「長屋を所有しているけど、老朽化が進んできた……。何か対策したいけど、他の所有者に迷惑はかけたくない……」
長屋は土地や建物を複数人で共有する性質上、個人の意思だけで解体工事を決定・行動することが難しい建物です。手続きを一歩間違えると、その影響は隣家にも及び近隣トラブルへと発展してしまうこともあります。
でも安心してください。同じ悩みを持っているのはあなただけではありません!
この記事では実例を元に、長屋についての基礎知識、切り離しをするメリットデメリット、隣家との付き合い方、長屋切り離し後の土地活用についてトラブルなくスッキリ解決できるよう徹底解説していきます。
- 長屋を切り離すメリット・デメリットを理解し、後悔のない賢い選択ができる
- 工事費用の目安を把握し、現実的な資金計画を立てることで、予期せぬ出費に悩まされない
- 長屋解体で起こりがちなトラブルとその対策を知り、安心して工事を進められる
- 解体後の土地活用に関する具体的なアイデアを得て、未来の可能性を広げ、新たなライフプランを描ける


僕のお家、だいぶ古くなっちゃった……。管理するのも大変だし、解体しちゃいたいな。でも長屋だからお隣さんは「いいよ」って言ってくれるかなぁ……。



えらいねなやみん!長屋の解体は隣家の人の合意がないと進められないこと、ちゃんと知ってるんだね。



えへ!褒められちゃった!



でも色々調べると話し合いとか、法律のこととか、難しそうなことばっかりでさ……ちゃんと進められるかすっごく心配……。



大丈夫!僕もサポートするし、ひとつずつ解決してスッキリさせよう!



中野さんありがとう!よろしくお願いします!


中野達也。一般社団法人あんしん解体業者認定協会理事。解体工事業の技術管理者であり、解体工事施工技士を保有。2011年に解体業者紹介センターを鈴木佑一と共に創設。2013年に一般社団法人あんしん解体業者認定協会を設立し、理事に就任。めざまし8(フジテレビ系列)/ひるおび(TBS系列)/ 情報ライブ ミヤネ屋(日本テレビ系列)/バイキングMORE(フジテレビ系列)など各種メディアに出演。
▼解体工事にまつわるお悩みを解体のプロ中野が動画で解説!▼
【基本知識】長屋について


長屋(ながや)って何?
長屋とは、2つ以上の戸建て住宅が壁を共有し、それぞれ独立した玄関を持つ集合住宅です。アパートやマンション(共同住宅)のようにエントランスや廊下、階段などの共用部分はありません。「テラスハウス」や「タウンハウス」、関西地方では「文化住宅」と呼ばれることもあります。
長屋は名前の通り「長い」建物で、複数の住戸が横に連なっているのが特徴です。また、隣家同士が壁を共有しているつくりのため建築コストが低く抑えられ、結果一戸建てや共同住宅よりも家賃が安く設定されている場合が多いです。
長屋は主に「棟割長屋(むねわりながや)」と「重層長屋(じゅうそうながや)」の2種類があります。
棟割長屋:住戸が壁を挟んで横並びに配置されている
重層長屋:1階と2階が別々の住戸になっており、2階住戸には直接外に続く階段が設けられている


隣同士が連なっている建物という点はどちらにも共通していますが、庭や駐車場を含む土地の所有者が異なります。長屋は基本的に共有部分がないため住戸と敷地はそれぞれの所有物であるのに対し、タウンハウスは庭や駐車場が共有のため住戸とは別に建物全体の土地所有者がいる事が多いです。似たような名称の「テラスハウス」という建物もありますが、これは長屋に近い建物です。
【画像で比較】アパート・マンションとはどう違うの?
※画像クリックで拡大できます。





この2つの画像を見て。違いに気付くかな?



えっ……うーん、どっちも2階建てだし、お隣とくっついてるし……



玄関の位置に注目だよ。



あっ!わかった!長屋は玄関が全部道路に面してて、共同住宅は玄関の前に廊下があるね!



正解!長屋と共同住宅の違いは共有部分の有無なんだ。画像を見るとよくわかるよね。
長屋の切り離しについて


長屋の切り離しや解体が増加しているワケ



実は、最近長屋解体を希望する人が増えてるんだよ。



えっ!そうなの?



