この記事では、千葉県柏市の解体業者で解体工事を行った田中さん(仮名)の事例を紹介します。
・柏市の建物解体費用の相場を知ることができる。
・丁寧で安く施工をしてくれる解体業者の選び方がわかる。
・庭木の撤去方法と処分費用を把握できる。
・室内に残った家財道具の処分費用が抑えられる。

中野達也。一般社団法人あんしん解体業者認定協会理事。解体工事業の技術管理者であり、解体工事施工技士を保有。2011年に解体業者紹介センターを鈴木佑一と共に創設。2013年に一般社団法人あんしん解体業者認定協会を設立し、理事に就任。めざまし8(フジテレビ系列)/ひるおび(TBS系列)/ 情報ライブ ミヤネ屋(日本テレビ系列)/バイキングMORE(フジテレビ系列)など各種メディアに出演。
今回取り壊すのは、田中さんのお義母さまが以前お住まいだった家で、庭木が多く植わっているのが特徴です。
室内にはたくさんの家財道具が残っており、それらの撤去も一緒にお願いしたいけれど、費用がかさんでしまいそうなのが心配の種です。
解体後の土地は返却予定のため、田中さんは費用を抑えながらも丁寧な施工をしてくれる解体業者を探そうと思いました。
解体工事の概要と背景
今回中里さんが取り壊した建物 | |
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構造/種類 | 木造2階建て/住宅 |
坪数 | 36.75坪 |
所在地 | 千葉県柏市 |
築年数 | ー |
柏市の解体費用相場はどれくらい?

柏市の解体工事にかかる金額の相場はいくらなのかな?



建物本体の解体工事費であれば、地域の坪単価相場と建物の坪数(延床面積)が分かれば、おおよその金額を出すことができるよ。
<千葉県柏市の建物構造別費用相場>
建物構造 | 坪単価(実勢価格) | 現場状況による費用の変動幅 |
---|---|---|
木造 | 33,337円 | 24,931~65,432円 |
鉄骨造 | 36,945円 | 28,000~50,143円 |
RC造 | 76,441円 | 70,833~87,180円 |
坪単価×坪数=建物本体の解体工事費(目安)
例えば、柏市内で木造30坪の家屋を取り壊す場合、柏市の平均坪単価は33,337円なので、33,337円×30坪=1,000,110円が建物本体の解体工事費だと予想できます。
坪単価は建物の構造(木造・鉄骨造・RC造)や、選ぶ解体業者や時期によっても変わります。



ってことは、36.75坪だと1,225,135円ぐらいを目安にしたらいいんだね。これで建物本体の解体工事費はおおよそ計算できるね!
庭木の撤去にかかる費用は?



あとは庭木の撤去費か……



そうだね、解体工事費用には建物解体以外の費用もいくつかあるから、その金額も考慮しなきゃね!



建物解体以外にどんな費用がかかるの?



「建物本体工事費」の他に、解体費用には「付帯工事費」「建物養生費」「重機回送費」などがあって、庭木の撤去は「付帯工事費」に含まれるよ。
・付帯工事費
建物以外に撤去する物がある場合にかかる費用です。お庭の草木やブロック塀、またベランダや門扉、駐車スペースのコンクリート床などの撤去・処分費がこれにあたります。
・建物養生費
解体現場をシートで囲って養生するための費用です。工事中に出るゴミやホコリ、建材を壊した際の細かな破片やガラス片が周囲に飛散するのを防ぎます。
・重機回送費
解体工事で使用する重機を、解体業者の重機置き場などから解体現場に運搬する往復の費用です。



思っていたよりたくさんの費用がかかるんだね。



そうだね。撤去する物の種類や量によっては、解体費用がその分高額になるケースもあるよ。特に付帯工事費は室内外の状況や周辺環境の状況によって大きく異なるんだ。



庭木が多いから、撤去費用が高額になりそうで不安だなあ……
庭木の撤去は、根の部分まできれいに取り除く必要があります。費用は「トラック◯台分」で決めることが多いですが、松の木のような立派な木は大掛かりな作業になるので「1本いくら」という扱いになります。費用目安としては「12,000円~/m³」ぐらいです。



解体業者によっても見積額に差が出る可能性があるから、見積りを出してもらったら内容をよく比較・確認する必要があるね。



そうだね、必ず確認しよう!
・庭木(生木)は、木材よりも水分が多く含まれている分、燃やすのに火力や時間が必要なので処分費が高額になります。また、解体業者がどこの処理場を利用しているか、いつから付き合いがあるか(利用年数で割引されることもある)によって処分単価が変わるため、処分費に差が生まれます。
家財道具を解体業者に処分依頼すると高い!?



解体工事の費用は大体わかったけど、お部屋にある不要な家財道具も一緒に処分してもらえないかなあ。これも追加で費用がかかるよね……?



