれば問題ありません。
【最重要】失敗しない庭解体業者の選び方!プロが教える3つの鉄則


では、どうすれば信頼できる優良な解体業者を見つけられるのでしょうか。ここがもっとも重要なポイントです。
解体業者を探すうえで、「これだけは絶対に守ってほしい」という3つの鉄則をお伝えします。この鉄則を守るだけで、悪質な業者に騙されるリスクを劇的に減らせるでしょう。
鉄則1:必ず3社以上から相見積もりを取る
面倒に感じるかもしれませんが、これは絶対に省略してはいけないプロセスです。最低でも3社から見積もりを取る(相見積もり)ことで、あなたの庭の解体における「適正な価格帯」が見えてきます。
1社だけの見積もりでは、その金額が高いのか安いのか、判断のしようがありません。
また、複数の業者と直接話すことで、担当者の人柄や対応の質を比較できます。「うちで契約してくれるなら、もっと安くしますよ」と即決を迫る業者にはとくに注意してください。誠実な業者であれば、他社と比較検討する時間を与えてくれるはずです。


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鉄則2:見積書の内訳を細かくチェックする
先ほども触れましたが、見積書は業者の誠実さを測る重要な指標です。優良な業者の見積書は、誰が見ても分かりやすいように詳細な内訳が記載されています。
以下の項目がきちんと明記されているか、必ずチェックしてください。
- 庭木伐採・抜根費用
- 庭石撤去費用
- ブロック塀撤去費用
- 重機回送費(重機の運搬費)
- 諸経費(現場管理費など)
- 廃棄物運搬・処分費用(種類ごとに記載されていると、より丁寧です)
▼廃棄物の運搬処理費が種類ごとに記載されている見積書例


「工事一式」といった大雑把な記載しかない場合は、詳細項目を確認しましょう。金額の詳細を聞いてもはぐらかされたら、根拠のない不当な金額を請求される可能性があります。その業者への依頼は見送るのが賢明でしょう。
鉄則3:許可証と損害賠償保険の加入を必ず確認する
解体工事を行うには、国や都道府県からの許可が必要です。また、万が一の事故に備えて「損害賠償責任保険」に加入しているかも必ず確認しましょう。工事中に隣家の壁を傷つけたり、通行人に怪我をさせてしまったりした場合、保険に未加入だと補償を巡って大きなトラブルに発展します。
解体工事には「建設業許可」または「解体工事業登録」のいずれかが必要ですが、この2つは請け負える工事の規模が明確に異なります。税込み500万円未満の工事は「登録」で足りますが、500万円以上の工事は「建設業許可」が必須です。庭の解体でも母屋と同時に行う場合など、500万円を超えるケースもあるため、より経営基盤がしっかりしていて信頼性の高い「建設業許可」を持つ業者を選ぶのが、安心の目安と言えるでしょう。
これらの許可証や保険証は、優良業者であれば提示を求めても快く応じてくれるはずです。ただし、許可証はあくまでスタートライン。許可の種類だけで工事の品質が一概に決まるわけではありません。
【初田理事に聞いた】工事品質やトラブル対応の面から見た「建設業許可」と「解体工事業登録」
「許可証の先」にある信頼性の見極め方とは……『あんしん解体業者認定協会』の初田理事に話を伺いました。
稲垣:「建設業許可」と「解体工事業登録」。業者が持っている資格で具体的にどのような差があると感じますか?



実際のところ、「建設業許可」と「解体工事業登録」で工事品質に明確な差があるとは言えず、結局は個々の業者によりますね。ただ、「建設業許可」を持つ業者のほうが請け負える工事金額の上限が高いため、対応できる工事の幅が広い傾向はあります。
稲垣:それでは、許認可の有無以外に、信頼できる業者を見分けるポイントはありますか?