そう。1970年頃に都市部を中心に木造の長屋が人気になって、その頃に建てられた建物が老朽化してきているんだ。



80年、90年、00年……築50年くらい経ってる!?確かにそれは古いねぇ!



でしょ?これが長屋解体が増えている主な理由だよ。
- 老朽化と耐震性の問題
長屋は多くの場合古い建物であり、老朽化が進んでいます。特に耐震基準を満たさない場合、住民の安全を確保するために一部または全体の解体が必要とされることがあります。 - 住環境の改善
近年、プライバシーや騒音問題が重視されるようになり、隣接する住戸との間を切り離して新たな居住スペースを作るための解体工事が増加しています。 - 空き家の増加
長屋に限らず、昨今は空き家が増加傾向にあります。その背景には、所有者の高齢化などがあります。



他にもいろいろ理由があるんだね。
老朽化した長屋をそのままにしておくと、どうなる……?



もし老朽化した長屋をそのまま放置したら、どうなると思う?



えっと……壊れちゃう?



そうだね。でもそれだけじゃなくて、老朽化した長屋を放置することは、物理的な危険、法的責任、そして経済的損失と色々なリスクが考えられるんだ。しかも、これらのリスクは個々の所有者だけの問題ではなく、周辺住民や地域社会全体に迷惑がかかってしまう可能性が大きいんだよ。



え、思ってたよりすごく怖い……。
【物理的・安全上のリスク】
・倒壊や一部落下による危害
建物の一部が落下、最悪の場合は建物全体の倒壊につながります。
(人身・物損事故、近隣への被害)
・湿気やシロアリ等による劣化の加速
日本の高温多湿な気候は、木造建築物にとって劣化を早めてしまう原因にもなります。
(構造材の弱体化、建物の寿命短縮)
・害虫・悪臭・警官悪化など周囲環境への悪影響
老朽化した長屋の放置は、ネズミや害虫の発生源になったり、悪臭が発生したり、景観や治安が悪化したりなど、周辺の生活環境にも影響を及ぼします。
(近隣住民の生活環境悪化、不法侵入・犯罪誘発)
【法的なリスク】
・第三者への損害賠償責任
建物の放置によって第三者に損害を与えた場合、法的な損害賠償責任を負う可能性があります。
(民法(不法行為)、連帯責任の発生)
・空家法・条例による指導・勧告
適切な管理が行われず、改善されないまま放置すれば特定空き家等に該当しうる空き家に対して「指導」、それでも改善しない場合は「勧告」が可能となります。
(行政指導、命令、代執行の可能性)
・固定資産税特例の解除
例え長屋の1室のみだとしても、空き家放置により管理不全と判断されれば、固定資産税が突然大幅に増額されるリスクがあります。
(税負担の増大)
【経済的なリスク】
・資産価値の低下
老朽化した空き家は、その状態が悪化するほど、解体や売却といった選択肢の実行が困難になってきます。
(売却困難、収益性喪失)
・管理・修繕コストの増大
放置期間が長くなるほど、必要な修繕や解体にかかる費用は増大し、最終的には維持管理コストが資産価値を上回る「負動産」となるリスクが高まります 。
(費用対効果の悪化、「負動産」化)



は、早く解体しなきゃ……!



なやみん落ち着いて。焦りこそ最大のトラップだよ!



中野さんまたなんかよくわからない事言ってる……?



慌てず1つずつ解決していこうね。
長屋切り離しのメリット・デメリット



古くなった長屋は解体するのがよさそうって事は分かったんだけど、念のためデメリットがあったら知っておきたいなぁ。



そうだね、何事もプラス面とマイナス面を知っておくことは大切だね。じゃあ長屋を切り離すメリット・デメリットについて見てみよう。
長屋を切り離すメリット・デメリット | |
---|---|
メリット | デメリット |
空いた | 土地を有効活用できる費用が高額 |
更地のほうが | 売却しやすくなる固定資産税の減額が適用されなくなる |
建物の | 維持費が削減できる残った建物の強度が落ちる可能性がある |
建物や土地の所有権を明確化できる | 隣家と話が折り合わず、近隣トラブルが起きやすい |



えぇ?これだけ見るとやっぱり切り離ししないほうがよさそうな気がしちゃうんだけど……。



うーん。最初になやみんも言っていたように解体せずに維持するためにもお金がかかる事を考えたら、解体工事は長期的に見て良い選択肢だと思うよ。



たしかに!