お部屋内外に残った家財道具を残置物と呼ぶよ。お願いすれば処分してくれる業者もあるけど、費用が高額になってしまう場合が多いんだ。



少しでも解体工事にかかる費用を減らしたいんだけど……



少しでも費用を抑えたいのであれば、粗大ごみなど捨てるのに手間がかかる不用品以外だけでも自分で処分しておくと、より安く済むよ。



そうなんだ!それなら一度、買い取り業者やリサイクル業者に査定してもらうのもいいかもね!
・解体工事で出た廃材などは「産業廃棄物」と呼ばれ、私たちが普段捨てる「ごみ(一般廃棄物)」と比べて処理費用が高額です。
・「一般廃棄物収集運搬業許可」と「一般廃棄物処理業許可」を持っている業者であれば、家財道具を一般廃棄物として処理できるので、持っていない業者より廃棄物の処理費用が抑えられます。
・金属、プラスチック、木材など一部のごみは、解体業者に無料もしくは格安で処分してもらえる可能性があります。これらは解体工事の廃材と合わせて産業廃棄物として処分が可能だからです。詳しくは依頼する解体業者によるので必ず安くなるとは言えませんが、交渉してみる価値はあると思います。
それでは、柏市の田中さんがどのようにして解体業者を探し、金額を安く解体工事を行えたのか、その流れを以下で紹介していきます。
解体業者3社に見積依頼
以下は、千葉県柏市で解体業者を選ぶ際の参考資料です。
千葉県柏市で解体業者を探す場合の参考情報 | |
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柏市の登録解体業者数 | 98社 |
工事に対応して貰える解体業者の所在地 | 柏市、千葉市、松戸市、流山市、佐倉市、白井市、鎌ケ谷市、野田市、船橋市、市川市など |
柏市の解体工事坪単価(木造) | 33,337円 |
柏市の解体工事坪単価(鉄骨造) | 36,945円 |
柏市の解体工事坪単価(RC造) | 76,441円 |
柏市特有の規制や条例 | 柏市の景観条例や建築物の高さ制限、廃棄物処理の厳格な規制などがあるため、地域特有のルールを遵守しているか確認することが重要です。 |
柏市の都市計画の影響 | 柏市は市全域が都市計画区域として指定されているため、解体工事に関する手続きや規制が特に厳しい可能性があります。柏市での解体工事は、経験が豊富な業者を選ぶと、スムーズな対応が期待できます。 |
柏市内のゴミ処理場の距離・運搬コスト | 柏市の解体業者が利用する廃棄物処理場までの距離や、解体物を処理するための運搬コストも工事費用に影響します。千葉県内の他地域と比較しても、処理場までの距離や運搬費が異なる場合があるため、それも踏まえて業者を選ぶと良いでしょう。 |
田中さんは3社に見積りを依頼しました。
A社の見積書


A社の見積書は、坪単価28,000円。柏市の相場よりも安いです。
付帯工事費は、素材ごとに細かく分類してそれぞれの金額を記載してくれています。
B社の見積書


B社の見積書は、単位が「坪」ではなく「m²」になっているので、まずは坪単価を計算します。36.75坪で計算すると、坪単価は36,816円です。
A社と比べてB社は坪単価が1万円近く高いことがわかりました。
C社の見積書


C社の見積書は、A社と同じく坪単価28,000円(36坪で計算しています)。
心配していた庭木の処分費ですが、A社13.5万円、B社22.5万円、C社7万円と、C社の金額はA社とB社に比べて安く、かなりの金額差があります。
3社の解体業者の見積りの結果比較
3社の解体業者の見積費用総額を比較した結果、「A社 212万9,760円」「B社 278万3,160円」「C社 196万3,224円」でした。



えぇー!B社は高額だね。一番安いC社との金額差が約82万円もあるよ!



そうだね。業者によってそれぐらいの金額差が出ることは、実はよくあることなんだ。ただ、今回の場合は見積書の項目に注目してほしいんだ。



A社と比べると、B社とC社は項目を大まかに分けているね。



よく気がついたね。見積書の項目が少なく低価格の場合、なぜ費用が安いのかを解体業者に確認することも大切なんだ。
田中さんは最初、金額の低いC社の見積りに惹かれましたが、それぞれの見積書を見比べると、A社と比べてC社の項目が少なく感じました。
そこで、C社に安さの理由を聞いてみたところ「足りない項目があった場合は追加で見積りをする」との返答でした。
それを聞いた田中さんは、最初から見積書に細かい項目を記載し、事前に工事内容を丁寧に説明してくれたA社に解体工事を依頼することに決めました。
見積書を出すときに、解体業者によって大きな金額差が生まれる理由の一つに「現地調査時の測量方法や職人の経験によって、数量の見立てが変わるから」という理由があります。
経験が豊富で、より詳しい測量方法を知っていれば、見積書の金額を具体的に見積もることができるため、実際施工したときとの金額差が生まれにくく、追加費用の発生を防ぐことができるのです。



詳しい見積りが出せないと、ざっくり多めに見積ることになっちゃうんだね。
実際の解体工事過程


駐車スペースのコンクリート床が撤去されたところです。建物の裏にお庭があります。


解体工事中に発生するホコリやゴミを防ぐため、養生シートを貼る骨組みを作っています。


お隣との間にも庭木が植わっていました。


庭木を撤去していきます。


工事完了です。きれいな更地に仕上がりました。
【まとめ】今回の解体工事のポイント
今回の解体工事事例のポイントは、「最初に解体工事にかかる項目と費用相場を確認したこと」「複数の解体業者に見積りを依頼して比較したこと」「見積書の不明点をきちんと確認してから契約したこと」でした。



中野さんのおかげで、解体工事にどんな費用がかかるのかわかったよ!



それは良かった!残置物のように工夫次第で費用を抑えられるものや、解体業者によって金額が違うものがあるから、見積書をしっかり確認することが大事だね。



うん!払う必要のない金額を払うのも、追加費用が発生するのも嫌だからね!



その通りだね。ちなみに、僕のYouTubeチャンネルで解体工事に役立つ情報を詳しく紹介しているから、良かったらチェックしてみてね!
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