何より重要なのは、担当者の言葉だけでなく、その裏付けとなる「実績」です。発言だけで信用するのはオススメできません。言葉だけでなく、実際の仕事ぶりを見て判断することが、本当の信頼につながります。
初田理事は、信頼できる業者を見つけるためには、以下の「実績」を確認させてもらうのが確実と教えてくれました。
- 過去の施工写真
- 現在進行中の現場(可能であれば)


これらの提示を快く受け入れてくれるかどうかが、業者の誠実さを見極める一つのバロメーターにもなります。
庭の解体工事の全手順|問い合わせから完了までの流れを解説


「業者に問い合わせてから、工事が終わるまで、具体的にどんなことをするんだろう?」ご心配になるお気持ちはよく理解できます。ここでは、庭の解体工事における一般的な流れを7つのステップで解説します。全体像を把握しておけば、落ち着いて計画を進められます。
解体業者への問い合わせ・相談
まずはインターネットや知人の紹介などで、候補となる解体業者をいくつかリストアップします。そして、電話やメールで問い合わせを行い、庭の解体工事を検討している旨を伝えましょう。この段階で、会社の対応の速さや丁寧さもチェックしておくと良いです。
現地調査と見積もりの依頼
業者が実際にあなたの庭を訪れ、状況を確認する「現地調査」を行います。この調査に基づいて詳細な見積書を作成するため、非常に重要なステップです。庭のどこまでを解体したいのか、残したいものはないかなど、あなたの要望を正確に伝えましょう。


見積書の比較検討と業者決定
複数の業者から提出された見積書を比較検討します。単純な金額だけでなく、工事内容、内訳の細かさ、担当者の対応などを総合的に判断してください。不明な点があれば、遠慮なく質問することが大切です。納得できる説明をしてくれる業者を選びましょう。
契約手続き
依頼する業者が決まったら、工事請負契約書を取り交わします。契約書には、工事内容、金額、工期、支払い条件などが明記されています。隅々まで内容を確認し、納得した上で署名・捺印してください。口約束はトラブルのもとです。
▼契約時の注意点や契約書のチェックポイント完全版はコチラ!▼


近隣への挨拶と工事準備
優良な業者であれば、工事開始前に必ず近隣住民への挨拶回りを行います。工事の日程や内容を説明し、騒音や振動への理解を求めるためです。施主であるあなたも一緒に回ると、より丁寧な印象を与えられるでしょう。また、業者は防音・防塵シートの設置など、工事の準備を進めます。


解体工事の実施と廃棄物処分
いよいよ解体工事の開始です。業者は計画に沿って、安全に配慮しながら作業を進めます。工事で発生した廃棄物は、分別して適正に処分場へ運搬されます。この廃棄物処理が適切に行われるかは、優良業者を見極める重要なポイントです。




工事完了の確認と支払い
工事が完了したら、業者と一緒に現場の最終確認を行います。契約通りの状態になっているか、きれいに整地されているかなどをチェックしましょう。問題がなければ、工事は完了です。契約書に基づいて、工事代金の支払いを行います。
▼工事前の準備から完工後の手続きまで、解体工事の手順完全版はコチラ!▼


庭の解体費用を安く抑える4つの方法|知らないと数十万円損することも


庭の解体は決して安い買い物ではありません。だからこそ、「少しでも費用を抑えたい」と考えるのは当然のことです。ここでは、私がプロの視点からお伝えする、賢く費用を抑えるための4つの方法をご紹介します。ただし、安さだけを追求して品質を犠牲にしないよう、注意が必要です。
方法1:自分でできる庭の片付け・処分は済ませておく
植木鉢やその他ガーデニング用品など、自分で処分できるものは事前に片付けておきましょう。これらは解体業者に依頼すると「廃棄物」として扱われ、処分費用がかかってしまいます。ゴミの量が減れば、その分だけ費用を節約できる可能性があります。
ただし、庭木の伐採やブロックの撤去などをDIYで行うのは、怪我のリスクや専門的な廃棄物処理の問題があるため、オススメできません。
▼庭の廃棄物 処分方法一覧表
廃棄物の種類 | 主な処分方法 | 費用の目安 | 注意点・補足 |
植木鉢・プランター | ・プラスチック製 自治体の「燃えるゴミ」または「プラスチックゴミ」 ・陶器・素焼き製 自治体の「燃えないゴミ」 ・大きいもの 自治体の「粗大ゴミ」 | ・ゴミ袋代 ・粗大ゴミ処理券代(数百円〜) | ・中の土や植物を空にしてから処分しましょう。 ・自治体の分別ルールを必ず確認してください。 ・割れた陶器は、収集員が怪我をしないよう新聞紙などで包み「キケン」と表示しましょう。 |
ガーデニング用品(支柱、ホース、スコップ等) | ・素材ごとに自治体の分別に従う(金属ゴミ、プラスチックゴミなど) ・一定の大きさを超えるものは「粗大ゴミ」 | ・ゴミ袋代 ・粗大ゴミ処理券代(数百円〜) | ・複数の素材が組み合わさっているものは、自治体の指示に従って分別してください。 |
※処分方法は各自治体で異なる場合があります。処分する際はお住いの自治体のルールを確認し、ルールを守ってゴミ出ししましょう。