うまく活用できれば収入源になるかもだしね!



おぉ!それは夢が膨らむねぇ……!
長屋切り離し時のトラブルと解決策





あと心配なのはトラブルおきないかかなぁ?



確かに普通の解体工事よりもトラブルになりやすいからね……。考えられるトラブル内容を見てみよう。
長屋の切り離しには主にどんなトラブルがあるの……?
構造上の問題によるトラブル
- 梁(はり)や柱(はしら)の共有
複数の住戸で梁や柱を共有している場合、一部解体によって建物の構造全体の安全性が損なわれる可能性があります。構造設計の専門家が構造計算(こうぞうけいさん)※を行わないと解体を進められず、解体業者単独では対応できなかったり、倒壊の危険性があるため解体業者に責任が帰属しない旨の覚書(おぼえがき)※が必要となったりするケースもあります。 - 基礎の共有
図面がなく基礎がどのように繋がっているか不明な場合、解体後に隣接する敷地に基礎の一部が残ったり、残す側の基礎を破損させてしまうことがあります。解体業者は基礎の補修に対応できない場合が多いです。 - 解体後に境界が変わってしまう
共有の柱を撤去する際、柱の半分が解体対象地の境界を超えることが多く、特に売却時には認識のズレからトラブルが生じる可能性があります。
近隣住民との合意形成・補修に関するトラブル
- 隣家とのやり取り
解体工事や切り離し後の補修に関して、隣家の所有者との合意形成がスムーズにいかない場合があります。どのような同意書が必要か、補修方法(トタン、板金、石膏ボードなど)の選択で意見が対立することもあります。 - 補修後の耐震性への懸念
解体後の切り離し補修が建物の耐震性に影響を与えるのではないかと隣接住民が懸念し、トラブルに発展するケースがあります。解体業者は耐震性の判断が難しく、専門家(工務店、建築家)の意見が必要となる場合があります。高額な構造計算費用がさらに紛争を招くことも。 - 入居者への配慮
解体工事中の騒音や振動に対する入居者の不満から、工事が中断・中止になることがあります。仮住まいの提供などの配慮が必要になることもあります。 - 不動産業者の介入
解体対象の借地権を狙う不動産業者が、隣接する物件の管理会社を通じて解体への不安や不満を所有者に伝え、工事が頓挫する事例があります。



やだぁ、僕こんなの対処できない……。



まぁまぁ、元気だしてよ。通常の解体よりトラブルは起きやすいけど、プロのアドバイスで問題なく工事を終えられている人はたくさんいるよ!実際に工事を進める時は次のまとめを参考してみてね。
【気になるトコロ】長屋切り離しする時、近隣と揉めないために……【トラブル対策】



工事の技術も大切だけど、長屋の解体は隣家や同じ建物を共有している人とお互いが納得できるまで話し合って決める事が胆(キモ)だと思うよ!
「長屋解体。隣家・近隣への配慮ポイント」
長屋の切り離し工事は、隣家との関係性がとても密接です。トラブルを避けるためには慎重な準備と対応を必ず実行しましょう。
工事を進める上で気を付けること
- 【最重要】必ず隣家の承諾を得る
長屋の共有部分は共同の資産です。きちんと共有している全員の承諾を得てから工事を進めましょう。また、承諾が取れたら必ず書面で同意を残しましょう。工事内容・期間・費用負担・補修の責任範囲などを具体的に明記し、双方が納得した上で同意書を交わすことが重要です。 - 工事計画を明確に丁寧に説明する
具体的な工事内容、隣家にどんな影響が発生するのか、作業時間や工事期間などのスケジュール、騒音・防塵対策をする旨など、ご近所さんに安心してもらえるようにあらかじめ説明しましょう。 - 工事中の配慮とコミュニケーションを忘れない
定期的に作業の進捗を報告したり、不明点・不安点を都度確認しましょう。もし騒音や振動の苦情があった場合は必要に応じて対策をしましょう。また、施主と施工業者の連絡先を隣家に伝えておき、何かあった際にすぐに連絡が取れるようにしておくのがベストです。 - 建物の構造を事前に図面などで把握しておく
各自が所有する部分の確認や、建物全体の耐震補強の必要性を事前に把握しておきましょう。そして、倒壊リスクやその他問題がある場合は対処しておくことで信頼感が伝わります。
近隣住民との付き合い方について
- 日頃から良好な関係づくりを心がける
近隣とは日頃から良好なコミュニケーションを心がけ、信頼関係を築いておくことが、いざという時の協力につながります。具体的には、普段から挨拶を交わす、困っていることがあれば助け合うなど、小さなことでも良いので心がけてみましょう。 - 工事前には丁寧に挨拶回りを
着工(工事開始)の1週間~10日ほど前までに、隣家だけでなく工事車両の通行などで影響が出そうな周辺の家に挨拶回りをしましょう。業者と一緒に伺う事で誠意が伝わりやすくなります。また、工事の概要(工事名、場所、期間、作業時間、施工業者名、連絡先など)を記載した挨拶文を準備し、手渡しで説明し、留守の場合はポスト投函できるよう準備しておくとスムーズです。 - 感謝の気持ちを忘れないように
工事が完了したら改めて、協力してもらった事へ感謝の気持ちを伝える挨拶回りを行いましょう。



業者選びの時に、上記に加えて作業が丁寧で信頼できる解体業者を選ぶことも近隣への配慮になるよ!
▼解体工事のトラブル全般を事例から対策まで徹底解説中!▼





どう?不安は解消できたかな?



うん!トラブル対策でやることがはっきりしたら元気出てきたよ!
長屋切り離しの費用相場





で、もうほとんど解体工事すすめる気持ちにはなってるけど、実は費用面も結構心配なのよ……



それもそうだね。じゃあ今度は費用相場についても見ていこう。
長屋切り離しの費用相場
【長屋解体】解体費用比較表(木造2階建て・20坪/66m2の目安) | ||
---|---|---|
費用項目 | 単独戸建て | 長屋 |
ほんたいこうじひ 本体工事費 | 約40万~80万円 (坪単価:約2万~4万円) | (作業に通常よりも配慮が必要なため高額) | 約50万~100万円
せいちひ 整地費 | 約10万~20万円 (坪単価:約5千~1万円) | 約10万~20万円 (通常時と大きく変わりない) |
はいきぶつしょりひ 廃棄物処理費 | 約20万~30万円 (廃棄物の量・種類で変動) | (廃棄物の量・種類で変動) | 約25万~35万円
こうぞうほきょう ほしゅうひ 構造補強・補修費 | – | (切り離し後の隣家の壁や基礎の補強が必要になる場合がある) | 約20万~40万円
きょうかいかくてい そくりょうひ 境界確定・測量費 | – | (切り離しに伴い、改めて境界の確定が必要な場合がある) | 約15万~30万円
しょけいひ 諸経費 | 約10万円 (現場管理費、運搬費など) | 約10万~15万円 (通常時より増加の可能性あり) |
合計金額 | 約80万~140万円 | 約120万~200万円以上 |



えっ!普通の解体工事よりも高いね!



長屋の切り離しは難しい工事だからね。実際の見積書も見てみよう。
【実例】長屋切り離しの見積書
※画像左下ボタンにてページの変更と縮小/拡大ができます。
kaitaikoji-nagaya-11


わ、わぁ……300万……。



この建物は一部RC造(鉄筋コンクリート)という事も費用が高い原因になってるね。
長屋解体が高くなるワケ



長屋切り離しの費用が高くなっちゃう理由ってどんなのが多いの?



いろいろな要素があるけど、大きくは以下の項目が理由として考えられるよ。
「長屋解体の費用が高くなるワケ」
長屋の切り離し工事が通常の解体工事よりも高くなる主な理由は、隣接する住戸への配慮と特殊な作業の増加にあります。
- 複雑な構造の作業対応のため
長屋の切り離し工事では、解体する部分と残す部分の構造的な安定性を確保しながら作業を進める必要があります。通常の解体のように一気に壊せないため手間と時間がかかります。 - 工事中の隣家への影響回避のため
共有壁を解体する際に隣接する住戸への振動・騒音・粉塵・構造的な損傷を与えないよう、細心の注意を払う必要があります。これにより、防音・防振対策、養生の徹底など、通常の解体にはない追加の作業や費用が発生します。 - 手壊し作業の増加のため
隣接する部分との境目を慎重に切り離すためには、手作業や小型の工具を使用する場面が多くなります。これにより、作業員の労力と時間が増加します。 - 専門技術と経験が必要
長屋の切り離し工事は、通常の解体工事よりも専門的な知識と経験が求められます。構造を熟知し、隣家への影響を最小限に抑えながら安全に作業できる業者でなければ対応が難しいため、それだけ費用も高くなる傾向があります。



ちなみに手壊し解体については下の記事でも詳しく解説してるよ。



よかったらチェックしてみてね!