方法2:解体の繁忙期(3月・12月)を避けて依頼する
解体業界にも、実は繁忙期があります。一般的に、年度末の3月や年末の12月は公共工事や企業の決算期が重なるため非常に混み合います。この時期は業者も忙しいため価格交渉がしにくいだけでなく、工事のスケジュールが組みにくいことも。
もし工期に余裕があるなら、これらの時期を避けて依頼することで、比較的安価に、そして丁寧な工事をしてもらえる可能性が高まります。


方法3:自治体の補助金・助成金制度が使えないか確認する
とくに「空き家」の庭を解体する場合、自治体によっては補助金や助成金制度が利用できることがあります。これは、倒壊の危険性がある空き家の増加を抑制するための施策です。お住まいの市区町村のホームページを確認するか、役所の担当窓口に問い合わせてみましょう。
補助金を検討する上で、絶対に守ってほしい鉄則があります。それは「解体業者と契約する前に自治体へ申請する」ことです。
ほとんどの自治体では、工事契約後の申請は一切認められません。先に契約・着工してしまうと、本来受け取れるはずだった数十万円の補助金がゼロになってしまいます。
【正しい手順】
- 自治体へ相談・事前確認
- 補助金の交付申請
- 自治体から「交付決定通知書」を受領
- 解体業者と工事契約 ← 交付通知書が発行されてから解体契約!
- 工事着工
この順番を絶対に間違えないでください。
【初田理事に聞いた】優良業者はどこまで手伝ってくれる?補助金申請サポートの実態
煩雑な補助金の申請手続きをどこまでサポートしてくれるかは、業者選びの重要な判断基準になります。初田理事によると、業者のサポート範囲には大きな差があるようです。
稲垣:補助金の申請手続きで、解体業者はどこまでサポートしてくれるのでしょうか?



一部の業者では、役所への書類提出まで代行してくれる場合がありますが、一般的には申請に必要な書類の準備をサポートするのが主流です。
稲垣:多くの場合サポートは無料で行われるそうですが、補助金申請サポートについて「解体業界の裏話」を教えてください。