【気になるトコロ】解体費用、もう少し抑えられない?【費用削減】



ある程度はかかるとしても、できる限り費用が抑えられたら嬉しいよね。という事で、費用を抑えるコツをお伝えするよ。
「解体費用の抑え方」
解体工事はいくつかポイントを抑えれば費用を削減できます。
- 相見積もりをする
複数の業者から見積もりを取得し比較することで、実際の費用相場がわかります。通常、見積もり段階では費用はかからずにできるので相見積もりはマストです。 - 依頼したい作業が得意な業者を選ぶ
今回のような長屋解体など特殊な作業・条件での解体工事は、その作業が得意な解体業者に依頼すれば費用を抑える事ができます。これは各業者の工事実績やノウハウなどを元に、より詳細な見積もりが可能なためです。 - 自治体の補助金・助成金制度を利用する
自治体によっては、条件に合致すると補助金や助成金を申請できます。金額や対象は自治体によって様々ですが、視野に入れるのもよいでしょう。但し、条件の兼ね合いや工事内容によっては、申請しない方が結果的に費用が安く済む場合もあるので注意が必要です。
▼解体費用について詳しく解説中!▼





中野さんありがとう~!
【長屋の切り離し編】信頼できる解体業者の選び方【5つのポイント】





だいぶ不安がなくなってきたよ!僕でもなんとかできそう!じゃあ、長屋の解体が得意な業者さんはどうやって選べばいい?



業者選びのチェックポイントをお伝えするね。
- 長屋の解体(切り離し)に必要な許可を持っているか
- 長屋の切り離し工事の経験や実績はあるか
- 複数の業者から相見積もりを取って比較検討する
- 見積もりの内容や説明に不明瞭な点はないか
- アフターサポートや保証内容を確認する
ポイント1:長屋の解体に必要な許可を持っているか
解体業者を選ぶ際、合法的に工事が行われているかの確認が大切です。下記で紹介する許可を持っているかどうかをチェックしてみましょう。
建設業許可(けんせつぎょうきょか)
建設業法で定められた建設工事を請け負うために必要な許可。29.解体工事業もしくは建設業許可一式という表記が確認できれば許可があると判断してよい。この許可があれば、金額を問わずに施工ができる。
解体工事業登録(かいたいこうじぎょうとうろく)
建設リサイクル法で定められた解体工事を行うために必要な登録制度。登録を行っていれば建設業許可を保有していなくても解体工事を請け負えるが、工事規模は500万円以下のものに限られる。
許可を持っているどうかは、国土交通省のHP(建設業者・宅建業者等企業情報検索システム)で確認ができます!
長屋物件の解体では産業廃棄物が発生するため、下記のような許可も必要になってきます。
産業廃棄物処分業許可(さんぎょうはいきぶつしょぶんぎょうきょか)
産業廃棄物の処分を事業として行う場合に必要な許可証。都道府県知事より交付される。
産業廃棄物収集運搬業許可(さんぎょうはいきぶつしゅうしゅううんぱんぎょうきょか)
産業廃棄物の収集・運搬を事業として行う場合に必要な許可。こちらも都道府県知事より許可を得る。※収集・運搬のみを行い、最終的な処理を別業者へ依頼する場合はこの許可で可能。



必要な許可を取得していない、許可証の有効期限が切れている、許可証が有効なエリア外などの施工は違法になるので必ず確認しましょう!
「解体業者のネガティブ情報」
解体業者が許可を持っていたとしても、過去に何かしらの処分を受けていたというケースもあります。内容にもよるかもしれませんが、できれば処分歴がある業者も避けたいところですよね。
そんな時には、許可の有無にプラスして業者のネガティブ情報や、普段から正しい作業をきちんと行っている業者かどうかも併せて検索してみましょう。依頼する業者の対応がわかることでより一層安心して解体工事ができるでしょう。
参考リンク
▲国土交通省が提供している情報サイト。業者が受けた過去の処分歴などのネガティブ情報が公開されています。
▲(公財)産業廃棄物処理事業振興財団が提供している情報サイト。解体工事後には、廃棄物が適正に処理されているかを証明する「マニフェスト」という管理票を業者に発行してもらう事がマスト。ですが、残念ながら不法投棄をしている業者は書類に不備を作り発行しているのが現状です。このサイトはそういった不正を行う業者かどうかの判断に役立ちます。
ポイント2:長屋の切り離し工事の経験や実績はあるか



よし、じゃあ長屋切り離し工事が得意な業者の見つけ方のコツを伝授しよう。
- 業者のホームページをチェックする
業者のホームぺージでは、業者の電話番号や住所、必要な許可の有無など業者の基本情報が確認できます。中には、施工写真や社員の写真を掲載している業者もあります。 - 口コミや評価をチェックする
口コミサイトや業者のホームページ、SNS(Instagram・Facebook・Xなど)でリアルな意見をチェックしてみましょう。「こんな作業を依頼した」「こんな対応をしてくれた」などの事実を記載していたり、内容に具体性があるコメントは信ぴょう性が高いでしょう。



この他にも、電話越しの会話や現地調査で立ち会った時の印象も覚えておくといいよ。実績だけでなく、自分とフィーリングが合う業者を選ぶ事も重要だよ。自分的にピンとくるという感覚も大切にしよう!
ポイント3:複数の業者から相見積もり(あいみつもり)を取って比較検討する
- 見積もり比較サイトを利用する
膨大な解体業者の中から自分が依頼するベストな1社を見つける事は、かなり骨が折れる事かと思います。そんな時には解体工事の無料一括見積もりサイトを利用してみましょう。比較する事で費用の相場感を確認できます。また、各業者が通常どんな施工に強いのか、どんな雰囲気の業者なのか等のデータを持っていますし、業者を選ぶためのアドバイスや疑問があればオペレーターに相談も可能です。



実際に解体工事をするとなったらぜひ解体工事の無料一括見積もりサイトを利用してみて!複数の解体業者の紹介はもちろん、見積もり内容の比較と業者を選ぶためのアドバイスもしてもらえるし、解体工事について疑問があればオペレーターに相談もできるよ!
▼業者比較の解体無料見積ガイドはLINEからも!中野の解説動画付き!▼



おお……そんな便利なサイトがあるのね……!で、でもそんなに便利なサイトが無料ってそれこそ大丈夫なの……?どんなカラクリ……?



なやみんは本当に心配性だねぇ(笑)大丈夫、今紹介した解体無料見積ガイドは僕が理事を務める協会が運営するサイトだよ!依頼者が無料で利用できる仕組みは、登録されている解体業者からサイトの維持費・運営費をもらっているからなんだ。



あ、トップページに中野さんいた~!これなら安心かも~!!
ポイント4:見積もりの内容や説明に不明瞭な点はないか・明瞭すぎないか



え?なんか真逆のこと言ってない?



見出しだけだとそう感じるかもね。詳しく説明するよ。
誰しも解体業者を選ぶときには、現地調査に立ち会ったり、見積書の内容を確認したりして依頼する業者を決めるかと思います。各タイミングで「信頼できる業者かどうか」の判断材料があるので、これから業者探しをする際にはぜひ意識してみてください。
- 現地調査時など、業者からの説明が不明瞭でないか
依頼者が解体について詳しくないことを良い事に、契約前に説明すべきことを省いて後から高額な追加料金を請求するといった悪徳業者が存在します。こちらからの質問に対して濁さず納得のできる回答があるかよく確認しておきましょう。 - 見積書の内容が明瞭すぎないか
見積書に関しては、見やすいばかりが良いというわけではありません。上記でも触れましたが、見積書でもきちんと必要な事が明記されているかの確認は大切です。例えば、「各項目の単位が一式ばかり」の見積書は要注意。一式とはどんな内容を指しているのか把握できますか?難しくないでしょうか。一式とは見た目こそ明瞭ですが、なんでもかんでも一式で済まされている時には注意が必要です。「この作業は一式に含まれていません」と後から言われ追加料金を請求されても、契約をしてしまったら支払いが必要になってしまいます。



とはいえ、優良業者でも一式という単位はよく使うから、言葉だけで怖がらないでね。
注意したいのは、一式の項目があまりにも多すぎる場合や追加作業が発生した際の対応について明記されていない場合かな。



なるほど~!
ポイント5:アフターサポートや保証内容を確認する



工事の際のトラブル対応について、工事を依頼する前にしっかりと確認しておくことも大切だよ。解体工事中に事故が発生したり、隣接する壁などを損壊してしまったりした場合、損害賠償請求の対象となる可能性があるんだ。
だから、解体業者を選ぶ時は損害賠償保険に加入しているか、もしトラブルが起こったときにはどう対処しているかを事前に確認しておくことをオススメしてるよ!