なぜ無料でサポートしてくれるかというと、受注率を上げるためです。見積もり額は他社より高くても、補助金でお客様の最終負担額が安くなれば受注につながる。価格競争だけで勝負しない業者が、付加価値の高いサービスで選ばれようとする戦略ですね。
つまり、見積もりが最安値の業者が、手厚い申請サポートまで行ってくれるケースは少ない傾向にあります。補助金の活用を考えているなら、業者のサポート体制もしっかり比較検討しましょう。
比較項目 | 手厚いサポートの業者 | 一般的なサポートの業者 |
---|---|---|
サポート範囲 | 申請可能な補助金の選定から書類作成、申請手続き、進捗管理、受給後の報告まで一貫してサポート ・補助金情報の収集 ・提案 ・現地調査に基づいた補助金要件の確認 ・申請書類(見積書、工事計画書など)の作成代行 ・役所への申請代行・提出 ・申請後の進捗状況の確認・連絡 ・補助金受給後の実績報告書作成サポート ・その他、申請に付随する各種相談 | 申請に必要な書類の準備をサポート ・補助金制度の有無に関する情報提供(口頭または簡易な資料) ・申請に必要な書類のリストアップ ・見積書など、業者側で作成する書類の提供 ・必要に応じて、書類の記入方法に関するアドバイス |
メリット | ・手間が大幅に削減される:複雑な申請手続きを任せられるため、時間や労力をかけずに済む。 ・採択率が向上する可能性:専門知識を持つ業者が書類作成や手続きを行うため、不備が少なく、採択されやすい。 ・適切な補助金を見つけやすい:数ある補助金の中から、施主の状況に合った最適なものを提案してもらえる。 ・情報収集の負担が少ない:最新の補助金情報を業者から得られる。 | ・費用を抑えられる可能性:無料または低コストで基本的な書類サポートを受けられる。 ・ある程度の自由度がある:自身で申請手続きを進めたい場合に適している。 |
注意点 | ・業者選びが重要:補助金申請の実績が豊富で信頼できる業者を選ぶ必要がある。 ・全ての補助金を網羅しているとは限らない:特定の補助金に特化している場合もある。 | ・自身で手続きを進める手間がかかる:申請書類の作成や提出、役所とのやり取りなど、多くの作業を自身で行う必要がある。 ・情報収集を自身で行う必要がある:利用可能な補助金やその要件を自身で調べる必要がある。 ・不備による不受理のリスク:書類に不備があった場合、再提出や不受理となる可能性がある。 |
方法4:ハウスメーカーを通さず専門業者に直接依頼する
新築や建て替えに伴って庭を解体する場合、多くの方がハウスメーカーや工務店に解体もまとめて依頼しがちです。しかし、これは「数十万円損する」可能性が高い選択と言えるでしょう。
なぜなら、ハウスメーカーは自社で解体を行うわけではなく、下請けの解体業者に工事を発注するからです。その際、当然ながら中間マージン(紹介料)が発生し、その費用は最終的にあなたの負担となります。
ハウスメーカーに依頼する安心感はありますが、費用を抑えたいなら、あなた自身で解体専門業者を探して直接依頼する「分離発注」がもっとも効果的です。
ただし、この「分離発注」には大きなメリットがある一方、デメリットも存在します。信頼できる解体業者を自力で探す手間と時間、万が一悪質な業者を選んでしまった場合のリスク、そして新築を建てるハウスメーカーとの工程調整など、すべての責任と負担をあなた自身が負うことになる点は覚悟が必要です。
【目的別】庭の解体後の土地活用事例|駐車場・更地・砂利敷き


庭を解体した後のスペースをどう活用するか、具体的なイメージはありますか?ここでは、代表的な3つの土地活用事例について、それぞれのメリットや費用の目安を解説します。目的を明確にすることで、解体計画もより具体的に進められるはずです。
手入れ不要で実用的「駐車場」にする場合の費用と注意点
「庭の手入れから解放されたい」「来客用の駐車スペースが欲しい」という方にもっとも人気なのが駐車場化です。コンクリートで舗装すれば、雑草が生える心配もなく、車の乗り降りもスムーズになります。
- 追加費用目安:1㎡あたり1万円~2万円程度(コンクリート舗装の場合)
- 注意点:水はけを考慮し、雨水が溜まらないように勾配をつける必要があります。また、将来的に再び庭に戻す可能性があるなら、コンクリートを撤去する費用が高額になることも覚えておきましょう。


売却や新築に最適「更地(整地)」にする場合の費用とポイント
土地の売却や、家の建て替えを予定している場合は、きれいに整地された更地にすることが一般的です。買い手や次の建築工事がスムーズに進められるよう、土地を平らにならします。
- 追加費用目安:1㎡あたり500円~2,000円程度(解体費用に含まれる場合も多い)
- ポイント:仕上げのレベル(粗仕上げ、砕石敷き、真砂土仕上げなど)によって費用や見た目が変わります。売却先の不動産会社や、新築を依頼する工務店と相談し、どの程度の整地が必要か確認しておくと良いでしょう。


コストを抑えて雑草対策「砂利敷き」にする場合の費用
「コンクリートにするほどの予算はないけれど、雑草対策はしたい」という方にオススメなのが砂利敷きです。見た目もすっきりし、防犯対策(歩くと音がするため)にもなると言われています。
- 追加費用目安:1㎡あたり3,000円~6,000円程度(防草シート+砂利の場合)
- ポイント:砂利を敷く前に、必ず「防草シート」を下に敷くことが重要です。これを怠ると、砂利の隙間から雑草が生えてきてしまい、結局手間がかかることになります。