おっけ~!確認してみる!



ただし、解体工事で発生する「騒音」「粉塵」は保険適用外となるので注意。そういう時に業者がどのような対策をしているかについても確認しておくと安心だね。
▼解体業者探しや解体工事の相談は解体無料見積ガイドへお気軽にご連絡ください!▼
長屋切り離し後の土地活用アイデア7選





解体した後、せっかくだから空いた土地でなにかできないかなぁ?



おっ!それはいい考え!
それじゃあ解体後の土地活用アイデアについていくつか紹介するね。
1.住宅の再建築
切り離した土地に新しい住宅を建てられます。自分が住む以外にも、単独の戸建て住宅やアパートを建設することで家賃収入が期待できます。


2.駐車場の運営
土地を駐車場として活用するのも一つの方法です。特に都市部では駐車場の需要が高いため、月極駐車場や時間貸し駐車場として運営すれば安定した収入が見込めます。


3.カーシェアステーションの設置
カーシェアリング(通称:カーシェア)は複数の利用者が共同で自動車を借りるサービスのことで、必要な時に必要な時間だけ車を利用できます。近年カーシェアリングの需要が高まってるため、駐車場として活用できる土地さえあれば初期投資なしで事業に参入できるので収入源として土地を有効活用できます。


4.コミュニティガーデン
地域住民が共同で管理・運営する「地域の庭」のこと。地域に住む個人またはグループが自主的に集まって花・野菜・果物・ハーブなどの植物を栽培するオープンスペース、またはその活動や取り組みを指しています。地域の美化や交流の場として活用されています。


5.レクリエーション施設
土地を公園や遊び場、スポーツフィールドとして整備し解放することもできます。地域住民が利用できるレクリエーション施設を提供することで、地域の活性化に貢献できます。


6.商業スペースの設置
小規模な店舗やカフェを開くための商業スペースとして利用できます。特に、周辺に人通りが多い場所であれば、ビジネスチャンスが広がります。


7.環境教育の場
土地を利用して環境教育やエコロジーに関するワークショップの開催も可能です。地域の学校や団体と連携し、自然や持続可能性について学ぶ場を提供することで、地域貢献にもつながります。





いろんなアイデアがあって迷っちゃうなぁ~!



これらのアイデアは一例だから、地域のニーズや自分の目的に応じて、最適な活用方法を選んでみてね!
【まとめ】長屋の解体工事、安心して進めるために







中野さんのおかげで、スッキリきれいに切り離しができたよ~!お隣さんとのトラブルもなく終われてほっとしてるよ~!



お役に立ててよかったよ。長屋の切り離しは周りへの配慮が必要だったり、難しい工事だったりでなかなか繊細な内容だけど、焦らず進めれば大丈夫だからね!
1.予期せぬ事態に備えるため、建物の事前調査は徹底的に
2.隣家・近隣とのコミュニケーションは大切に
3.隣家との合意形成は双方納得できるように、同意後は必ず書面を残す



ところで、なやみんはこの土地どうすることにしたの?



まだちゃんと決めてないんだけど、なんにもない今のうちにのんびり「ひなたぼっこ」でもしよっかなぁ~って思ってるよ!中野さんもいっしょにどう?



あら素敵だねえ。そしたら僕も今日くらいのんびりしちゃおうかな。



わーい!いっしょにのんびりしよ~!


中野達也。一般社団法人あんしん解体業者認定協会理事。解体工事業の技術管理者であり、解体工事施工技士を保有。2011年に解体業者紹介センターを鈴木佑一と共に創設。2013年に一般社団法人あんしん解体業者認定協会を設立し、理事に就任。めざまし8(フジテレビ系列)/ひるおび(TBS系列)/ 情報ライブ ミヤネ屋(日本テレビ系列)/バイキングMORE(フジテレビ系列)など各種メディアに出演。
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