【FAQ】庭の解体に関するよくある質問


最後に、庭の解体を検討している皆さんのよくある質問にお答えします。多くの方が同じような疑問や不安を抱えていますので、ぜひ参考にしてください。
相見積もりを依頼する際、業者に「他社にも依頼している」と伝えるべき?
はい、伝えるべきです。これを隠す必要はまったくありません。
むしろ、「複数の業者さんからお話を聞いて、一番信頼できるところにお願いしたいと思っています」と正直に伝えることで、あなたの真剣さが伝わります。誠実な業者であれば、他社と比較されることを嫌がるどころか、自社の強みをアピールする良い機会だと捉えるはずです。
逆に、他社との比較を嫌がったり、即決を迫ったりするような業者には注意しましょう。無理に契約を迫ってくる業者はこちらからお断りすべきです。
最初に見積もりを依頼した業者から、「他社よりもうちが一番安い。今日決めてくれるなら、さらに足場代をサービスする」と強く勧められたAさん。断るのが申し訳なく感じてしまい、その場で契約してしまいました。しかし、後日他の業者に話を聞くと、契約した金額が相場よりもかなり高額だったことが判明し、後悔することになりました。
※「あんしん解体業者認定協会」に寄せられた相談事例より
相見積もりをする以上、最終的に選んだ業者以外はお断りをしなければなりません。「せっかく見積もりを出してもらったから断りづらい……」という気持ちはよくわかりますが、納得できないまま契約してしまっては後悔が残ります。そうならないためにも、「最初から相見積もりをしています」と業者に伝えておきましょう。
思い出の庭石や灯籠、お祓いや供養はした方が良い?


これは法律で定められた義務ではありませんので、最終的にはご自身の気持ち次第です。しかし、長年手塩にかけてきたお庭には、たくさんの思い出が詰まっていることでしょう。
「ただ壊すだけでは忍びない」と感じる方は、工事前にお祓いや供養を行うことで、気持ちの整理がつくかもしれません。業者によっては、地域の神社と提携していたり、供養の段取りに詳しかったりする場合もあります。見積もり依頼の際に、そうした想いを相談してみるのも一つの方法です。
また、多くの神社では、地鎮祭や家屋の清祓いなどの出張祭典を執り行っており、庭石や灯籠のお祓いにも対応してもらえる可能性があります。以下は出張祭典の案内がある神社の例です。お近くの神社に同様のサービスがないか確認してみるのもよいでしょう。
遠方の実家の解体を依頼する場合、立ち会いは必要ですか?
遠方にお住まいで、実家の解体を依頼するケースも増えています。結論から言うと、常に現場にいる必要はありません。
しかし、少なくとも「現地調査」と「工事完了確認」の2つのタイミングでは、可能な限り立ち会うことをオススメします。
現地調査は解体範囲の認識違いを防ぐため、完了確認は契約通りに工事が行われたかを自分の目で確かめるための立ち会いです。遠方からの依頼だからこそ、電話やメールでの報告を密にしてくれる、信頼性の高い業者を選ぶことがより一層重要になります。
どうしても立ち会いが難しい場合も、詳細な写真・動画での報告を相談してみるなど、業者と密に連携を取りましょう。


まとめ:庭の解体を依頼する前の最終チェックリスト


この記事の要点を踏まえ、最後に確認すべき重要事項をまとめました。一つずつチェックし、万全の準備で次の一歩に進みましょう。
- 3社以上からの相見積もり取得
適正な費用相場を把握し、担当者の対応を比較するため、最低3社から見積もりを取得します。1社だけの見積もりでは、提示された金額や工事内容が適切か判断できません。 - 見積書の内訳の確認
「工事一式」といった曖昧な記載は避け、庭石撤去や廃棄物処分費など、作業項目ごとの内訳が明記されているか確認します。これにより、予期せぬ追加請求のリスクを低減できます。 - 許認可と保険加入状況の書面確認
「建設業許可」等の許認可の有無と、「損害賠償責任保険」への加入状況を契約前に書面で確認します。これらは、業者の信頼性と万一のトラブルへの備えを判断する上で重要な指標です。
これらのポイントを着実に実行することが、後悔のない業者選びと、安心・安全な庭の解体の実現へのもっとも確実な道筋です。


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